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ニュース・フラッシュ

2005年4月18日 バンクーバー 中塚正紀

ラテンアメリカの探鉱開発への反発

 ラテンアメリカに外国企業が目を向け始めたのは1990年代だが、近年の金価格の高騰、ラテンアメリカでの税額控除や奨励制度など企業の投資環境が非常に良いこと、またアメリカでの鉱山経営の難しさなどから、かつて鉱業で栄え、現在も豊かな鉱脈をもつラテンアメリカはカナダやアメリカの鉱山会社のさらに高い関心を集め始めている。しかし、露天掘りやシアン化物を使った精錬方法など近代的な鉱業技術がもたらす環境汚染への懸念から、地元では反対運動が活発化している。反対運動には地元の先住民、環境保護団体、宗教団体などさまざまなグループがかかわっており、暴力沙汰による死傷者も発生している。多くの人々が先住民族マヤ人であるアンデスの社会は自然を母なる大地と呼び、信仰の対象としており、環境汚染の問題だけでなく、露天掘り鉱山の開発で自然を破壊すことに大きな抵抗を感じる人々が大勢いる土地柄も反発を生む背景にある。鉱山開発反対グループであるNGOの“Earthworks”の代表者は、これからの鉱山開発での雇用者数は比較的少ないにもかかわらず、廃棄物は金属生産量に比例して大量に排出されると反対理由を述べている。
 2004年7月、ホンジュラスの裁判所はバンクーバーのSilverCrest Mines社の露天掘り鉱山が自然保護区に侵入しているとし、操業権の取り消しを命じた。また同年12月にはコスタリカの裁判所では環境破壊の恐れがあるとして、カナダのVannessa Ventures社の金鉱業権の取り消しを命じている。2004年11月、Newmont社はペルーで開発反対グループによる道路バリケードなどの妨害を受けCajamaraca地域の開発を中止するなど、反対グループによる抗議運動は勢力を増している。ただ、メキシコやグアテマラでは環境法が変わったことで鉱山の操業が困難となった場合、貿易協定により投資家が損害賠償訴訟を起こすことができるため、両国での反対運動は難しい状況に置かれている。

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