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ニュース・フラッシュ

鉱種:
2019年7月30日 リマ 栗原健一

ペルー:Tia Maria銅プロジェクト争議、他州にも拡大の動き

 2019年7月19~26日付け地元各紙によると、7月19日、Arequipa州政府はエネルギー鉱山省に対し、既に付与された鉱山建設許可の見直し請求を提出した。州政府は見直し請求を行った理由の一つとして、Tia Maria銅プロジェクトが「Lomas de Cachendo」と呼ばれる脆弱な生態系エリアと重複している点を主張している。本請求はエネルギー鉱山省の鉱業審議会の中で審査される見通しとなっている。
 7月24日、Vizcarra大統領はArequiipa州を訪問、エネルギー鉱山省は上記の見直し請求に対して翌週にも回答するとし、Tambo渓谷の住民に対し平静を呼びかけた。
 同日夜、ペルー南部7州(Arequipa州、Moquegua州、Cusco州、Tacna州、Madre de Dios州、Ica州、Apurimac州)の知事は共同声明を発表し、大統領との前向きな対話を評価した一方、政府に対し、新鉱業一般法の策定に向けた参加型の協議の促進を要請した。本件についてCusco州知事は、Las Bambas銅鉱山、Tia Maria銅プロジェクト、今後は別のプロジェクトと次々に争議が発生するのは鉱業政策や制度に欠陥があるからだとし、新鉱業一般法の必要性を主張したほか、Arequipa州知事は、8月中旬にも法案を提出する見通しを示した。
 さらにPuno州知事は、天然資源に対する国家の役割を定めた新憲法が必要だとの考えを示したほか、Tacna州知事は鉱山企業に対し水資源の利用の対価を求める制度を提案した。
 またペルー中部のJunin州知事は、現在大規模・中規模鉱山が中央政府の管轄となっていることに対して、新鉱業法案においては「少なくとも」中規模鉱山に関しては州政府管轄にするべきだとの考えを示した。
 このような一連の動きに関して、政治アナリストは、大統領が建設許可の見直し請求に対し週明けにも回答すると発言したことで、建設許可取消の可能性に対する地元の期待感を生む結果となったとしたほか、引き換え条件としてArequipa州知事に抗議デモの中止を要請するべきだったと指摘した。
 一方ペルー鉱業石油エネルギー協会(SNMPE)会長は、Arequipa州が中央政府に対し、鉱山建設許可の見直しや取消を対話協議の条件とする事態を非常に懸念していると表明、ペルー経済が減速する中、投資家に対して非常に悪いメッセージをもたらすものだとコメントした。
 同様にSNMPEジェネラルマネージャーは、上記の声明を発表した知事の州の多くが、ここ20年間の鉱業活動の産物である鉱業Canon税を財源としているとした上で、州知事の提案は、鉱業政策や投資ルールの根幹に関わるテーマであり、現時点でこれを変更することは国にとって甚大な損害をもたらすことになると警告した。さらに、このような提案が行われること自体、政府の鉱業政策の明確性の欠如を感じさせ大きな不安感をもたらすものであるが、大統領が本提案に応じる可能性があることが事態をより深刻なものにしているとし、企業による投資計画の見直しにもつながりかねないと警告した。

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