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2021年7月28日 モスクワ 秋月悠也

ロシア:経済発展省、EUの炭素規制によるロシアの輸出損失を7.6bUS$と試算

 2021年7月14日付けの地元報道等によると、欧州委員会(EC)は2030年までに有害物質の大気排出量を1990年比で55%削減する「欧州グリーンディール」の計画を発表した。その気候変動対策の一つが炭素国境調整措置(Carbon border adjustment mechanism)である。
 これは、カーボンフットプリントが高い、すなわちECのベンチマークを超える輸入商品に対し、EUへの輸入時に課金するという仕組みである。対象品目となったのはアルミニウム、鉄鋼、肥料、セメント、電力である。これら商品の輸入に対する関税は、2023年から2026年にかけて段階的に導入され、金額は具体的な製品のカーボンフットプリントの量に応じて算出される。
 輸入者は、商品生産時におけるCO2排出量のトン数に応じたデジタル証明書を購入しなければならない。CO2の1t当たり価格は明記されていないが、ECの資料によると、輸入者は排出量取引制度下の欧州企業と同額を支払わなければならないとされている。EU域内排出量取引制度(EU ETS)は世界最大規模であり、インターコンチネンタル取引所(ICE)によると、2020年末現在50b€以上と評価されている。2021年、その炭素単位(CO2 1t)当たりの価格は50US$に近づいた。
 経済発展省は、「このメカニズムが本格的に運用されると、金属、パイプ、肥料、セメント、電力は、生産時に排出されるCO2の重量に対して支払う場合に限り、EUに輸入できるようになる。この措置により、ロシアからEUへの鉄鋼、アルミニウム、パイプ、電力、セメント輸出に7.6bUS$の影響が出る。」としている。
 2020年夏、ボストン・コンサルティング・グループは、炭素国境調整措置導入によるロシアの輸出者にとっての損失を年間3~4.8bUS$と試算していた。また、KPMG社の試算では、EUに製品を輸出する企業は、シナリオ別に、2030年までに33.3b€(2025年に税が導入された場合)から50.6b€(2022年に税が導入された場合)の損失を被るとされていた。
 炭素国境調整措置は2050年までに、EU域内でカーボンニュートラルを達成することを掲げた、いわゆるグリーンディールの一環として欧州で構築される。また、化石燃料に対する租税補助金の完全な廃止も想定されている。CO2排出量取引制度には新たな分野が加わる予定で、航空や海運もCO2排出規制の対象となる。

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