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ニュース・フラッシュ

2011年10月22日 サンティアゴ 神谷夏実

ブラジル:鉱業法の改正についての最近の動向

 ブラジル政府は、鉱業法改正を含む鉱業政策見直しのための準備作業を進めているが、政治的な調整に手間取っている模様で、最終調整が行われているとされているものの、法案の国会提出には至っていない。法案についての情報は断片的でまとまったものがないが、2011年10月21日付け、Valor紙の報道を中心に、現在検討されている内容をまとめた。
 現在、鉱業法改正(主に鉱区管理の改正)、鉱業ロイヤルティ(CFEM:Contribuicao Financeira pela Exploracao de Recursos Minerais)の引き上げ、新鉱業監督官庁設立の3つ改正案が検討されている。これまでの報道情報をもとに、現段階での新鉱業法の概要をまとめた。

① 現行ロイヤルティは0.2%~3%の範囲で設定されているが、これを0.5%~6%に広げる。このうち、鉄鉱石は現行の2%から4%に引き上げられる。肥料原料用のカリウム鉱石、リン鉱石は、国内生産を推進するために1.5%程度の低率に押さえられる見込みである。ブラジルは、現在カリウム肥料の90%、リン酸肥料の45%を輸入に依存しており、今後の農業生産の増加を促進するために、ロイヤルティは引き下げられる可能性がある。

② 生産性の高い鉱山に対する特別税(paeticipacao especial)を徴収する事が計画されているが、そのメカニズムは未だ検討中。適用対象鉱山は国内約3,000鉱山のうち、Para州Carajas地域、Minas Gerais州鉄鉱石四角地帯を中心とする約80の鉄鉱石鉱山となる見込みである。

③ 探査権の許可期間は、現行どおり3年(更に3年間の更新可能)である。ただし、新制度では申請時に最低投資額を政府にコミットすることが義務付けられる可能性がある。

④ 採掘権(concessao)は抜本的に改正し、現行法では無期限であるところ期間を設定する。当初案では35年であったが、現在の法案では20年に修正されている。「20年間の更新可能」については、豪州、カナダが各々21年、20年間である事を参考にしているとされる。採掘権に対する期限設定は、ブラジル鉱業協会等業界側は反対している。なお、ブラジル憲法において、探査権は3年間の期間が明記されているが、採掘権については期間が明記されておらず、採掘権の期間の設定は憲法論争を引き起こす可能性があるとの見方もされている。

⑤ 外国企業に対しては、許認可時に生産の最低限の部分を国内市場向けとする事を義務付ける。これにより、外資企業が輸出市場への供給のみを目的として新規鉱山を開発する、あるいは鉱山会社の買収を図る事は出来なくなる。

⑥ 外資企業に対する、国境から150 km以内の地域での開発禁止措置は継続される。

⑦ 農業肥料の輸出を目的としたカリウム鉱石及びリン鉱石の採掘認可を禁止する。

⑧ 新鉱業監督庁の設置に関し、人員配置についてこれまで企画省との間で折衝が続いていたが、調整は終了したとみられる。新設機関であり、その権限及び人員配置については、連立与党内でも政治的な調整が難航している模様である。

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