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ニュース・フラッシュ

2011年7月25日 ジャカルタ 高橋健一

インドネシア:未加工鉱物資源輸出禁止の政府方針に対する各界関係者のコメント

 2011年7月15日のHatta経済調整大臣による2014年までの未加工鉱物資源の輸出禁止報道に関し、その後、地元紙にはインドネシア国内の各関係者のコメントが掲載されているので、以下、主なものを紹介する。
 インドネシア商工会議所(KADIN)のHerman Afif Kusumo顧問はこの方針に賛同の意を示し、企業はこの方針を支持し、国内での製錬所建設に努めなければならないとの見解を示した。しかしながら、銅精錬所の建設には8億US$規模、ニッケル製錬においてはその内容により2億~20億US$規模の投資が必要であることを指摘し、政府は規制するだけではなく、企業に対しインセンティブを与える施策の創設が必要であると述べている。
 インドネシア国営石炭会社であるTambang Batubara Bukit Asam社のSukrisno社長は、石炭の高付加価値化義務政策については、新たな雇用創出の観点からも支持する考えを示した。石炭の品質を上げるには約80百万US$のプラント建設投資が必要とされている。この点に関しては、現在中国及び韓国企業から精製プラント建設の提案が出て来ており、個別の詳細は明らかにしていないが、両者の提案では同社の投資は必要なく操業コストの負担のみとなっており、投資リスクはないものとしている。今後も、中国、インドの石炭需要は拡大しており、加えて日本を始めとする他の国々のエネルギー需要も原子力から化石燃料への変換が期待でき、さらなる精製プラント建設も期待できるとの考えを示した。
 インドネシア大学Kurtubi経済学教授は、2014年までは約3年あるが、製錬所を建設するには十分な期間であるとし、経済性に関しても大規模な投資額は必要となるが、それに見合うだけの収益も得ることができ、さらにこの政策により新たな雇用創出も期待できるとの見解を示している。鉱山会社がこの点を理解しこのルールに従うべきなのはもちろんのこと、他の関連する企業も政府の方針をサポートすべきであると述べている。
 また、併せてHatta大臣から示された既存の鉱業事業契約(COW)の再交渉に関しても、以下のような意見が出されている。Mangantar S. Marpaung前石炭鉱物資源総局技術・環境部長(現職は石炭会社Pt Borneo Energy社コミッショナー)は、COWの再交渉は慎重に進めるべきであるとし、現在の政府には企業と契約の再交渉を行うだけの能力が十分ではなく、鉱業ビジネス事情及び関連法令を熟知した鉱山会社との交渉は極めて困難になるであろうと指摘し、現契約の期限が到来し、延長する際の条件として再交渉を行うことが理想的であると主張している。
 米国政府は今回のインドネシア政府の方針に対しては懸念を表明している。米Ted Osius在インドネシア大使代理は、契約再交渉の法的根拠は無く、一方的な契約再交渉は既存契約者のみならず潜在的な投資家が現在検討している計画も中止せざるを得ない状況になるなどにより、結果的に鉱業投資の減速を招くものと指摘している。加えて、インドネシア政府が計画している経済成長を拡大してゆくためには、投資環境上の透明性及び法律的な確実性の確保に努め、投資家の信用を得ることも重要な点であるとも主張している。

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