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2021年5月26日 リマ 初谷和則

ペルー:チリ下院の新ロイヤルティ法案可決によるペルーへのインパクト

 2021年5月6日にチリ下院が新ロイヤルティ法案を可決したことについて、ペルーでは、同国の相対的な競争力が上がり有益に作用するとの見方がある一方、Castillo大統領候補による最近の超過利益税導入提案は、本法案可決に影響を受けたものだとも指摘されている。本件に関し、各専門家によるコメントは以下のとおり。
・Lima商工会議所Lopez税務委員長:鉱業ロイヤルティの増額は、生産コスト上昇を意味する。銅生産の直接競争国であるチリの生産コスト上昇は、理論的にはペルーにとって有利に働くことは間違いない。ただし、本ロイヤルティは競争力の構成要素の1つにすぎず、例えば別の要素であるカントリーリスクについては、ペルーでは現在Castillo候補が国による鉱業セクターへの管理を強化する政策を提案しており、先行き不透明な状況である。
・Payet, Rey, Cauvi, Pérez弁護士事務所Chavez顧問:チリは世界最大の銅産出国だが、ペルーの強みは複数の金属を生産する点にある。鉱業ロイヤルティの増額は、チリの競争力低下を意味する。鉱山企業は一般的に最悪の事態を想定して経営の見通しを立てており、既存操業鉱山では本ロイヤルティの増額によって、それほどの変化は起こらない可能性もあるが、新規プロジェクト開発には影響をもたらす。ただし、本ロイヤルティ増額によりチリへ投資されるはずだった資金が直ちにペルーに向けられるわけではない。現在のペルーは、大規模投資において重要な要素である政情が不安定な状況であるためだ。
・EY Peru社Garcia税務専門家:現在のペルーにおける課税負担率は営業利益の42~52%に達し、チリ、豪州、カナダを上回っている。さらに複数の制度が累進性であるため、金属価格の上昇に伴い納税額も増加する。一方、今回のチリの新法案は極度に高い負担を課すものである。また本法案が上院で可決されても、多くの鉱山企業が2023年まで有効な安定契約を締結しているため、新法適用は2023年以降とされていたが、現在議会では新法を即時適用とするため安定契約を無効化する議論が行われている。従い本法案によりペルーに対するチリの競争力は低下する。ただし、ペルーがこれを機により多くの投資を誘致するには、政治情勢を整え、類似の税制変更を行わないことが条件となる。
・Verisk Maplecroft社Gavin首席アナリスト:2021年5月半ばにCastillo候補は新たな政策プランを発表し、鉱業セクターにおける超過利益税の導入を提案、さらにその算定ベースを「チリやコロンビアと同様に売上高とする」旨明らかにした。ただし、同候補の当初の提案であった国有化に比べ、今回の超過利益税提案は大幅に急進性の低いものであるという印象である。鉱業に限らず、ペルーにおける民間セクターはパニックに陥ることなく、仮に同候補が当選した場合、まずは話し合いの場につくべきだと考える。

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