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メキシコメキシコ(United Mexican States)

面積(k㎡):
1,964,375
海岸線延長(km):
9,330
人口(百万人):
126.0
人口密度(人/k㎡):
64.1
GDP(bUS$):
1,151.00
一人当たりGDP(US$):
9,137.88
主要鉱産物:鉱石:
銅、鉛、亜鉛、金、銀、モリブデン、ビスマス
主要鉱産物:地金:
銅、鉛、亜鉛
鉱業管轄官庁:
経済省(SE:Secretaría de Ecomonía)
鉱業関連政府機関:
メキシコ鉱業センター(SGM:Servicio Geológico Mexicano) 鉱業振興信託(FIFOMI:Fideicomiso de Fomento Minero)
鉱業法:
鉱業法(Ley Minera) 鉱区の期限は50年、探鉱鉱区と生産鉱区の区別無し
ロイヤルティ:
2014年1月施行の鉱業特別税及び貴金属鉱業特別税がロイヤルティに相当
外資法:
外国投資法(Ley de Inversión Extranjera) 外資100%の参入が可能
環境規制法 (環境影響調査制度、環境・排出基準の有無等):
生態系均衡環境保護一般法(Ley General del Equilibrio Ecológico y la Protección al Ambiente)
環境影響評価を環境天然資源省(SEMARNAT:Secretaría de Medio Ambiente y Recursos Naturales)に提出し、承認を受ける必要有り。SEMARNATが定めた環境・排出基準有り
鉱業公社(環境):
非鉄金属に関する鉱業公社は無し
鉱業活動中の民間企業:
Grupo México社、Peñoles社、Minera Frisco社等
最終更新日:
2020年02月28日

1.鉱業一般概況

メキシコは、中南米地域の代表的な鉱業国の一つであり、銅、鉛、亜鉛、金、銀、モリブデン等の多くの鉱物資源に恵まれている。

メキシコの主要鉱物資源の埋蔵量
鉱 種 メキシコ(A) 世 界(B) (A)/(B)(%) ランク
銅(千t) 50,000 830,000 6.0 6
鉛(千t) 5,600 83,000 6.7 6
亜鉛(千t) 20,000 230,000 8.7 4
金(t) 1,400 54,000 2.6 10
銀(t) 37,000 560,000 6.6 6
モリブデン(千t) 130 17,000 0.8 9
マンガン(千t) 5,000 760,000 0.7 9
アンチモン(t) 18,000 1,500,000 1.2 8
蛍石(千t) 68,000 310,000 21.9 1
グラファイト(千t) 3,100 300,000 1.0 8

出典:Mineral Commodity Summaries 2019

2.政治経済

<略史>
1519年 エルナン・コルテスの率いるスペイン人が侵入
1810年 メキシコ独立運動の開始
1821年 スペインより独立
1846年 米墨戦争(~1848年。国土の半分近くを米国に割譲)
1910年 メキシコ革命勃発
1917年 現行憲法公布
1938年 石油産業の国有化
1982年 債務危機発生
1986年 GATT加盟
1993年 APEC参加
1994年 北米自由貿易協定(NAFTA)発効,OECD加盟,通貨危機発生
2000年 フォックス大統領就任(71年続いた制度的革命党(PRI)政権の終焉)
2006年 カルデロン大統領就任(第65代大統領)
2012年 ペニャ・ニエト大統領就任(第66代大統領)(PRIが政権に復帰)
2018年 ロペス・オブラドール大統領就任(第67代大統領)

近年のメキシコの鉱業投資額は、金属市況の下落・低迷に加え、前政権が2014年1月に施行した鉱業特別税及び貴金属鉱業特別税の影響により、探鉱投資、設備投資、維持管理費等が抑えられた結果、2016年まで4年連続で減少を続けてきた。2017年は、金属市況価格の回復傾向等から貴金属を中心とした新規プロジェクトへの投資が前年に比べ増加した結果、投資額全体が5年振りに前年比プラスとなり、2018年はプロジェクトの拡張、探鉱費が増加した結果、全体の投資額は2年連続で対前年を上回った。

2018年7月の大統領選挙にて左派政党である国家再生運動(MORENA)党のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(Andrés Manuel López Obrador)氏(以下、AMLO大統領)が勝利し、同年12月にAMLO政権が誕生した結果、メキシコ鉱業会議所(CAMIMEX)は、新政権の鉱業を含めた経済政策の不透明性に対する懸念を表明し2019年鉱業投資額を前年比減となると予測した。その後、2019年7月に発表された年次報告書では、AMLO政権の鉱業政策が左派的な変革を伴うものではない等の動向を踏まえた結果として、2019年の鉱業投資額は2018年より9%増加すると予測を上方修正している。

3.鉱業政策

(1)鉱業基金運営に関する法令改正

2014年1月に施行された鉱業特別税及び貴金属鉱業特別税に基づく鉱業基金の一部の運用は各鉱業州及び自治体で行われてきたが、2018年12月、MORENA党は鉱業基金の運営体制改革として鉱業基金の承認・運営体制の見直し、及び分配率及び分配方法の変更に関する新たな鉱業基金管理・運営規則を制定した。これに対し、Chihuahua州やZacatecas州の各知事をはじめ、多くの市長がアンパロ訴訟(憲法権利保護に係る訴訟)を行い、2019年3月、最高裁判所首席裁判官は、連邦政府による新たな鉱業基金管理・運営規則は違憲との見解を示し、原告側のChihuahua州等では新規則が適応されないとの判決を下し、大統領府法務部は5月に控訴を行っている。

また、2019年4月、AMLO大統領は鉱業基金運営を連邦政府が管理することで州、自治体政府による腐敗を撲滅すると明言し、鉱業生産地域の経済活性化を目的とする住民対象の無利子融資案を発表した。これに対し、多くの鉱業州において知事・市長らが反対の意思を表明している。

(2)ダイアログ設置による鉱山問題の解決

メキシコでは鉱山ストライキ、デモ活動及び道路封鎖問題が多く発生している。

2019年8月、AMLO大統領は、鉱山会社、鉱山労働者、環境保護団体、鉱業地域周辺住民によるダイアログ(対話)の設置を報告し、同ダイアログを通じた問題解決のほか、一般的な合意形成を図るため、その他関係者と協調した枠組みの設置を公言した。

この中で同大統領は、前述のGuaymas港の硫酸流出事故や、過去に発生したBuenavista鉱山のSonora川への銅浸出液流出事故の他、現在まで収束の見えないTaxco鉱山のストライキなどの問題に触れ、「一般的な合意形成を図りたいが、協議は環境への配慮、持続可能な開発、雇用創出の下で行われなければならない。鉱山企業との、メキシコの土地破壊は許されないとする合意は簡単ではないが実現可能であり、政府は対立を望まない。鉱山は地域経済の再活性化を促進するものだ」との見解を示した。

(3)新たな鉱業コンセッション付与の凍結

2019年8月、AMLO大統領は、これまでに付与された鉱業コンセッションには鉱業を目的としたものではなく投機を目的としたものも含まれていると指摘し、既に承認されたコンセッションは維持されるが、同政権中の新たな鉱業コンセッション承認は行わないと公言した。後日、Francisco Quiroga鉱山次官は、AMLO大統領の発言を踏まえ、大きな心配は無用であるが、一定期間、新しい鉱業コンセッションの承認は行われないと発言した。また、AMLO大統領が、承認した鉱業コンセッションに利用実績のないものが多くある点を指摘していることから、鉱山総局は、既存の鉱業コンセッションのうち活動実績のない案件の重点調査を実施すると説明した。また、反対運動等への対応として、関係者との協議方針、特に先住民事前協議を必要とするILO169条の適合性を図り、鉱山活動の適切な運用体制の構築を図っていくと付け加えた。

(4)Zacatecas州が創設した環境税は合憲、地方での課税の動き

2017年12月にZacatecas州政府が土壌汚染、大気汚染、廃棄物管理等を目的として創設した環境税に対し、本環境税は特定の鉱山企業のみに適用され、環境汚染物質を排出する他の企業には適用されておらず、メキシコ憲法上の平等原則に違反するとして、加Goldcorp社やPan American Silver社をはじめとする複数の鉱山企業が訴訟を申し立てていた。また、連邦政府は、鉱山部門の課税アプローチは連邦政府の管轄下にあり、同条例の制定により連邦政府の排他的権限を侵す可能性があると訴えた。

これに対して、2019年2月、メキシコ最高裁判所はZacatecas州政府の環境税は合憲性を認める見解を示した。この見解に基づき、Zacatecas州政府は、水質・土壌汚染を引き起こす可能性のある企業、大気中に事業系ガスを放出する企業、露天掘り採掘企業、公共及び私有地において廃棄物処理を行う企業等に対し、環境税を課すこととした。

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