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ニュース・フラッシュ

2011年9月8日 サンティアゴ 神谷夏実

チリ:学生の教育改革抗議運動、増税につながる可能性も

 チリでは、ここ数カ月、大学生、高校生による教育制度改革要求のデモや抗議活動が続いているが、その矛先が税制改革に飛び火するのではないかとの憶測が生まれている。チリでは、高等教育に対する高額な教育費の存在、教育機会の非平等性があるとして、学生が教育制度改革、教育コスト引き下げに対する要求を行っている。ここ数カ月、サンティアゴ市内中心部での抗議運動は過激化しており、2011年8月下旬には公務員、交通機関を含む2日間のストライキへ発展し、学生一人が死亡するという事態にもなっている。9月3日には、学生代表がPiñera大統領と会談し、一部について歩み寄りが見られたものの、学生側が要求していた教育無償化と教育機会の平等化には大統領が反対する等、基本的な問題について、両者の対立は続いている。
 こうした教育コストの引き下げを伴う改革は、増税等による政府歳入の増加によって補填する必要があり、最終的に、法人税、鉱業ロイヤルティの引き上げ等につながる可能性があるとの憶測が生まれている。隣国のペルー、ブラジルでは鉱業ロイヤルティ引き上げが検討されているが、チリにおいて2010年に続く鉱業ロイヤルティ引き上げは難しいとの見方もされている。
 Piñera政権は発足から18カ月が経ったところであるが、大統領支持率は26%というPinochet軍事政権下以後、最低ラインで推移しており、苦しい政権運営を迫られている。また、同時にチリ南部での水力発電ダム建設に反発する抗議運動や、第II州Calama市におけるゼネストも発生している。チリは、2010年にOECDに加盟したとはいえ所得格差が拡大する等、国民の不満も高まっており、今後の政局、世論動向が注目される。

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