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ニュース・フラッシュ

鉱種:
クロム ニッケル マンガン
2021年4月21日 ジャカルタ 川村伸弥

フィリピン:2012年に策定された鉱物協定のモラトリアムを解除

 地元メディアが2021年4月15日に伝えたところによると、フィリピンのRodrigo Duterte大統領は、2012年に策定された鉱物協定のモラトリアムを解除した。中国へのニッケル鉱石の最大の供給国であり、銅と金の主要生産国であるフィリピンは、政府が鉱業収入のシェアを高めるモラトリアムを課していた。2018年以降、鉱物に対する物品税は2倍の4%になっていたが、この新たな大統領命令により、新規の鉱業取引と既存の契約の見直しと再交渉が可能になる。また、契約条件を策定し、鉱山の安全と環境政策に関する規則を厳格に実施するよう指示している。
 フィリピンでは、過去の環境管理における失敗事例が、地方自治体、立法者、擁護団体、カトリック教会による鉱業界に対する強力なロビー活動に拍車をかけ、鉱業は常に論争の的となっている。Rodrigo Duterte大統領は、2016年に就任後直ちに、厳しい環境規則に従うか閉山するよう警告した。
 鉱山地球科学局(MGB)によると、フィリピンの総面積3,000万haの3分の1以上が、高い鉱物ポテンシャルを持っていると特定されおり、フィリピンの鉱物埋蔵量の5%未満がこれまでに抽出されたと推定されている。MGBのWilfredo Moncanoディレクターは、保留中のいくつかの採掘プロジェクトが、開発・商業採掘段階に進むとしたが、同時に、これは環境と安全確保が軽視されることを意味するものではないと語った。フィリピン政府は、インフラプロジェクトのための資金を確保し、コロナ禍に見舞われた経済を支援するため、遊休状態の鉱業プロジェクトの復活と売却を推進した。フィリピン鉱業協会は、今回の大統領令は同国に投資を戻すのに役立つだろうと述べた。フィリピン第2位の鉱山企業・輸出業者のGlobal Ferronickel HoldingsのDante Bravo社長は、世界が正常に戻った際には、ニッケル、銅、金、マンガン、クロム鉄鉱などの多くの原材料が必要になるであろう述べている。
 フィリピンは、インドネシアが未加工鉱石の輸出を禁止した後、2020年に世界最大の金属消費国である中国へのニッケル鉱石の最大の供給国となった。
 一方、反鉱業活動家は警戒しており、Stop Mining AllianceのAlyansa Tigil Mina氏は、気候危機とコロナ禍の中で、企業の利益は、多くの人々の福祉に勝っていると述べている。

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