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ニュース・フラッシュ

鉱種:
鉄鉱石
2014年5月13日 バンクーバー 山路法宏

米:膨大な輸入と世界的な生産過剰により米国鉄鋼業界は50 万人の雇用喪失の恐れ

 2014 年5 月13 日、米国鉄鋼労働組合(United Steelworkers、以下、「USW」)は、米国鉄鋼業界が直面する大きな課題に関する調査レポート「Surging Steel Imports Put Up to Half a Million U.S. Jobs at Risk」を公開し、不当に廉価でかつ押し寄せるように輸入される鉄鋼製品と、世界的な生産能力の過剰により、思い切った対策が打ち出されなければ、米国内で最大50 万人もの雇用を失う恐れがあるとして、連邦議会及びオバマ政権に対して警鐘を鳴らしている。本レポートは、米国経済政策研究所(Economic Policy Institute)及び米Stewart & Stewart法律事務所によって実施された。

 本レポートによれば、他国の鉄鋼メーカーは各国政府の支援を背景に需要低迷の中でも生産能力の拡大を続けた結果、自由市場である米国に供給過剰な鉄鋼製品が流入したために、米国鉄鋼業界は過去10 年以上の中で最悪の危機に瀕している。現在、世界的な供給余剰は10 年以上前のアジア金融危機後の2 倍以上にあたる5億t超に及んでおり、そのうちの3 分の1 を占める中国をはじめ、韓国、インドでも生産過剰状態となっている。こうした中で、2014 年1 ~2 月には前年同期比で24.5%増となる6.4百万tを記録するなど近年の米国での輸入増加が一層加速している。

 米国では、2012 年初頭の時点で、4,184 名の鉄鋼労働者が外国からの輸入増加により損害を被った労働者や企業を支援する貿易調整支援(Trade Adjustment Assistance)プログラムによる救済措置を受けている。2014 年Q1でも約1,000 名の労働者が解雇されており、米国鉄鋼業界では2012 年時点で583,600 名の労働者を抱えているが、これらの雇用が危機にさらされているとして、政府に対して貿易救済措置を求めている。

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