閉じる

ニュース・フラッシュ

2010年9月8日 シドニー 原田富雄

豪:連邦議会選挙は新資源税導入を求める与党労働党が勝利

 2010年8月21日、連邦下院解散及び上院半数改選の同時選挙が実施され、即日開票の結果、ギラード首相率いる与党労働党が議席数を大幅に減少させる一方、野党保守連合が議席数を大幅に増加させる結果となり、二大政党共に下院議席が過半数に届かないという、いわゆる宙ぶらりん(ハング・パーラメント)の状況となった。
 両党とも非二大政党議員(無所属、グリーン党)とりこみによる多数派工作を行ってきたが、9月8日に最後まで立場を表明してこなかった無所属議員2名が労働党支持を表明したことから、与党労働党が辛うじて過半数の76議席(下院議席数:150議席)を確保した。
 以上の選挙結果を受け、選挙期間中に一つの争点となっていた鉱物資源利用税(MRRT)導入に関しては、与党労働党は引き続き2012年7月1日導入に向け動き出すと考えられるが、2010年8月3日に、Swan副首相兼財務大臣及びFerguson資源エネルギー大臣は、MRRTを円滑に導入するための「政策移行グループ(Policy Transition Group(PTG))」のメンバー及び検討事項について発表しており、特にFerguson大臣は同Groupの共同議長を務めることから、今後の組閣人事での同大臣の去就が注目される。
 また、今回労働党を勝利に導いた無所属議員のOakeshott下院議員は、労働党との間で「Tax Summit」なる税制改革の検討の場の設置について約束を取り付けており、2009年末に連邦財務省のHenry次官中心に取りまとめられた税制改革案(Henry Tax Review)で取り上げられた138に及ぶ勧告について、この場で再検討することが想定され、この中でMRRTがどのように取り扱われるのかが一つの焦点になってくると見られている(注:ラッド前首相下の労働党政権は138の勧告のうちから新資源税を含む6件しか取り上げず、法人税の25%切り下げや、豪州の消費税に当たるGST改革については検討を先延ばしした経緯がある)。選挙期間を通じて、ジュニア鉱山、探鉱企業の業界であるAMECは、MRRTが一部の大手資源会社と手を組んだ産物として批判を強めており、今回「Tax Summit」が設置されるのであればMRRTを廃止し、新たに鉱業関係者全てが納得できる形での新資源税の導入を求めていくとのコメントを出している。
 一方、こうした鉱業関係者の期待とは裏腹に、新鉱業税導入で労働党に協調するグリーン党の出方に戦々恐々としている実態も浮かび上がっている。つまりは、新資源税を導入するためには下院のほかに上院での法案通過が必要であるが、上院において与党労働党は単独での過半数議席に達しておらず、グリーン党の持つ9議席の賛成が必要とされている。しかしながら、グリーン党のBrown党首は、教育分野で公立校支援には20億A$の追加税収が必要とし、また、法人税率軽減の観点からこれらの財源をMRRT課税率の引き上げに求めており、WA州のバーネット首相の「グリーン党は鉄鉱石、石炭以外の資源にもMRRTの対象を広げようとしている」というコメントが代表するように、資源業界にとって厳しい状況の出現も予想されている。

ページトップへ