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2018年10月23日 リマ 栗原健一

コロンビア:住民投票による鉱業・エネルギープロジェクトの阻止に歯止め

 2018年10月12日付け地元紙によると、10月11日、憲法裁判所大法廷は、賛成5票、反対1票で、住民投票はコロンビア国内で実施されるプロジェクトを阻止する権限を有さず、その手段にもならないとの判決を下した。
 同裁判所のCristina Pardo担当裁判官は、地下所有権や天然資源は国家を筆頭に全てのコロンビア人に属するものであり、住民投票というメカニズムによってこれを覆すことは出来ないとの判断を示した。さらに、炭化水素資源の開発を禁じる住民投票メカニズムは存在せず、開発の是非は両者が平和的な合意に基づき決定されなければならないとの考えを示した。
 Externado大学のMilton Montoya教授は、今回の判決はコロンビアにとって喜ばしいニュースであり、数か月間にわたって政府や鉱業・エネルギーセクター、これらのプロジェクトが実施される地方に広がっていた懸念に終止符を打つものだとの考えを示し、「非常に必要とされていた判決だ。住民投票というメカニズムで鉱業・エネルギープロジェクトを禁止できないことを、法的に明確にした。」とコメントした。
 同様にMinería y Medio Ambiente社のBayona弁護士は、本判決について、全ての機関・制度の権限と範囲を明確にし、国民に知らしめるものであるとの考えを示したほか「住民投票に関し、裁判所や裁判官に対する指針の付与が必要とされていた」とコメントした。
 なお最終判決の発表には今後数か月を要するものの、両氏ともに今回の判決が実質的な確定判決となり、住民投票に関する議論は収束する見通しを示した。
 なお、憲法裁判所は、鉱業プロジェックトを実行するか否かに関する利害関係者間の合意プロセスが明確でないことを認めた上で、国会に対し、本件について2年以内に関連法規を制定するよう命じた。この点についてMontoya教授は「合意形成は重要だ。合意形成の方法を明確に示す法案の作成が必要だ」とコメントした。
 今回の憲法裁判所判決は、Meta県のCumanal市において石油掘削プロジェクトの阻止を目的として実施された住民投票の結果を認めたMeta県高等裁判所の判決を不服として、本プロジェクトを実施する多国籍石油企業Mansarovar Energy社が起こした権利保護請求に対するものであり、この住民投票で、住民らはプロジェクト開発に対し反対票7,475票、賛成票183票を投じていた。
 今回の判決を受け、コロンビア鉱業協会(ACM)の会長Santiago氏は、住民投票により阻止される可能性のあった多くのプロジェクトが息を吹き返すだけでなく、法的安定性をもたらすものであるともに、国家は持続的な国家財政を目的として地下資源を活用する権限を有していると説明した。
 さらに、住民投票のメカニズムは誤用・乱用され、今月までに153の自治体において住民投票のイニシアチブが158件提案され、9件の住民投票が実行された一方、現行法において市民参加のシステムが存在していないとの主張は誤りであり、実際には鉱業権取得や環境ライセンスプロセスにおいて市民参加が行われると説明した。
 また、憲法裁判所による今回の明確な判決は、住民投票が資源採掘活動を規制する誤った情報の拡散回避につながるとの考えを示したほか、社会・環境問題に対し合法的かつ責任ある経営に尽力している鉱業プロジェクトの投資家らに法的安定性を与える喜ばしいものだとコメントした。

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