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ニュース・フラッシュ

2006年7月3日 バンクーバー 宮武修一

カナダ紙にみる大型買収の行方

 Phelps Dodge(PD)社が6月26日に明らかにしたInco社、Falconbridge社への友好的買収提案はカナダ各紙に大きく取り上げられ、多数の関係記事が掲載されている。6月28日の全国紙Globe and Mail紙はとりわけ多くの紙面を割いたが、ここから今後の見通しをとりまとめた。
 先ず焦点のひとつは、Falconbridge社買収の行方。今後Xstrata社が株式買い受け条件を上げInco社/PD社による獲得に対抗するのか、或いは現在の条件を保留するのかという点である。Scotia Capital社アナリストは、Xstrata社が買い受け条件を更に上げ、最終的にXstrata社がFalconbridge社を獲得する可能性は60%、他方、Xstrata社は条件を変えず、結果としてInco社がFalconbridge社獲得する可能性を40%としている。Xstrata社の株式買い受け条件は全量現金による買い上げであり、株主には魅力が大きいこと、また提示金額についても、Xstrata社には余力があるとし、一株あたり52.5C$の現行条件を、61C$程度にまで引き上げられるとみられる模様。
 仮にInco社がFalconbridge社を獲得し、新Inco社が成立する場合、PD社は果たして新Inco社の買収に対し、PD社株主の承認を得られるかどうかが次の焦点になるという。Scotia Capital社アナリストは、これを五分五分とみる。PD社によれば、得られる新Inco社との統合効果として、取り扱い鉱種の多角化による収益基盤の安定、年間3億5,000万US$のコスト削減効果が2008年までに期待されるとしている。他方、PD社株主にとっては、220億US$という巨大債務の発生と、3億株というPD社株式を新Inco社株主に譲渡せねばならず、株の希釈化が避けられない。加えて、Scotia Capital社アナリストは3億5,000万US$の統合効果についても、この規模の合併では効果は小さすぎると見ている。
 他方、Globe and Mail紙には今回の買収提案を妥当視するアナリストの見解も併記されている。PD社は、現在から2015年まで、銅価は年間3.9%、ニッケル価格は年間4.3%の割合で上昇するという見方を示しているが、中国経済の拡大などベースメタルの需要増は構造的なもので、市況はいわゆるスーパーサイクルの下、中期的に維持・上昇するという見方も存在しているからである。
 PD社株価は6月26日の友好的買収発表後、二日間で8.1%下落したが、その後の二日間で発表前の水準にほぼ回復した。

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