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ニュース・フラッシュ

2006年4月10日 メキシコ 権藤 浩

メキシコ・拡大する鉱山ストライキの現況とその背景

 地元一般紙(4月3~8日付)等によると、メキシコ全国鉱夫冶金労組(STMMRM)は、グルーポ・メヒコ(GM)社の鉱山施設等でストライキが拡大の一途を辿っている。
 ストライキの発生状況を時系列に整理すると以下の通りであり、これらのストライキには約2,500名の組合員が参加している。
(1) 2006年2月28日サカテカス州のGM社亜鉛鉱山サン・マルティン(San Martin)鉱山労組
(2) 2006年3月24日ソノラ州Nacozari de Garucia町の銅・モリブデン鉱山のGM社ラ・カリダ(La Caridad)鉱山労組
(3) 2006年 4月 1日ソノラ州Nacozari de Garucia町の銅・モリブデン製錬所のGM社アグア・プリエタ(Agua Prieta)製錬所労組
(4) 2006年4月 2日ミチョワカン州Lazaro CaedenasのSicartsa y Mittal Steel製鉄所労組
(5) 2006年4月 3日GM社石灰石プラント(能力25~28t/h)労組
 ストライキの影響に関して、メキシコ鉱業会議所(CAMIMEX)は、GM社がラ・カリダ鉱山・製錬所で2.5百万US$/日、銅318t/日を損失し、Sicaetsa製鉄所が3百万US$/日とし、合せて1日当り5.5百万US$の損失になるとの試算を公表している。
 ストライキの発端は、労働省がSTMMRMナポレオン・ゴメス前組合長の横領疑惑に対してエリアス・モラーレス(Elias Morales)氏を暫定組合長に認めたことによるゴメス支持派のストライキ(政府・企業は違法ストライキと位置づけ)である。更にこのストライキが拡大した原因に一つには、GM社の年次雇用契約の改定を巡る労使交渉決裂による合法的なストライキが重なったことである。両ストライキには、先のGM社Pasta de los Conchos炭鉱で発生したガス爆発事故の発生への対策要求も引合いに使われ、GM社に向けた労組員ストライキが中心となっている。
 ゴメス前組合長の疑惑に関しては、GM社が労組が所有していた同社の権益(5%)を買取り、同社は2005年1月にその買収金50百万US$をゴメス前組合長に支払った。これに対しこの資金が行方不明となり、横領したとして、労働省が暫定組合長に認めたエリアス・モラーレス(Elias Morales)氏は、2006年2月17日にゴメス前組合長を告訴した。
 ゴメス氏は、この告訴は不当であるとして、全国労組員にストライキを呼びかけ2006年3月2日に全国的な大規模な違法ストライキ(約6万人参加)が発生した。その後、ゴメス氏支持労組員は、メキシコ政府の労組人事介入は不法としてILOに告訴したが、政府はモラーレス氏を暫定組合長と認めただけだと反論している。
 GM社の年次雇用契約の改定を巡る労使交渉決裂による合法的なストライキに関しては、労組側は3月5日に期限が切れる労組員の単年度契約を複数年次契約へ改定するよう要求したが、GM社側は全支部労組員の年次雇用契約更新を拒否し、2006年3月2日に労組側は会社側の対応に抗議し合法的なストライキに突入した。更に、2006年2月19日にGMのPasta de los Conchos炭鉱でのガス爆発事故が発生、65名の死者が出たことに起因し、労組側は保安対策の不十分さを指摘し、要求項目に加わる。現在の労組側の主要な要求項目は、年次雇用契約の見直し、保安・衛生や設備管理の改善、家族や労働者に影響を及ぼす環境汚染対策の実施である。
 現状拡大するストライキについて表向きは労組側のGM社に対する雇用条件改善等の形をとっているが、その裏には、2006年5月の第1週に予定されている組合総会での新組合長選出を巡る駆け引きがあるのではないかとの見方がある。
 ゴメス前組合長は任期が2008年まであったが今回の横領疑惑で組合長職を更迭され、一方で労働省がモラーレス暫定組合長を認めている状況下、STMMRM新組合長については、正式な組合長選出が5月第1週の組合総会決議に委ねられることになり、今後のストライキの動向と併せて組合長選出の動向が注目される。

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