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ニュース・フラッシュ

鉱種:
ベースメタル
2015年3月13日 サンティアゴ 山本邦仁

チリ:Los Villos裁判所、Los Pelambres銅鉱山El Mauro廃さいダムの撤去を命令

 メディア報道によると、2015年3月9日、Los Villos裁判所は、Los Pelambres銅鉱山のEl Mauro廃さいダムがPupio川河口の水量と水質に影響を及ぼしているとするCaimanes地区住民の訴えを認め、同ダム堤体の一部または全部を撤去することを命ずる判決を下した。同鉱山を操業するAntofagasta Minerals社(Antofagasta社)は、これを不服として3月12日、La Serena上訴裁判所に上訴した。

 El Mauro廃さいダムをめぐっては、2014年10月21日、チリ最高裁判所が、Caimanes地区の住民が起こした同ダムの取り壊しを求める訴えを認める判決を下している。それに対して、2014年11月、Antofagasta社は、最高裁判決を遵守するために必要な追加工事実施計画を裁判所に提出していたが、今回の判決は、計画が不十分であると判断したもの。

 Antofagasta社によると、上訴の裁定が下るまではEl Mauro廃さいダムの使用は可能であるが、同ダムが使用できなくなる場合、操業停止を余儀なくされる模様。その結果として生じる、契約解除、従業員の解雇などによる地域社会・経済へ影響は計り知れないとしている。

 本件に関して、政府は鉱山側と住民側との話し合いによる解決を推奨しているとされるほか、Williams鉱業大臣は「判決が翻らないのであれば、これを順守しなければならない」とコメントしたほか、判決を不服とするLos Perambles鉱山労働組合や請負業者への訴えに対し「司法が決めたことに意見は挟まない。企業には不利な裁決であってもそれを履行する必要がある」と語った。

 鉱業審議会(Consejo Minero)Villarino会長は、「350百万tの廃さいを渓谷に放り出せと言うのは理解に苦しむ非常識なことである。廃さいダムは全ての規則を遵守して建設され、更に定期的な監査を受けていたことも注目すべきである」と指摘した。

 また、CPC(チリ生産・商業連合)Andres Santa Cruz理事長は「Los Pelambres鉱山は追加対策を提案する余地はあるが、これまでの対策は全ての環境基準を満たすものであり、鉱山は関連規則を法に則って遵守してきた。廃さいダムの撤去命令は世界でも例が無い異常なことであり、起こり得る環境汚染や人々に与える被害を考慮していない」と語ったほか、SOFOFA(チリ製造業振興協会)Hermann理事長は「プロジェクトの開発ならびに鉱山操業のために与えられた許認可を全て無視することで環境制度をないがしろにしている。最低限の保証がないので発展や振興は望めない」と語るなど、産業界からも懸念が表明されている。

 Baker & Mckenzie法律事務所Rodrigo Benitez氏は「最高裁の要請事項を見る限り、堆積場の撤去が唯一の選択肢ではないと考える。(Los Pelambresが提案した)対策が条件を満たしているかどうかが問われるべきで、その際に撤去による経済ならびに環境・社会へのリスクをも考慮に入れるべき」と言う。更に「環境手続きを済ませ、全ての許認可を得られた時点で操業できるものだと考えるのが普通である。環境影響の進化で許認可が不適切になってしまった場合、それを修正するシステムがある。本件は(チリの国としてのイメージを崩さないためにも)、環境裁判所で解決すべきことなのかもしれない」と述べた。

 El Mauro廃さいダムに関する鉱山サイトでの地域住民による抗議運動は3月11日までに終息したが、銅金属量8,000 tの生産減に相当する鉱山操業への影響が生じた。

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