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ニュース・フラッシュ

2011年11月14日 リマ 山内英生

ペルー:Apurimac県内で反鉱業運動激化、政府合意書に署名も鎮静化せず

 2011年11月10日~14日付け地元紙等によると、Apurimac県Andahuaylas郡では、同郡内における鉱業活動の中止を訴える住民ら約1千人が1週間あまりにわたり抗議運動を行っていることを受け、11月10日にHerreraエネルギー鉱山大臣、Caillux農業大臣、De Echave環境政策次官等によって構成される委員会が現地入りし、抗議デモの中心組織である灌漑利用者委員会との協議を行った。
 Andahuaylas病院内で行われた協議の場において、灌漑利用者委員会はAndahuaylas郡の53%、及びChincheros郡の15%に鉱区がかけられている現状に対して農家が危機感を抱いていること、また、両郡内には100以上の湖を始めとする数多くの水源があること、違法鉱業によってこれらの水源が汚染されていること等を訴えた。また、Andahuaylas郡及びChincheros郡内における鉱業権を無効とする緊急政令の発令と、違法鉱業によって操業されている鉱物加工プラント2件の48時間以内の閉鎖を実施すること、及び協議の結果をとりまとめた合意書が作成されたものの、両大臣が署名を行わずに協議の場を立ち去ったことから、抗議デモが激化し、その後警官隊との大規模な衝突が発生し多数の負傷者が発生した。この件に関してCaillux農業大臣は、「無言で立ち去ったのは、警備担当者から協議の場となっていた病院の入り口を抗議デモ隊が閉鎖しようとしているとの情報を得たこと、要求を受け入れないなら、病院からは出さないとする抗議の声が上がっていたことなどから、安全確保を優先したためである」と説明した。農業大臣は「鉱山大臣と合わせて2人の大臣が住民に拘束される事態は避けなければならなかった」と説明した。
 翌日の11月11日に、両大臣は、政府として違法鉱業への反対の立場が示されているほか、両郡における今後の鉱業活動の全面的な禁止を次の閣議で提案すること、また、デモ隊は抗議行動を中止すること等が約束された合意書へ署名した。しかしながら、両郡での抗議行動は収まる気配を見せておらず、デモ隊は、合意書は問題解決を先送りしようとする中央政府の手段に過ぎないとして、両郡における鉱業活動の全面禁止を認める最高政令が発令されるまでは抗議行動を継続するとの立場を示しており、デモは11月14日現在も実施されている。
 なお、Herreraエネルギー鉱山大臣は、Andahuaylas、Chincheros両郡においては大規模鉱業活動は行われておらず違法鉱業のみが存在しているとして、違法鉱業の取り締まりを管轄する県政府が実施するべきだとの考えを示した。
 一方、ペルー鉱業石油エネルギー協会(SNMPE)のMartinez会長は、Andahuaylas郡、Chincheros郡の抗議デモは、当初は違法鉱業を対象としたもであったにも拘わらず、合意書への署名によって両郡における鉱業活動が全面的に禁止となる可能性があることは非常に遺憾であるとして、違法鉱業と合法的な鉱業が混同されたことを批判した。また、今回のような抗議によって鉱区付与や鉱業活動の禁止が取り決められることになれば、ペルーの鉱業に大きなマイナスの影響を及ぼすとの考えを示した。
 なお、Apurimac県では、今回のデモ対象地域とは異なるものの、Las Bambas銅プロジェクトやHaquira銅・モリブデン・金・銀プロジェクト等の重要なプロジェクトが実施されており、業界からはこれらの鉱業活動への影響を危惧する声も上がっている。

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