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ニュース・フラッシュ

2012年4月2日 バンクーバー 大北博紀

加:カナダの天然資源部門への中国からの投資に関する報告書が公表

 2012年3月27日付け現地報道等によると、カナダ評議会(Canadian Council of Chief Executives(CCCE))によりカナダの天然資源部門への中国投資に関する報告書が公表され、「天然資源部門への中国による買収のほとんどは国家安全保障を脅かさない」と報じている。
 本調査は、アジアの経済成長力がカナダに与える影響の一環として実施されたもので、2011年3月26日に「カナダへの中国直接投資-脅威それとも好機-(Chinese Foreign Direct Investment in Canada:Threat or Oppourtunity?、著者:Theodore Moran(以下、Moran氏、Georgetown大学国際ビジネス科教授)」が公表された。本報告書でMoran氏は「このような取引では必ず繊細な問題が取りざたされるが、提案された外国企業による買収の大多数は国家安全保障に少しの脅威も引き起こさない。」と述べている。
 過去2年間のPetroChina、Sinopec及びChina National Petroleum Corp等の中国国営企業によるカナダへの直接投資は141億C$、オイル・ガス部門へは100億C$以上が投資されている。2011年12月には、カナダ連邦政府がSinopecによるDaylight Energy社(カルガリー)への22億C$の入札を許可しており、初めて中国国営企業がカナダのオイル・ガス部門の100%買収に成功した。その他、中国による鉱業とオイルサンド部門の買収例として、2012年1月のPetroChinaによるAthabasca Oil Sands社Mackay River oil sands プロジェクトの40%権益取得(6.8億C$)、カナダ最大の探鉱会社Teck Resourcesの株式20%保有等を挙げている。
 Moran氏は、中国による資源部門への投資が世界の資源の寡占化をもたらすという懸念を否定しており、最近の中国投資を見るとカナダ企業の生産の拡大、競争力の強化等に貢献していると主張している。国家安全保障を脅かすか否かを判断するため、以下の3つの基準のテストを勧めている。
 ・ 買収により商品及びサービスの供給が不安定化し、供給制限をする外国企業に頼ることにならないか
 ・ 買収がカナダの利益に害を及ぼす技術及び知識の流出にならないか
 ・ 買収がスパイ活動、監視又はサボタージュの基盤にならないか
 これらを検討した結果、2010年にBHP Billitonが提案したPotashCorpの敵対的買収は、連邦政府により国家安全保障の観点から却下されている。また、想定されるケースとして、カナダのREE生産者に対し中国による買収があった際には既に中国がREEの世界生産量の95%を所有しているため、国家安全保障上阻止されるべきであると述べている。

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