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ニュース・フラッシュ

2011年5月30日 サンティアゴ 神谷夏実

チリ:Piñera大統領、年次報告で環境とエネルギー問題を強調

Piñera大統領は、2011年5月21日、国会で2010年3月の就任後初めての年次報告を行った。報告の内容は、経済、教育、保健、運輸、防衛、福祉、文化、鉱業、環境、エネルギー、外交等の各分野にわたった。2010年のチリ経済は順調な成長を続け、鉱業も好調であったが、報告の中では環境、エネルギー問題に比重が置かれた。特に、原子力発電計画の廃止、再生可能エネルギー導入の促進について言及した。再生エネルギーに関し、第Ⅹ州Aysen水力発電計画について環境保護派を中心とした反対運動が起きていることもあり、今後チリではエネルギー問題が大きな論議を巻き起こすとみられる。以下に鉱業、エネルギーに関係する内容を中心に要旨を概説する。
① 経済2010年の成長率は約7%、雇用増加数は487,000人と過去最大となった。投資は18.8%、輸出金額は31.5%増加し、順調な経済発展を達成した。
② 防衛軍予算への資金調達システムを改める法案が国会に提出された。
③ 鉱業鉱業投資見通しとして、今後5年間で鉱業投資は500億US$(このうちCODELCOの投資が約200億US$を占める)を超える。また、政府は労働省とともに鉱山保安体制の改善に取り組んでいる。
④ 環境環境問題とエネルギー問題をいかに調和的に解決できるかが、政府にとっての大きな課題となっている。
・環境関係行政機関の改組環境委員会(Conama)に代わり設立された環境省において、新たに設置されたServicio de Evaluacion Ambiente(環境評価局)とSuperintendencia del Medio Ambiente(環境監督庁)に次いで、今後、国家自然遺産を保護するためのServicio de Bioversidad y Areas Silvestres Protegida(生物多様性・野生動物保護局)が設立される。
*火力発電所の排出規制火力発電所から排出される汚染物質による環境汚染が起きているが、これを未然に防ぐ対策を講じる。火力発電所排ガス規制(量と質)を強化し排出基準(PM2.5)を設定した。現存及び新規火力発電所に適用する。
⑤ エネルギーn ・電力需要の増加持続的発展と貧困削減のためには、今後10年で発電需要は現在の2倍になるが、環境保全と経済発展に必要なエネルギーの確保を両立させるため、優れた基準と技術を適用する。
・原子力発電計画の廃止と再生可能エネルギー導入政府は、原子力発電のリスクを避けるため原子力発電所建設計画を破棄する。代わりにクリーンな再生可能自然エネルギーの普及を促進する。このため、政府は基金(8,500万$)を創設した。現在、国内に再生可能自然エネルギー発電のパイロットプロジェクトが100件余りある。
・Aysen水力発電プロジェクト政府は、再生可能自然エネルギーだけで電力需要を賄うことはできず、火力発電および水力発電で需要を満たしていく必要があり、Hidro Aysen水力発電プロジェクトは重要で欠くことの出来ないプロジェクトであると考えている。しかしながら、政府は国の経済発展と環境保全の両立が達成できるように、環境に関する法律および環境基準の適用を徹底させ、最新技術を適用して行く方針である。
*送電網システムの整備新しい全国高圧電線網プロジェクト(Sistema Interconectado Nacional)を発表したが、政府は、エネルギー政策について議論する専門家委員会を設立し、同プロジェクトについて具体的な調査検討を行う。
⑥ 外交関係n ・ペルー、ボリビアとの国境問題n *ペルーはチリ国境北側の領海を、ボリビアは太平洋への出口を要求していることに対し、Piñera大統領はペルー並びにボリビアとの既定の国境画定条約は有効であると反論した。
*同大統領は、南米諸国としてチリが初めてOECDへ加盟したことを報告した。

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