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ニュース・フラッシュ

鉱種:
ニッケル
2019年9月13日 ジャカルタ 南博志

インドネシア:(続報)政府が低品位ニッケル鉱石の再輸出禁止の2020年1月への前倒しを決定

 標題のニュースに関して、2019年9月に入って以降の地元メディアの報道を取りまとめた。
 9月2日にエネルギー鉱物資源省Bambang Gatot Ariyono石炭鉱物総局長が記者会見を行い、2020年1月1日からの低品位ニッケル鉱石の再輸出禁止を公式発表した。同総局長は再輸出禁止の前倒しの理由として、①ニッケルの可採埋蔵量が現在698百万tであり、新たな埋蔵量の追加なく今後も輸出を継続する場合は7~8年で枯渇する試算であること、②既に国内での低品位ニッケル鉱石からの製錬が可能になっており、なおかつ、EV向け電池材料としても活用できること、③今後、国内のニッケル製錬能力が24.1百万t(11か所)から今後は81百万t(36か所)に増加する見通しで、国内で生産した鉱石をすべて国内で製錬できるようになること、の3点を挙げたとのこと。同省は現在の鉱業契約・許可の期間に関係なく、すべてのニッケル輸出会社に対して2020年1月1日からの輸出禁止を規定、指示を行った。(なお、インドネシアのニッケル資源量は合計28億tとのこと)
 その後、同省Yunus Saefulhak鉱物事業開発部長は、今般の再輸出禁止の前倒し対象はニッケル鉱石のみであり、洗浄工程後のボーキサイトや銅精鉱は2017年規則どおり2022年1月まで輸出を認めると説明した。また、現在低品位ニッケル鉱石等の輸出許可を付与している会社に義務付けている国内製錬所建設の完成期限についても、2022年1月から変更しないとの方針を明らかにした。
 またBambang総局長は、上記理由の②及び③の背景として、2021年末までにEV向け電池材料を生産する大型ニッケル製錬所が4か所稼働することを具体的に挙げた。中国電池リサイクル大手GEM(格林美)社、中国電池CATL(寧徳時代新能源科技)社、中国ステンレス青山集団等が出資するPT QMB New Energy Materials、中国Zhejiang Huayou Cobalt(浙江華友コバルト)社、PT Inalum等が進めるPT Huayou Nickel Cobalt、インドネシアHarita Group傘下のPT Harita Prima Abadi Mineral、そして、PT Smelter Nikel Indonesiaである。前2者はいずれも中央Sulawesi州Morowali工業団地に位置し、ニッケル、コバルトを生産、後2者はいずれも混合水酸化物、硫酸ニッケル、硫酸コバルトを生産する計画している。同総局長は「これら4社の年間鉱石処理量は約27百万t、稼働すれば低品位ニッケル鉱石を国内で製錬することが可能になる」と述べた。
 また、他者からの意見としては、賛否両論が上がっている。
 PT Antamは、利益は減少するも大きな問題ではなく国家として有益であり、同社としては製錬所建設に注力していく、とした。PT Vale Indonesiaは、これまでサポートしてきた国内電池材料産業の発展につながり、Valeだけでなく政府にとって前向きな措置であると述べた。また、インドネシア鉱物加工精製協会(AP3I)も、すぐにでも禁輸すべきで正しい措置である、と語った。
 一方、インドネシアニッケル鉱業協会(APNI)は、この措置は鉱石輸出による収入を主たる原資として現在国内製錬所を建設中である企業に損害を与えるものである、また鉱石の国際価格が高くなっており、安い国内向け販売価格との差も問題だと述べた。また、インドネシア若手起業家協会(Hipmi)も同じく、国内で製錬所建設中の鉱山企業が倒産に追い込まれるとして、懸念を示した。
 最後に、同じニッケル供給国であるフィリピンでは、フィリピンニッケル産業協会(PNIA)がフィリピンのニッケル業界の追い風になり、各社は増産し、中国向け輸出量は増加するとの見通しを述べている。フィリピン産鉱石はインドネシア産より品位は劣るが、中国の製錬所は対応可能であるとしている。しかしながら、同国ニッケル大手Nickel Asia社は、増産によりインドネシア分を埋め合わせすることは難しく、供給不足になるだろうとコメントしている。

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