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ニュース・フラッシュ

鉱種:
ウラン
2020年9月29日 モスクワ 秋月悠也

ウクライナ:国家コンツェルン「核燃料」、清算準備へ

  2020年9月20日付の地元報道等によると、ウクライナのOlga Buslavetsエネルギー大臣代行は、国家コンツェルン「核燃料」が核燃料集合体の製造に関する任務を果たさなかったことから、その活動継続は妥当でないとする決定が下されたと発表した。
 国家コンツェルン「核燃料」は、傘下にVostochny GOK(Zheltye Vody市にある国営採鉱選鉱コンビナート、ウクライナ唯一のウラン鉱石採掘・処理企業)、国営企業Smoly、「Ukrainian Research and Design Insitute for Industrial Technology」を有し、国際ウラン濃縮センター(Angarsk市)の株式10%、「核燃料製造工場」の株式50%プラス1株、サイエンスパーク「化学技術」の株式49%を保有している。計画では、同コンツェルンは2020年に核燃料集合体を独自に製造する予定であった。しかし、2014年のウクライナの政変によりロシアとの関係が悪化し、ウクライナは独自に核燃料を製造する機会を失った。
 国家コンツェルン「核燃料」は、ロシアのTVEL社の技術によりVVER-1000原子炉用の燃料集合体を独自に製造することを目的として、2008年4月にウクライナ閣僚会議令により設立された。2010年秋、核燃料集合体製造のため、国家コンツェルン「核燃料」とTVEL社との合弁企業(出資比率50:50)を設立することが決定された。同時に双方は、ウクライナが短期間で企業用地を選定・承認し、事業のFSを作成すれば、ウラン年産能力400tの工場を2012年に操業開始することで暫定的に合意した。また、TVEL社は、核燃料製造の全工程の技術を2020年までに移転する意向を確認した。さらに、製品はウクライナの原子力発電所だけでなく第三国にも供給できることが合意された。そして、ウクライナ法人の「核燃料製造工場」が設立され、以前対等出資と発表されていたにもかかわらず、ウクライナ側は50%プラス1株を取得することができた。同時に、ロシアがカザフスタンの参加を得て設立されていた国際ウラン濃縮センターの株式10%は2.6mRUB(ロシア・ルーブル)という象徴的金額でウクライナに譲渡された。
 その後、用地の選定や書類作成のプロセスに遅れがあり、2013年夏に双方は全ての法的問題を解決し、工場の建設準備を近く開始する計画を立てた。工場の第一フェーズの操業開始は2015年まで延期されたものの、全技術の移転と工場の本格的操業の時期を2020年から延期することは予定していなかった。しかし、2013年にウクライナは資本金に入れるべき42mUS$を調達できず、建設を開始することができなかった。2014年、ウクライナ側の主導でプロジェクトは打ち切られた。
 現在、ウクライナには核燃料集合体の製造工場はなく、将来的に建設される見通しもない。今後約10年でウクライナの原子力発電所ユニットの大半は、延長を考慮に入れたとしても廃炉となり、代替施設の建設の見通しははっきりしない。こうした条件下でウクライナに核燃料集合体の製造工場を建設する商業的意味はないと判断された。

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