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ニュース・フラッシュ

2012年1月17日 モスクワ 大木雅文

ロシア:2011年のロシア金属工業

 2011年12月30日付け現地報道において、2011年のロシア金属工業についての以下のような概要が掲載された。

1. 概況
 2011年初頭はロシアの大多数の産業分野にとって状況は非常に明るかった。多くの企業は生産量を徐々に回復させる傾向が見られた。しかし、その後、世界経済は米国及びユーロ圏諸国の国家債務問題を背景に危機に直面した。これらの問題はロシアにも影響し、対ドル・ルーブル安と原料価格の高騰を招いた。
 ロシア金属工業分野への影響は、世界市場と密接に関係しているため、企業の株式相場と工業用金属価格の下落が始まった。一方、貴金属部門では、金価格が歴史的新記録の樹立を続け、その長期予測を上方修正するに至った。
 大手企業の多くは自社資産の過小評価を恐れ、市況の悪化を理由に、2011年年初から予定していたIPOの無期限延期を決定した。その中には、自社の金採掘部門(Nordgold)の株式上場をしようとしていたセヴェルスタリや、チェリャビンスク管圧延工場等の企業が含まれる。 各種リスクを考慮し、多くの企業がIPOから他の資金調達手段へと切り替えた。

2. 注目企業
 (1) 既存企業

 セヴェルスタリ社の金採掘部門の発展は順調に継続し、年初のIPOは延期したものの、2011年末には同部門を分離して別組織とすることを決定した。これに加え、同社は一貫して良好な財務実績を示し、株主へは相当な中間配当を行った。投資金融会社メトローポリのアナリスト、セルゲイ・フィリチェンコフ氏は、「原料採掘部門へのほぼ完全な垂直統合、効果的なコスト管理、長期的成長を目指すビジネスモデルにより、同社はこの部門で最良の財務実績を年間を通して示すことができた。年初からの同社株の動向は主要ライバル企業や市場全体より良好に見える」としている。また、ルネッサンス・キャピタルのボリス・クラスノジェノフ氏とウラルシブ・キャピタルのドミトリー・スモーリン氏によると、重要なファクターとなったのは海外資産のリストラ成功としている。

 (2) ベンチャー企業

 ポリメタルとエヴラズの両社はロシア企業で初めてロンドン証券取引所(LSE)でプレミアム上場を果たした。2011年12月半ばに上場に成功した後、両社株式はFTSE100指数に登録された。最も有力な株価指数の一つに登録されたのは、ロシアで主要事業を展開する企業としては両社が初めてである。ロシア最大手の金採掘企業ポリュス・ゾロトも上場を予定している。

3. 年間肯定的・否定的要因
 肯定的要因は、世界経済が深刻化する中で価格の新記録を樹立した金である。他方、否定的要因としては、ルネサンス・キャピタルのクラスノジェノフ氏は、「金属工業分野は2011年、マクロ経済要因の影響下にあった。まずそれはEUの債務問題とユーロ圏崩壊の脅威、そして中国経済発展減速の危機である」としている。

4. 年間M&A案件
 2011年最大の取引の一つは、セヴェルスタリが自社の金採掘部門を株式分割によって分離し、別組織Nordgoldを設立したこと。
 2011年の買戻しの数では、ノリリスク・ニッケルが年間で総額90億US$の3件の買戻しを行った。最後の買戻しは少数株主の大規模な投機を煽り、幹事会社には何日も行列が続いた。

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