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ニュース・フラッシュ

鉱種:
チタン
2020年12月9日 モスクワ 秋月悠也

ウクライナ:チタン産業発展戦略とチタン生産コンビナート建設プロジェクトを公開

 2020年11月23日付けの地元報道等によると、ウクライナでは、チタン産業発展戦略(Ukrainian Institute of the Futureが作成)と、金属チタン生産の新規コンビナート建設プロジェクトが公開された。後者は、1995年に閉鎖したNovomirgorodskaya炭鉱(キロヴォフラード州)をベースにVelta社が実施する予定である。プレゼン資料や計画は既に戦略産業省に提出されている。
・チタン産業発展戦略
 現在のところ順調とは程遠い状況で、Zaporozhye Titanium & Magnesium Combine(ZTMC)がかろうじて操業を続けており、ウクライナの2020年におけるルチル・イルメナイト鉱石生産量は700千tを下回ると予想されている(2017年には生産量は783千tであった)。
 公表されたチタン産業戦略案によると、1)停滞、2)政府のインセンティブ、3)技術的ブレークスルーという3つの将来シナリオがある。
・停滞
 何もしなければ、ウクライナのチタン鉱石生産量は2030年には350千tに半減する。
・政府のインセンティブ
 政府がチタン産業支援を行えば、イルメナイト精鉱生産の減少を止めることができ、若干増加することもあり得る。また、生産された原料の80%以上はウクライナで加工可能となる。政府支援としては、チタン産業活性化に向けた特別法の採択があり、地下資源利用の容易化、輸入設備の付加価値税・関税の免除、利益税をキャッシュ・フロー法人税に替えること、米国のシリコンバレーやロシアのチタンバレーをモデルにした特区の創設等が含まれる。
・技術的ブレークスルー
 ウクライナが2030年までに年間最大1百万tの金属チタン製品を生産し、当該市場の世界的リーダーとなることを想定している。ただし、金属チタンの製造コストを4分の1から5分の1に低減する必要があり、これはまさに上述のVelta社が行っていたことである。
・チタン生産コンビナート建設計画
 現在、世界の金属チタンのほとんどはクロール法で製造されている。Velta社のAndrey Brodsky CEOは、「この技術は70年前に発明されたもので時代遅れである。チタン製錬の未来は、スポンジチタンの段階を排除した粉末技術にある。」としている。
 Velta社によると、同社の研究部門はこの分野で著しい進歩を遂げており、また、同社は9月初め、Velta Ti Processと呼ばれる独自の方法を米国で特許化する意向を発表した。この方法により、市場で需要のある合金(チタン90%、バナジウム4%、アルミニウム6%)を製造できる。2020年10月に同社は、チタン粉末250kgを試験生産した。実験室での成功を受け、Velta社は自社の金属チタン生産コンビナート建設に向けた準備を強化する。そのベースとなるのが、かつて褐炭を生産していたNovomirgorodskaya炭鉱(キロヴォフラード州)である。既にVelta社は、当該炭鉱が位置する土地(面積12.7ha)の19年間のリースを受けており、この付近には同社がチタン鉱石の生産開発を予定するBirzulovskoe及びLekarevskoe鉱床がある。同社は、最大5千tのチタン製品生産能力を持つ新規コンビナートに270mUS$を投資する用意がある。
 2020年11月10日、Oleg Urusky副首相兼戦略産業相の指揮の下、ここ1か月半で2回目となるチタン産業発展に関する会議が開催され、政府がこのプロジェクトに関心を持っていることが示されているが、Novomirgorodのプロジェクト、チタン産業発展戦略のいずれについても支援のための具体的な決定はまだなされていない。

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