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ニュース・フラッシュ

鉱種:
亜鉛 アルミニウム/ボーキサイト
2021年6月21日 北京 塚田裕之

中国:銅・アルミ・亜鉛の国家備蓄放出の背景と、想定される影響

 2021年6月13日付け安泰科によると、2021年6月16日に公告された銅、アルミ、亜鉛の国家備蓄放出の噂(2020年6月21日付 ニュース・フラッシュ:国家糧食・物資備蓄局、銅・アルミ・亜鉛の国家備蓄の放出を公告参照)は、2021年3月時点ですでに市場で出回っていたという。その裏には、2020年4月頃から現在までのベースメタル価格の下落と急騰がある。特に、2021年初から現在までの半年間、多くのコモディティ価格は上昇、一部のコモディティにおいては急騰したが、2021年5月上~下旬、これまで上昇基調にあったアルミや鉄分野の燃料炭といった一部コモディティが一時急落した。しかし2021年6月に入ると、一部コモディティの価格は反転し上昇、これまでの最高値に近い価格となった。
 このような状況で、正式な文書は無いが、国家備蓄放出の噂が2021年6月10日に一部確認されたという。その情報によると、今回の放出対象は非鉄金属のうちの銅・アルミ・亜鉛とされた。2010年に行われた国家備蓄放出と異なるのは、今回は直接、大・中規模の最下流メーカーに放出する点である。放出期間は毎月末に定め、放出完了は2021年末と言われている。
 また今回のアルミ地金備蓄の放出方法とそれに関連する価格への影響は、以下の3パターンが指摘される。
・放出量が80万t以上で一括の場合、価格への短期的影響が大きい。市場に不安を与える放出方法であるが、最も起こる確率が低い方法でもある。
・放出量が50万t規模で一括放出ではない場合、内モンゴル地域の生産規制や雲南省の電力不足による減産を補完する。中国国内のアルミ在庫量に大きな影響は無く、価格はある一定の範囲内で変動する可能性がある。
・備蓄の放出量が30万tまたはそれ以下の場合、価格に多大な影響を与える可能性がある。現物価格はこれまでの最高値を上回る可能性がある一方で、先物価格が最高値を更新するかについては、投資額の割合や今後の備蓄放出計画等に依る。
 上記のとおり、今回の備蓄放出対象は最下流メーカーであり、対象者の範囲を狭めている。これまでベースメタルの先物・現物価格は高値傾向にあり、メーカーがアルミ地金を調達する際には高値でも買わざるを得なかったが、今回、国家備蓄を放出することで、メーカーの中には今後半年以内に現物市場からの調達量を減らすことで調達の問題をある程度解決でき、中期的にアルミ上値を抑える効果があるとみられている。
 さらに、今回の国家備蓄の放出は、国内のアルミ地金の在庫調整が目的であり、アルミ需給のバランスがある程度調整されるとみられる。また、間接的に未圧延アルミの輸入量にも影響を与え、LME価格も上値を抑える可能性がある。

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