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南アフリカ共和国南アフリカ共和国(Republic of South Africa)

面積(k㎡):
1,219,090
海岸線延長(km):
2,798
人口(百万人):
55.4
人口密度(人/k㎡):
45.4
GDP(bUS$):
349.30
一人当たりGDP(US$):
6,307.31
主要鉱産物:鉱石:
石炭、白金族、金、クロム、マンガン、チタン、バナジウム、鉄鉱石、ウラン等
主要鉱産物:地金:
金、白金族、フェロクロム、フェロマンガン、コバルト、銅、ニッケル、アルミニウム等
鉱業管轄官庁:
鉱物資源・エネルギー省(DMRE: Department of Mineral Resources and Energy)
鉱業関連政府機関:
・CGS(Council for Geoscience):地球科学委員会
・MINTEK(Council for Mineral Technology):選鉱・製錬研究所
鉱業法:
鉱物・石油資源開発法2002(MPRDA:The Mineral and Petroleum Resources Development Act 2002)
ロイヤルティ:
Mineral and Petroleum Resources Royalty Act 2008
外資法:
鉱業はDMREの認可が必要
環境規制法 (環境影響調査制度、環境・排出基準の有無等):
National Environmental Management Act 1998, National Environmental Management Waste Act 2008
鉱業公社(環境):
・ AEMFC(African Exploration Mining and Financing Corporation):発電用石炭供給公社
・IDC(Industrial Development Corporation):政策金融
鉱業活動中の民間企業:
Anglo American社、Sibanye社、Impala Platinum社、 Glencore、Rio Tinto, South32社, Vedanta社他
最終更新日:
2020年02月28日

1.鉱業一般概況

南アフリカは、多くの鉱物資源を有し、特に、PGM、マンガン、クロム、チタン鉱石の生産量は世界第 1 位に位置付けられる。この他、ニッケル、石炭、鉄鉱石、ウラン、金、アンチモン、亜鉛等を生産しており、鉱業は GDP の約 7%、輸出総額の25%を占める主要産業である。

南アフリカの主要鉱産物の埋蔵量
鉱 種 南アフリカ(A) 世 界(B) (A)/(B)(%) ランク
PGM(t) 63,000 69,000 91.3 1
マンガン(千t) 230,000 760,000 30.3 1
クロム(千t) 200,000 560,000 35.7 2
ジルコニウム(ZrO2千t) 14,000 73,000 19.2 2
金(t) 6,000 54,000 11.1 2
バナジウム(千t) 3,500 20,000 17.5 3
イルメナイト(TiO2千t) 63,000 880,000 7.2 4
ウラン(tU)(*)(2017) 338,100 5,165,500 6.5 6
ニッケル(千t) 3,700 89,000 4.2 7
鉄鉱石(百万t) 770 84,000 0.9 10
コバルト(千t) 24 6,900 0.3 11

出典:Mineral Commodity Summaries 2019
(*)URANIUM 2018(Reasonably assured resources (recoverable), <USD130⁄kgU)

2.政治経済

<略史>
1652年 オランダ,ケープ植民地設立。
1910年 「南アフリカ連邦」独立。
1961年 英連邦から脱退し共和制移行(「南アフリカ共和国」成立)。
1991年 アパルトヘイト関連法の廃止。
1994年4月 初の全人種参加型の総選挙を実施。
1994年5月 マンデラ政権成立。
1995年11月 全人種参加の地方選挙を実施。
1997年2月 新憲法発効。
1999年6月 第二回総選挙実施,ムベキ大統領就任。
2004年4月 第三回総選挙実施,ムベキ大統領再任。
2008年9月 ムベキ大統領辞任,モトランテ大統領就任。
2009年4月 第四回総選挙実施。
2009年5月 ズマ大統領就任。
2014年5月 第五回総選挙実施,ズマ大統領再任。
2018年2月 ズマ大統領辞任,ラマポーザ大統領就任。
2019年5月 第六回総選挙実施,ラマポーザ大統領再任。

2019年5月8日に国民総選挙が実施され、与党であるアフリカ民族会議(ANC)が過半数の議席を維持した。その後の通常国会にて シリル・ラマポーザCyril Ramaphosa 大統領の再任が承認され、就任演説では雇用対策の強化が強調された。組閣において、閣僚ポストを36から 28に削減しており、鉱物資源省とエネルギー省の統合(グウェデ・マンタシェ(Gwede Mantashe) 鉱物資源大臣が鉱物資源・エネルギー大臣となる)、貿易・産業省を経済開発省に統合(エブラヒム・パテル(Ebrahim Patel)経済開発大臣が貿易・産業大臣となる)など14省を7省に再編し、行政のスリム化を実現した。大統領が推進する経済政策に関係する閣僚の多くが留任したこともあり、経済界からは歓迎ムードである。一方で、多額の負債を抱える電力公社 ESKOM の経営改善が 喫緊の課題であり、新政権の手腕が注目されている。

2018年南アフリカのGDP成長率は1%を切っており、月によってはマイナスに振れることもあった。失業率が年々増加傾向にあり、2019年現在で29%を越えている。就業人口を増やすために、南アフリカ政府は、高付加価値化政策や新規投資促進に取り組んでいる。

3.鉱業政策

(1)黒人経済力強化政策(BEE)

南アフリカ政府の与党であるANC政権は、1994年のマンデラ大統領就任によるアパルトヘイト撤廃に基づき、人種間経済格差の是正を目的として黒人労働者の雇用促進と所得増加に力を入れており、本政策は「黒人経済力強化政策」(Black Economic Empowerment、BEE 政策)と総称されている。

各業界団体は独自の「BEE 憲章」を制定し、その業界の企業が達成すべき黒人優遇度合の数値目標を定めている。鉱業界では、採鉱権を得るためには、後述の鉱業憲章の目標値を達成しなければならないとされている。

2018年9月には鉱業憲章(Mining Charter)の3度目の改定が行われた。

(2)鉱業憲章(Mining Charter)の改定

鉱業憲章(Mining Charter)は、歴史的不利益を被ってきた南アフリカ国民への鉱山権益移転を促すことを目的としたもので、BEE政策の一環である。鉱物石油資源開発法(MPRDA)を根拠法として、2004年にはじめて制定された。

これまでに2度改定しており、3度目の改定として2017年にズワネ(Zwane)鉱物資源大臣(当時)によって新鉱業憲章が発表されたものの、鉱業協会等からの反発を受けたことから、パブリックコメントを踏まえて鉱物資源省が見直しを行い、2018年9月に最終案が公示された。

南アフリカ鉱業協議会からも、当初案にあった実施不可能な事項が削除され、ほとんどの項目は実施可能なものとして、最終案は概ね受け入れられた。しかし、いくつかの部分について、今後の鉱業投資を抑制 する可能性があるとして、2019年3月には鉱業協議会からJuridical Review(司法による審査)の申請が鉱物資源省に提出されている。

(3)炭素税の導入

炭素税導入については、2010年来議論されてきたが、2段階の運用のPhase1(2022年まで)について2019年6月1日より施行されている。CO2排出量1t当たり120ZARの税金が課されるが、鉱山を含む経済活動に伴う排出については60%が課税対象外になる。また、別途35%の免除措置もあるが運用については不透明な部分がある。

(4)鉱物・石油資源開発法(MPRDA法)改正の行方

MPRDA法は2002年に制定された南アフリカの鉱業活動を統括する基本法で、その後2008年に一部改正されている。2012年12月、MPRDA法の改正法案が内閣で承認され、2014年4月には国会を通過したが、ズマ(Zuma)前大統領が署名を前に差し戻し、その後、保留された状態が続いた。

本法案には、石油の探鉱権・生産権において政府が無償で20%の権益を取得できる「フリー・キャリード・インタレスト(Free carried interest)」や、戦略的に重要な鉱種については、生産者に対し輸出に代わり国内での高付加価値化を強制することを可能とする権限を鉱物資源大臣に与える条項が含まれており、業界関係者は同国への投資が減退すると警告していた。ラマポーザ(Ramaphosa)大統領就任後も改正については検討が続いていたが、マンタシェ(Mantashe)鉱物資源エネルギー大臣からは、鉱業憲章Ⅲの制定の過程で、MRPDA法改正法案を廃案とし、石油分野を分離した法案作りが提案された。

その後、MPRDA法改正法案の廃案が閣議決定され、議会に提出され、議会の承認待ちとなっている。また、石油・ガス分野をMPRDA法から分離した法的枠組みについて検討されており、法案のドラフト準備が進められている。

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