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ニュース・フラッシュ

鉱種:
2020年3月24日 北京 塚田裕之

中国:新型コロナウイルス肺炎感染による圧力が緩和されるも、銅製錬企業は依然として課題を抱えている

 安泰科によると、中国国内で広まった新型コロナウイルス肺炎感染が2020年1月下旬より各業界に大きな影響を与えている。銅製錬企業では、国内各省・市・県等が実施する隔離検査により貨物の輸送、積み下ろしが滞り、また、消費の停滞により企業活動に影響がでている。感染拡大防止措置の強化により、各地域では生産再開の延期や地方から戻る従業員への隔離措置を実施しているため、生産・操業を通常レベルに戻すまでには時間を要する。一部の製錬所では、2月上旬の原材料供給不足や硫酸の運送制限、銅地金の販売不調のため減産措置を実施するという情報もある。2月中旬以降は、中央政府や各地域政府が生産・操業再開に向けた保障措置を公表したことにより、主要製錬所の操業率が上昇し、末端ユーザーや副産物の消費、物流等段階も回復し始めている。資金面や原料供給による圧力も若干緩和でき、硫酸在庫の増加や輸送問題も改善がみられた。
2月下旬、安泰科は各地域の製錬所に生産経営状況のアンケート調査を行い、各製錬所の原料供給や生産再開、物流の規制、硫酸在庫の増加等復旧状況について調査した。詳細は下記のとおり。

西南地域:
 西南地域の硫酸化学工業界は、新型コロナウイルス肺炎感染拡大の影響により、下流産業における生産再開延期、従業員の職場復帰遅延、交通規制、車両規制等課題を抱え、春節期間中、元々低迷していた硫酸販売や運送市場が悪化し、硫酸在庫の増加が深刻化した。在庫過多により、銅精鉱の処理量が制限され、原料配分の異常、石炭消費量の増加、汚染酸のヒ素含有量の増加につながり、企業の生産活動に影響を与えている。通常生産を保つため、一部の企業は、硫酸在庫を削減するため多くの工夫を行っている。2月下旬の状況については、生産再開や物流の再開等、政策措置の実施によって、生産・販売のバランスがほぼ回復し、硫酸在庫増加リスクが弱まっている。

西北地域:
 ごく一部の製錬所では2月生産が10%減少すると予想。現段階では、銅精鉱の供給はほぼ通常通りであるが、物流規制により、輸入銅精鉱の製錬所への輸送に影響が及んでいる。原料調達については原料の確保に問題なく、硫酸在庫増加についてリスクはあるものの深刻化していない。下流産業の消費停滞が重要な課題で、銅地金の在庫が増える傾向にある。

華東地域:
 華東地域には、旧式の製錬所が多いため、春節期間中でも通常生産を行った。現在、硫酸在庫増加問題を抱え、肺炎感染が深刻化する地域での硫酸販売ルートが止められているため、硫酸在庫が増える一方となっている。同時に製品販売の延期により製品の在庫も次第に積みあがっている。経営による圧力を緩和するため、2月初めは銅精鉱処理量を減らし始めた。製錬銅や硫酸在庫の増加問題を対応するために減産せざるを得ない状況となっている。

江蘇・浙江地域:
 2月下旬から点検作業に入り、点検期間を3月までと設定している。これによって、銅地金の生産に影響を与えている。調査によると、ごく一部の企業は、点検作業の実施により銅地金の生産量500t/日を減少させている。

福建地域:
 福建地域の銅製錬所で、硫酸を消費できる設備を傘下に持つ企業があるため、硫酸の販売について問題ない。原材料等も確保できており、2月は減産を行っていない。

山東地域:
 2月初旬は物流が著しく滞ったが、中旬以降は状況に改善がみられた。2月下旬現在、硫酸の生産販売についてはバランスが取れている状況。原料供給も通常に戻り、製錬所はほぼ通常生産を確保できている。2月の減産計画はない。ただし、山東省内の大手銅製錬所で、2月中の減産予定があり、生産量も対前年同期比減少する予想。

東北地域:
 春節期間中から通常生産を維持し、肺炎感染拡大期間中も通常レベルにて生産を継続している。ある企業では、4月に点検作業を開始する予定。原料供給面から見ると、黒竜江地域にある製錬所は、現地で銅鉱山を保有し原料の自給ができる。東北地域に原料輸入を依存する他省についても、現在通常生産を維持、減産率が比較的低い。傘下に硫酸消費ができる企業を持たない企業について、現段階では製錬の生産に影響を与えていないが、今後硫酸の販売問題を抱える懸念がある。下流産業での生産が再開延期となれば、銅地金の販売に問題も生じ、在庫が増える恐れがある。

華北地域:
 現段階では、硫酸の販売が滞り、減産を強いられる可能性が高い。ある企業の話によると、現在、減産する予定はないが、今後硫酸在庫増加によりやむを得ず減産することも考えられる。感染拡大の影響を受け、下流産業による需要が弱まり、銅地金の在庫が増えている。

華南地域:
 春節期間中に通常生産を維持し、現在硫酸の生産量は販売量より若干上回っている。2月には4,000tを減産予定。原料供給面では、2月上旬に新型コロナウイルス感染拡大が深刻化したため、港での管理が混乱、一時期銅精鉱の供給が不足していた。現在既に回復し、製錬所の生産をまかなっている。末端業界による需要が弱まり、銅地金の在庫も増えている。

華中地域:
 河南地域にある製錬所は、環境保護規制や硫酸在庫増加により、1月の銅カソード生産量が大幅に減少した。2月は一層減少する見込み。湖北省は、今回新型コロナウイルス感染状況が最もひどい省として、省内にある製錬所は生産を続けているが、硫酸在庫増加の問題は深刻化する一方である。それに物流の停滞も他の省に比べ一層厳しい。原料の安定供給も厳しく、減産を予定している。具体的な減産量について今後の運送や硫酸問題の解決状況によって定める。

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