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ニュース・フラッシュ

2011年7月12日 シドニー 原田富雄

豪:連邦政府、炭素税導入を発表

 連邦政府は、2020年までに地球温暖化ガス排出量を2000年レベルに比べ少なくとも5%、2050年までに80%削減すると発表しており、この具体策となる炭素税と排出権取引制度の行方が注目されていたところ、2011年7月10日、連邦政府は「Securing a Clean Energy Future – The Australian Government’s Climate Change Plan」と呼ばれる炭素排出削減政策を発表した。
 同政策に当たっては、連邦政権党である労働党は、炭素税の詳細を検討する枠組みとして連立を組むグリーンズ(緑の党)及び、2010年の連邦選挙で労働党支援を表明した無所属議員を含む「多党による気候変動委員会(Multi-party Climate Change Committee)」を立ち上げるとともに、炭素税導入により影響を受ける関連団体などから意見を聞いていた。
 発表された骨子は以下のとおり。
 ・炭素税導入日は2012年7月1日、排出権取引制度導入日は2015年7月1日
 ・約500社が課税対象(炭素排出企業の60%に該当。個人・小規模事業者、農林漁業は適用外)
 ・炭素税はトン当たり23 A$(2012/13年度)、24.15 A$(2013/14年度)、25.40 A$(2014/15年度)
 ・排出権取引制度での最低取引価格は、導入から3年間は最低15 A$/t、最高20 A$/t

 ・炭素税導入により一般家庭当たり9.90 A$/週の負担増(電気代は3.30 A$/週)となるが、炭素税歳入の半分を家庭部門に補償(10.10 A$/世帯の助成)

 ・0.7%のインフレ率の増加。しかしながら雇用や経済への大きな影響なし
 ・制度の影響を受ける産業には3年間で92億A$を支援

 ・特に、影響の大きい鉄鋼業、アルミニウム精錬、亜鉛製錬、紙・パルプ業には排出量の94.5%に対し、LNGには初年度は排出量の66%、その後50%に対しフリーの排出枠(Free Permit)を設定

 ・製造業を支援のため炭素税歳入から120億A$をクリーン技術プログラムへ投入
 ・影響を受ける炭鉱労働者のため13億A$を職種転換へ支弁
 政府の発表を受けた豪州鉱業協会(MCA)は、「鉱業の9割に当たる企業は炭素税導入に対するセーフガードが盛り込まれておらず、資源企業は豪州から移転してしまい、全体として低炭素社会実現に向かわない」として政策を批判している。また、ジュニア企業の団体であるAMECや、各州商工会議所なども政策を批判している。

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