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チリ共和国チリ共和国(Republic of Chile)

面積(k㎡):
756,102
海岸線延長(km):
6,435
人口(百万人):
17.9
人口密度(人/k㎡):
23.7
GDP(bUS$):
277.00
一人当たりGDP(US$):
15,453.05
主要鉱産物:鉱石:
銅、モリブデン、金、銀
主要鉱産物:地金:
銅、炭酸リチウム
鉱業管轄官庁:
鉱業省(Ministerio de Minería)
鉱業関連政府機関:
チリ銅委員会(COCHILCO)、チリ地質鉱業局(SERNAGEOMIN)
鉱業法:
鉱業法
ロイヤルティ:
鉱業特別税法(法律第20026号)、鉱業ロイヤルティ改正法(法律第20469号)
外資法:
外資法(法律第600号)
環境規制法 (環境影響調査制度、環境・排出基準の有無等):
環境基本法、鉱山保安規則、閉山法
鉱業公社(環境):
チリ銅公社(CODELCO)、チリ鉱業公社(ENAMI)
鉱業活動中の民間企業:
BHP Billiton、Rio Tinto、Glencore、Anglo American、Freeport-McMoRan、Antofagasta Minerals、Teck Resources等
最終更新日:
2020年02月28日

1.鉱業一般概況

チリは首都サンティアゴより北の国土の半分が世界有数の斑岩銅鉱床帯であり、また第Ⅲ州を中心に酸化鉄・銅・金(IOCG)鉱床も多数賦存する。この地質鉱床学的な銅資源ポテンシャルの大きさと、1990年代より整備されてきた鉱業投資環境により、世界で最大の銅鉱石の埋蔵量と生産量を維持している。

チリの主要鉱物資源の埋蔵量
鉱 種 チ リ(A) 世 界(B) (A)/(B)(%) ランク
リチウム(千t) 8,000 14,000 57.1 1
レニウム(t) 1,300 2,400 54.2 1
銅(千t) 170,000 830,000 20.5 1
モリブデン(千t) 1,400 17,000 8.2 4
銀(t) 26,000 560,000 4.6 7

出典:Mineral Commodity Summaries 2019

Exploration Budget Trends

2.政治経済

2017年12月17日、中道左派のミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)大統領の任期満了に伴う大統領選挙の決選投票が行われ、富豪で中道右派のセバスティアン・ピニェラ(Sebastian Piñera)前大統領が2010年の当選以来2度目の当選をし、再選された。前任期中には、就任直前の2010年2月に地方都市Concepciónを中心としたMw(モーメント・マグニチュード)8.8の大地震に見舞われたほか、同2010年8月5日には地方都市Copiapó近郊のSan José鉱山にて落盤事故が発生し33名の鉱山作業員が閉じ込められた。この事故を巡っては同年10月13日、作業員33名全員が救出され、この事故前後で支持率が46%から56%に上昇した。

2019年10月、首都Santiago地下鉄運賃の値上げを発端として抗議活動が発生し、10月18日にはデモ隊と機動隊が衝突する暴動に発展、これにより同日、ピニェラ大統領は首都Santiago市一帯に非常事態宣言を発令した。政府への抗議活動はその後チリ全土に拡大した。これらを受け、ピニェラ大統領は10月30日、11月16~17日に首都Santiagoで開催予定であったアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の中止を発表した。

3.鉱業政策

(1)鉱業関連法制度改正の動き

鉱業関連法制度改正の動きとしては以下の事項がある。特に注記のないものについては、関係省庁内での調整から国会委員会での審議途上となっている。

a)環境影響評価システムの改定

チリ政府は2018年7月31日、環境影響評価システム(SEIA)改正法案を議会に提出した。
本法案は環境保護の主要ツールとしての環境影響評価システムの機能を強化するため、法的確実性を高め、環境影響評価プロセスの明瞭性および評価に要する時間を最適化することを目指している。主な修正点は下記のとおり。

  • 環境影響評価システムにおける政治的要素の削減(閣僚委員会の廃止など)
  • 市民の環境影響評価プロセスへの参加機会を拡大(環境影響調査(EIA)を早い段階で市民協議プロセスに提出)
  • 環境影響評価手順の改善(環境審議会(RCA)の二重行政審査を避け、環境裁判所による審議と解決などのプロセス改善)
  • 評価委員会メンバーの適格性向上および環境裁判への平等なアクセス

本法案は下院環境委員会で最低2カ月間審議され、公聴会を経て下院での投票が実施される予定だったが、現在も審議継続中である。

b)閉山法改正案

2019年6月、Prokurica鉱業大臣は、中小鉱山会社にとって、閉山計画実施費用、閉山後対策費用、および保証金の積立が大きな負担となり、開発が行われない原因となっていると指摘した。現在、操業していない中小鉱山は50以上あり、閉山後の保証に保険適用および金融商品による保証金の積立を行うことによって、中小鉱山会社の負担を低減するとともに、現在保証金として積み立てられている総額約3.6bUS$の一部をこれら鉱山開発へ回すことによって鉱山開発が促進される、と述べた。

2018年12月21日、鉱業省は閉山法改正法案を上院に提出した。この法案の目的は、鉱山会社が利用できる金融商品の柔軟性を上げて閉山等の保証金積立のハードルを低減することにより、鉱山会社の財務コスト削減および開発投資を実施するための信用をより高くすることである。Terrazas鉱業次官は、2018年10月までに閉山計画が承認されたプロジェクトは109件あるが、保証金の積立を開始していない18件は中規模鉱山会社のプロジェクトのため、本改正法案の成立に努めたいと述べており、その後、2019年3月15日、上院鉱業委員会は閉山法改正法案を満場一致で承認した。同年4月4日、上院議会は同法案を満場一致で承認している。

c)尾鉱ダム監視義務化および義務者不存在の旧尾鉱ダム対応の検討

2019年1月に発生したブラジルの尾鉱ダム決壊事故以降、チリ大手鉱山会社は単独、もしくはFundación ChileおよびCORFO(チリ経済開発公社)と共同で、尾鉱ダムのセキュリティシステムを強化および標準化して、緊急事態に備えることを計画(対象となる操業鉱山の尾鉱ダムは110箇所)。

一方、2019年2月4日、鉱業次官は、チリにおいて放置されている旧尾鉱ダム170箇所のうち、所有者の分からないものが37箇所あり、人々の健康・安全、環境、経済活動に重大なリスクとなる可能性があると指摘した。チリ政府は、これらの尾鉱ダムの特徴(リスクレベル、所有者の特定、環境認可状況の確認、尾鉱の量と尾鉱に含まれる鉱物)について調査を実施するとともに、ダムの所有者に対し、尾鉱の処理について責任を要求するために、当局が十分な権限を持つことができるように規制の変更を準備していると述べた。

2019年3月15日、Prokurica鉱業大臣は2019年中頃から、尾鉱ダムモニタリングおよびリスク管理の試験的実施計画を発表した(担当はSERNAGEOMIN)。具体的な試験手法は、リアルタイムで尾鉱ダムを監視し、得られた情報を鉱山およびSERNAGEOMINが共有し、緊急事態が発生した場合、尾鉱ダム近傍の住民にその区域から避難するように携帯電話を通じて緊急警報メッセージが送られるものである。

さらにチリ政府は、最終的に所有者が確認できない尾鉱ダムの売却もしくは引継ぎを検討した。1つの案は、尾鉱中の有用金属回収事業に興味を示す民間企業に尾鉱ダムを売却し、その民間企業が尾鉱ダムのメンテナンスと監視の義務者となるものである。もう一つの案は、環境影響評価調査を開始する、もしくは実施中のプロジェクトの近傍に位置する旧尾鉱ダムをその事業実施者へ引継ぎ、プロジェクトで活用してもらうと共に尾鉱ダムのメンテナンスと監視の責を担うものである。

2019年3月末、チリ鉱業省および環境評価局は、放置されている尾鉱ダム引継ぎの手続きを合理化する協定を締結した。チリ政府は、所有者の分からない37の尾鉱ダムのうち、約20%は既存のプロジェクトに引き継いでもらうことが可能と試算している。

d)氷河保護法案

2015年3月、政府は氷河保護法案の修正点(14項目)について、上院環境委員会および下院環境委員会と合意した。Badenier環境大臣は、合意された中で最も重要な修正点として以下をあげた。

  • 氷河は公共利用のための国家資産であり、氷河に水利権を設定することはできない。
  • 定義された禁止事項に触れる可能性がある場合、最終的にプロジェクトが氷河(氷河形成のプロセスを含む)に影響を与えるかどうかによって、承認済み環境認可の見直しを行う。
  • 環境影響評価システムを改め、氷河保護を考慮した特別な環境認可を付与する。認可は、水資源総局により付与される。
  • 水資源総局の権限を強化し、氷河保護法に基づく監査は水資源総局が実施する。

2018年6月末、これまで審議されてきた氷河法案が廃案となって以降、2つの新しい氷河保護関連法案が下院および上院において審議されている。
1つは、氷河分布地域における水使用権の付与を禁止する法案で、氷河法案が廃案になったことを受けて環境保護派議員から提出されたものである。同法案には氷河周辺域での活動を禁止する内容が含まれており、現在下院で審議中である。
もう1つは、Girardi上院議員が数名の上院議員とともに、政府は各企業や鉱山会社の圧力に屈して氷河法案を撤回したと批判して、氷河を保護するための新しい法案を国会に提出したものである。2018年9月3日、同法案の審議が上院で開始された。法案の内容は2010年にアルゼンチンで制定された氷河保護法と類似し、氷河の自然状態および分布に影響を与える活動を禁止する内容となっている。
2019年3月12日、上院の環境と国家資産委員会(Comisión de Medio Ambiente y Bienes Nacionales)は、水資源の戦略的保護、科学情報源および環境保護を目的として氷河を保存するため、満場一致で、Girardi上院議員ほかの提出した氷河保護法案を承認した。

氷河保護法が制定された場合、Andina、El Teninete、Los PelambresおよびLos Broncesの各鉱山操業が影響を受け、採掘可能な銅量は約22.5%減少(5.7mtから4.4mtへ減小)するとのCOCHILCOの試算もあり、Prokurica鉱業大臣および鉱・工業界は、「環境保全と経済発展の間に公正なバランスを取る氷河法となることが重要」、あるいは、「チリは氷河保護のための法律を必要としているが、同時に鉱業活動を責任ある方法で発展させるため、明確で、客観的・技術的・科学的背景に基づくバランスの取れた法律が必要」と述べている。

なお、2019年に水資源総局(Dirección General de Aguas:DGA)が発表したチリ氷河目録によると、確認された氷河は25,725ヶ所で、前回2014年公表のデータ24,114ヶ所から1,611ヶ所増加したが、面積は5年前の23,641km2から8%減の21,647km2であった。

e)水資源保護法改正および鉱山用水取水制限強化の動き

現在、議会において水資源法改正に係る修正法案審議が行われている。その他に鉱業用水に係る当局の方針および鉱業業界の発言は次のとおり。

  • 2019年2月22日、水資源総局(Dirección General de Aguas:DGA)のOscar Cristo局長は、水資源保護のため2019年中に取水禁止区域を現在の30ヶ所から70ヶ所へ増やす意向を示した。取水禁止区域内では鉱山用水の新規取水許可は取得できず、既存の取水契約の延長には環境許認可の取得が必要となる。Cristo局長は、アタカマ塩湖周辺の取水禁止予定区域では現在鉱山用水が取水されており、涵養量を超えた取水により帯水層の持続可能性が脅かされているが、取水を禁止することにより2040年までに鉱山操業により取水が始まった以前のレベルにまでアタカマ塩湖の地下水位が回復するとの見通しを示し、主要鉱山(特に2018年後半に採水許可延長を申請したEscondida銅鉱山およびZaldívar銅鉱山)は操業継続のために取水量調整が必要と述べている。
  • 2019年5月6日、Villarino鉱業協会会長は上院農業委員会において、鉱業は水資源総局以外に環境影響評価の要求事項に鉱山用水制限があり、環境影響評価プロセスが不要な農業と比べて強く取水制限をかけられていることは不当とし、鉱業用水使用量に関する環境影響評価局の制限を撤廃し、水資源総局のみによる水資源管理が望ましいと意見している。

f)鉱山施設に対する新しい有害物質排出基準導入(製錬所近代化)

2013年、チリ政府は環境基本法を改正し、新しい有害物質排出基準(Decreto Supremo 28:DS28)を制定した。対象は、粒子状物質(PM)、SO2、AsおよびHgである。

この改正により、既存製錬所は排出汚染物質(SO2,As)捕集率95%以上が義務となった。ただし、付随する硫酸工場においてSO2からSO3への酸化工程に二段階接触式を採用している場合は2016年12月まで、採用していない場合は2018年12月13日を対策実施期限とした猶予が与えられていた。

一方、新設製錬所については汚染物質捕集率98%以上が義務となった。

2015年7月および2018年12月に導入された製錬所新排出基準(汚染物質捕獲率95%)に関して、設備近代化のためCODELCOやENAMIの投資負担緩和などを目的とした見直し(先送り)の意見が、上院鉱業エネルギー委員会で検討されているとの報道があったが、その後、特段の進展はなく、新排出基準が導入された。

g)グリーン税適用範囲の拡大により、製錬所のコスト増の可能性

2018年9月に提出された税制の近代化法案では、銅製錬所を含むすべての排出源を対象にグリーン税の適用範囲の拡大が盛り込まれている。

グリーン税の支払いによって、チリ国内の製錬所はコスト競争力を失う可能性がある。世界の製錬所の平均コストは114.2US$/tに対し、チリ国内の製錬所のコストは203US$/tとなっており、世界で最もコストが高い製錬所の上位10位に、Chuquicamata、Potrerillos、VentanasおよびPaipoteの各製錬所が入っている。

h)CODELCO資金供給法

2018年6月、政府は2014年に制定されたCODELCO資金供給法に基づき、大型開発プロジェクトへの投資を支援するために2019年2月までにCODELCOへ約1bUS$の資金供給を実施した。この資金供給をもって、CODELCO資金供給法が終了することになった。2014~2019年の間、CODELCOへ提供された資金額は、CODELCO資金供給法で定められた総額3bUS$には未達となる2.62bUS$であった(前Bachelet政権の間に1.62bUS$、現Piñera政権になって1bUS$を供給)。

なお、2016年および2017年は特別法に基づき、銅機密法に基づく準備金からもCODELCOへ資金供給を行っている。

i)CODELCO銅機密法

上院および下院を問わず、議員間で銅機密法(Ley Reservada del Cobre:法律第13,196号)廃止を支持する動きがあり、2018年8月、Piñera大統領は銅機密法を廃止して軍の新たな資金システムを確立するための法案に署名。同法案について議会で審議された結果、2019年7月下旬に60年以上続いた銅機密法は廃止となった。今後、軍への新しい資金調達システムに関する法律が成立した後7年間、CODELCOはこれまでと同様に銅輸出金額の10%を国庫に納入しなければならないが、8年目から納入額が減額され、11年後にはその義務が撤廃される。

(2)政府のリチウム資源開発方針

2016年1月、Bachelet大統領は、CODELCOが採掘権を保有するMaricunga塩湖およびPedernales塩湖のリチウム資源探査事業に関する入札を実施する方針であることを発表した。また、リチウムを戦略資源と位置付ける現行枠組みを維持し、民間企業等への採掘権付与は行わないとする政府方針について改めて言及した。さらに、政府は、リチウム資源の開発における官民連携については引き続き検討を進めるとしているほか、公的機関によるチリ国内の塩湖リチウム資源評価調査プログラムを推進するために、鉱業省およびCORFOが中心となって非金属資源委員会を組成する方針を示した。CODELCOはリチウム事業戦略を決定したうえで、2017年7~9月にかけて戦略的パートナーと考えられる企業等に対し入札参加を呼びかけた。
具体化された政府方針は2015年1月にリチウム委員会によりとりまとめられたリチウム政策に関する提案書を概ね踏襲するもので、以下の事項が盛り込まれていた。

  • リチウムは戦略的鉱物資源であり、鉱区設定の対象鉱物に含めないことを憲法において規定する。
  • リチウム開発のために官民パートナーシップを構築する。
  • リチウムを開発するために国有会社を設立する。
  • 1979年の法令施行前に付与された鉱業権(採掘権含む)の保持者は、特別操業契約の裁定を申請する。
  • Atacama塩湖については、規制変更によってCORFOとすでに調印された契約が妨げられることがないようにする。将来のオペレーションに関して新しく規制を設ける。
  • 既に付与された鉱業権に関する政府による円滑な管理のためにあらたな機関を設立する。

a)CODELCOのMaricunga塩湖およびPedernales塩湖採掘鉱区に関するJV探鉱・開発プロジェクト

CODELCOのMaricunga塩湖およびPedernales塩湖採掘鉱区に関する戦略的パートナー選定入札は、2017年3月に公募を開始した。10社(Li3、Posco、日本企業など)が応募していたが、2017年の大統領選挙以来選定プロセスは中断となった。その後2019年8月、Salar Blanco社と共同でMaricunga塩湖の開発を進める覚書に署名し、2020年にも探鉱・開発に着手することになった。

b)CORFO – InvestChile(チリ投資促進庁)によるリチウム高付加価値化プロジェクト

2017年1月にCORFOはAlbemarle社との契約を修正し、Albemarle社は生産する炭酸リチウムの25%をチリ国内で販売することとなった。CORFOおよびInvestChileは、この炭酸リチウムを原料として、リチウムイオンバッテリーの正極材やバッテリーそのものを製造するなど、付加価値を高めるプロジェクトのパートナー企業の公募を2017年3月に開始し、2018年3月にPosco-Samsung、MolymetおよびSichuan Fulin Industrialのアライアンスが落札した。しかし、CORFOとAlbemarle社がチリ国内で販売する炭酸リチウム価格をめぐって係争状態となり、本プロジェクトは遅延、その後両者合意に至ったものの、2019年7月までに落札した3社・アライアンスの全社が本プロジェクトから撤退したため、CORFOはプロジェクトの再度見直しを余儀なくされた。

現在、CORFOおよびInvestChileはSQMが生産する炭酸リチウム25%分に関しても同様に付加価値を高めるプロジェクト実施者を募集中である。

さらにCORFOおよびInvestChileは、エネルギー転換、太陽光・太陽熱発電の蓄電システム開発およびリチウム産業の先端材料開発を目的としてAntofagasta市に設置する予定のリチウム研究所(Instituto del Litio)への出資者を募集中である。本研究所ではSQMが生産する炭酸リチウムを使用する予定である。

(3)チリ・アルゼンチン鉱業統合条約

チリ・アルゼンチン鉱業統合条約を締結してから約20年経つが開発に至ったプロジェクトが無く、そもそもプロトコル(Protocolo Adicional Específico (PAE):特定追加議定書)制定に至るプロジェクト数も少ない。このような現状に鑑み、執行事務局は本条約によるチリ-アルゼンチン国境周辺地域の鉱山開発を活性化させるための公式会合を開催した(2017年8月にブエノスアイレス、同年9月にサンティアゴで開催)。会合では本条約のガイドライン改正および既存のプロトコルの更新について検討された。

2017年12月5日付けメディア報道によると、チリ鉱業省Erich Schnake副次官が、「2018年中にいくつかのプロジェクトについてプロトコルが制定される、もしくは更新される見込みである」と、発言した。

2019年7月11日、チリ政府およびアルゼンチン政府の代表が公式会合を行い、VicuñaプロジェクトおよびLos Azulesプロジェクトについて特定プロトコルの更新を行った。
現在の本条約適用対象プロジェクト(プロトコル制定済み)は以下のとおり。

  • Pascua Lamaプロジェクト
  • Las Flechasプロジェクト
  • Andrés Amosプロジェクト
  • Vicuñaプロジェクト
    Los Helados、José MaríaおよびFilo del Solに適用するプロトコル更新(2019):調査段階のリソース共有、各プロジェクト間および国境を越えた労働者移動の許可、新規共通輸送エリアの確立および各プロジェクト間の植物検疫と移住に関する国境管理の共有
  • El Pachónプロジェクト
  • Los Azulesプロジェクト
    プロトコル更新(2019):アルゼンチン側よりも降雪・積雪が少ないCoquimbo地域からのアクセス、チリの電力網、チリの商品・サービス・サプライヤーの利用およびチリの港湾を使用した精鉱輸出
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