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ニュース・フラッシュ

2014年9月1日 モスクワ 木原栄治

ロシア:金属業界、制裁下でも業績上向きに

 2014年8月14日付け地元報道等によると、欧米からの対ロシア制裁の実施により市場は不安定な状態が続いているものの、2013年に慢性的に下落していた金属価格は2014年には上昇へと転じている。状況が変化した原因についてアナリストは製品在庫の枯渇と2013年の金属生産削減であると見ている。

 2013年のロシアの金属生産は世界的不況により金属製品需要が低下する中で2.1%減少した。金属加工・製錬会社のUralelectromed社の2013年販売高は12億ルーブル減となった。これは販売構造の変化と製品価格の下落によるものである。同社の2013年の純損失は1億5,580万ルーブルとなり、溶融亜鉛めっきプラントは操業を停止した。

 2014年、金属業界は徐々に落ち着き、市況は好調とは言えないものの金属企業の生産ペースは上がり始めている。ウラル採鉱冶金会社(UMMC)の2014年の生産量は亜鉛10万9,700t(2013年10万5,200 t)、ケーブル製品27万2,400 t(同26万1,200 t)を予定している。非鉄圧延製品は5万6,800 tから5万8,000 tに増産予定であり、銅粉生産は前年並みの6,700 tを見込んでいる。一方、減産を予定しているのは銅カソード(2013年の38万700tから37万5,000tへ)、鉛(同1万4,800 t から1万3,800 tへ)、銅線材(同28万8,200 t から28万5,000 tへ)である。

 UMMCの長期計画には、Uralelectromed社のプラント拡充、Gaisky採鉱選鉱コンビナートの能力拡大、Safyanovskoe鉱山の坑内掘への移行、Elka及びElanニッケル鉱床開発、Yubileinoe、Podolsk、Ozernoe硫化銅鉱床開発があり、2022年までにこれらに1,350億ルーブルを投じる予定である。

 UMMCのチェリャビンスク亜鉛工場(CZP)は、2014年上期の純利益が前年同期比15倍以上となった。売上高は前年並みの58億ルーブルであった。

 業界の例外的存在は、アルミニウム最大手のRusal社である。同社はスヴェルドロフスク州にSevuralboksitrudaアルミナ工場、ウラル・アルミニウム製錬所、ボゴスロフスク・アルミニウム製錬所を保有しているが、2013年の損失は32億US$で、前年比5倍以上に膨らんだ。同社は数年連続でアルミニウムを減産し、スヴェルドロフスク州ほかロシア全土の不採算生産施設を閉鎖しつつある。ボルゴグラード、ウラル、ボゴスロフスク、ナドヴォイツィ、ヴォルホフの各アルミニウム製錬所の電解生産は停止している。Rusal社の2015年のアルミニウム生産量は355万t以下と予想され、2008年以来最低となる。こうした状況の主な原因はアルミニウム価格の低迷である。Rusal社は、操業停止中の生産施設についてはアルミニウム価格が2,500US$/ tに達するまで再稼働しないと発表している。

 国際政治情勢の複雑化と対ロシア制裁の実施は今のところウラルの金属企業には影響を与えていない模様である。大半のウラルの金属企業は、製品のごく一部をEU及び米国に輸出しているに過ぎないため、対ロシア制裁により甚大な損害を被ることはないというのが市場の見方である。

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