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2021年8月23日 リマ 初谷和則

ペルー:Merinoエネルギー鉱山大臣、鉱業政策などについてコメント

 2021年8月16日及び17日付け現地紙によると、インタビューに応じたエネルギー鉱山省(MINEM)のMerino大臣は、現政権の鉱業政策などについて以下のとおりコメントした。
 まず頻発する社会争議への対応については、意見や利害の相違は常に存在するが、いかに合意を達成し成果を出すかが重要であると意見した。
 また、国の方針に合致する形で鉱業セクターとの基本合意形成を目指すとし、その際に「社会的利益(Rentabilidad Social)」の基準を取り入れる考えを示した。その一方で、鉱山企業は慈善団体ではなく鉱業活動による利益追求が本来の役割であるとし、国は鉱山企業が明確なルールのもと、計画に基づき事業を実施し利益を得ることのできる条件を整えつつも、企業に対して納税の履行やILO条約に基づく労使関係を求めると説明した。さらに、生産性に応じた納税や、労働者による真に重要で実質的な決定権や実行権を伴う職位へのアクセス、地域文化尊重などを実現できることがベストであるとした。
 さらに、社会争議の多くは、企業だけでなく争議に介入する国が、地域住民に対して住居や行動様式に係る一方的な基準を押し付け、地域社会のルールを尊重しないことが反発を呼び、問題の一因となっているとの考えを示した。
 なお「社会的利益」とは、既存の「社会ライセンス」を超えるコンセプトであり、プロジェクトの影響エリアだけでなく社会全体に関わる様々な基準を考慮するものであるとコメントした。具体的には、

  • 新規投資による地域経済の活性化
  • 生産性やILO条約を考慮した労働環境
  • 地域住民に対する研修や決定プロセスへの参加を通じた住民の能力向上
  • よりクリーンで効率的な技術やグッドプラクティスの移転
  • インフラ整備(立派な道路でも、住民が支払えない高額の通行料金がかかったり、大量の精鉱輸送トラックで渋滞したりするものは意味がなく、真に渋滞解消や大多数の住民利用を実現するインフラの開発)
  • 文化振興(格差による歪みをもたらすことなく地域文化に寄与し、住民が伝統的な言語や衣服に誇りを高め、食文化や芸術活動などを支援)
  • 自然環境(原状維持だけでなくグッドプラクティスにより環境を改善)

 などであるとし、MINEMは本基準を公式に発表する予定だと述べた。また政府としてこれらの項目を履行・実現できるプロジェクトの開発を促進するだけでなく、税制面をはじめとする様々なインセンティブを付与する考えであると説明したほか、「社会的利益」の基準により、例えばノルウェーのように、調和のとれた鉱山企業とコミュニティの関係を実現できるとの考えを示した。
 一方、ペルーの鉱業政策については、これまでは政府が事実上不在で放任的な方針であったほか、数多くの規則が無秩序に導入され、許認可手続きに時間がかかりすぎているとの考えを示し、今後鉱業関連の法規を整理し各種手続きのスピード化を図る方針を示した。さらに、上述の「社会的利益」を実現できるプロジェクトには、できるだけ短期間で許認可を取得できるようMINEMが支援すると説明した。
 次に、地域コミュニティが企業との合意事項に含まれていない工事やインフラ建設を要求するケースについては、地域的な視点の欠如が原因であるとの考えを示し、今後は、複数のコミュニティを含む広域エリアに対して一定の資金を付与し、その利用方法については本広域エリア全体の住民のニーズを包括的に考慮する方針を明らかにした。
 さらに、現政権の具体的な開発モデルは「農業・鉱業・文化」であり、MINEMは今後も農業省、文化省、環境省との円滑な連携に取り組んでくとし、「鉱業・エネルギーグッドプラクティス集約センター」(Rimay、2030年鉱業ビジョンなどを提案)については、現政権の開発モデルを超える超大な構想であるが、補完的かつシナジーをもたらす存在であるとコメントした。
 なお、Tia Maria銅プロジェクトについて、まず「社会的利益」を生まないプロジェクトは開発不可能であるとのCastillo大統領の就任演説の内容に言及し、その方針の履行は重要であり、これまでの政府とは異なり現政権は大統領の方針を貫くと述べた。その上で、本プロジェクトが「社会的利益」を満たすのかを判断するのは地域住民であるとし、住民が希望する場合は国と地域の双方の視点から本プロジェクト開発のスキームを検討しなければならないと述べた。
 また、個別プロジェクトと企業とは、切り離して考えなければならないとし、Southern Copper社(Tia Maria銅プロジェクトを実施)の親会社であるGrupo Mexicoが所有するプロジェクトや鉱山には、順調に実施されている案件も数多く存在すると述べ、ペルー国内にはTia Maria銅プロジェクト以外にも多くの探鉱案件のほか、まだ探鉱も行われていない大規模で豊かな鉱床が存在しているとコメントした。
 鉱業Canon税(鉱山企業が納める所得税の50%を生産州以下自治体に交付する制度)については、本財源の利用の質を高め、環境や景観に配慮し地域住民の能力向上を目指すことが重要である旨に言及した。
 最後に、Las Bambas銅鉱山などへの抗議で封鎖が頻発する南部鉱業輸送道を巡る問題については、国が地域的視点に基づき本腰を入れて介入・対応することで解決を図ることができるはずだとの考えを示した。

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