閉じる

ニュース・フラッシュ

鉱種:
ベースメタル
2006年3月31日 調査部 植松和彦

トルコ・オヴァシック(Ovacik) 金鉱山のあるベルガマ住民、欧州人権裁判所で勝訴

 トルコの地元紙等によれば、欧州人権裁判所は、3月28日火曜日、トルコ政府が、「ベルガマ対トルコ」として知られる裁判において、欧州人権条約第8条(私生活及び家族生活が尊重される権利)および第6条(公正な裁判を受ける権利)に違反していると判決を下し、住民に94万5千ユーロ(約1億35百万円)の損害賠償をするよう命じた。欧州人権裁判所の声明によると、原告一人当たり3,000ユーロを受け取り、そして訴訟費用として5,000ユーロを受け取ることになる。
 住民により申立てがされたのは、1998年で、トルコ西部イズミル県ベルガマのオヴァシック(Ovacik) 金鉱山の操業許可への懸念を示した。
 1992年、E.M. Eurogold Madencilik社(後にNormandy Madencilik A.S.として知られる)が、金の採掘権を取得した。採掘権は、10年間有効であり、金の回収のため、浸出工程でのシアンの使用が許可されていた。1994年、環境影響評価に基づき、環境省は、同社に対してOvacik金鉱山の操業を許可した。
 原告および他のベルガマ住民が要求したのは、同社が採用しているシアンを使用した工程の危険性、健康への危険性、地下帯水層汚染の危険性、地元周辺の生態系破壊を引き合いに出し、採掘権許可を無効にすることであった。1998年2月27日、彼らの異議申立は、受け入れられ、イズミル県知事局は、同鉱山を閉鎖するよう命じた。
 1999年10月、政府はその危険性を再検討した結果、以前より危険性が減ったと判断し、操業再開許可を出した。住民は、再度異議申立を行い、裁判所は鉱山の操業を停止するよう命じた。
 2002年3月29日、内閣は、「原則」として同社が操業を継続できるとした、しかし、行政最高裁判所(the Supreme Administrative Court)は、2004年6月23日の採掘権許可無効の申請に関する係争中の判決の執行停止を命じた。その判決に従い、イズミル県知事局は、同鉱山に対して2004年8月操業停止を命じた。
 欧州人権裁判所は、同鉱山は、公共の利益にかなっていないというトルコ裁判所の決定に同意した。欧州人権裁判所いわく、県当局者が、裁判所の再度の裁定にもかかわらず、鉱山の操業を停止しなかったことで、地元住民である申立人への安全対策を行わず、その結果として、トルコ政府は、申立人の私生活及び家族生活が尊重される権利を保障していないとした。
 欧州人権裁判所は、また同鉱山は、首相承認のもと2001年8月13日試験的に操業を再開している、これは判決回避に等しいと述べた。「このような状況は、法の支配および法律関係の保障に合致しない。」と欧州人権裁判所は述べた。
 なお、オヴァシック金鉱山は2005年3月、Newmont社からトルコの印刷会社Koza Davetiye社の子会社に売却されている。

ページトップへ