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ニュース・フラッシュ

鉱種:
リチウム
2021年8月3日 モスクワ 秋月悠也

ロシア:Rosatom社、リチウム生産に注力へ

 2021年7月29日付けの地元報道等によると、Atomredmetzoloto社(ARMZ、Rosatom社傘下)は、2030年までにムルマンスク州とイルクーツク州でリチウム化合物の生産を開始する。ロシアのリチウムプロジェクトへの投資額は50bRUB(ロシア・ルーブル)を超える可能性がある。年間生産量は最大50千tを予定している。電気自動車(EV)の開発により、バッテリーに使用されるリチウムの価格は再び上昇し、1t当たり15kUS$に達しようとしているが、ロシアでの生産コストは海外より高くなる可能性が指摘されている。
 Rosatom社は、「政府の支援策については、税制上の優遇措置、行政上の制限の撤廃、長期プロジェクト資金調達の支援などを期待している。」としている。Alexei Besprozvannykh産業商務省次官によると、年間45千tの水酸化リチウムを生産するプロジェクトの投資データが検討のためRosatom社に提出された。
 ARMZ社は、ロシアの「新素材・新物質技術ロードマップ」の「レアメタル・レアアース」部門の実施を担っている。2024年までのプログラム費用は284.6bRUBと見積もられている。予算から62.67bRUBが割り当てられ、Rosatom社は17.7bRUB、パートナー企業は144.6bRUBを投資する。
 Rosatom社の海外での鉱業プロジェクトはUranium One社が担当しており、アルゼンチンとチリで地下資源利用権を所有する企業の株式購入を検討している(開発開始はそれぞれ2027年と2029年)。特に、チリにおける加Wealth Minerals社のリチウムプロジェクトの51%を取得する予定である。また、Rosatom社は、ボリビアにおけるリチウムプロジェクト開発の国際入札に参加しているほか、アフリカの鉱業資産の購入も検討している。Rosatom社の目標は、2025年までに世界のリチウム市場の3.5%、2030年までに最大10%を占めることである。
 National Rating Agency(NRA)の専門家は、「現在、炭酸リチウムの価格は1t当たり14~15kUS$である。グリーンアジェンダの更なる発展によりバッテリーの需要が拡大するため、リチウム鉱床は今後5~10年間は利益を生む。ラテンアメリカで行われているようなかん水からのリチウム抽出は理にかなっており、Rosatom社の海外プロジェクトは短期的には成功する可能性が高い。」としている。また、NRAは「ロシアでは、スポジュメン鉱石からリチウム化合物を抽出しており、製造コストが高い。こうした製品でバッテリー業界の需要を満たすことは合理的でない。しかしながら、軍事・原子力(熱核)製品の原料としてのリチウムは非常に有望であり、経済性を犠牲にしてでもロシアでの生産を発展させる必要がある。」としている。

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