非鉄金属市況と需給動向

■ベースメタル

主要非鉄金属の価格推移(2003年5月=1)当該期間、銅は4,807US$/tでスタートし、米国や中国の経済動向に下押しされ下落傾向、24日には4,620.5US$/tまで値を下げたところ、その後LME在庫が減少したこと等を下支えに上昇傾向へ転じ4,827.5US$/tで越月した。亜鉛は月初に2,400US$/tを超える5年ぶりの高値を付けた後は軟調な値動きが続いたが、下旬に入ると再び上昇基調を取り戻し、2,418.5US$/tの高値で10月の取引を終えた。ニッケルは、5日に9,970US $/tの安値を付けたが、インドネシア鉱業法改正の動向を支援材料に上昇傾向を辿った。その後中国経済の成長鈍化懸念により軟調に推移したが、下旬は価格を回復させ月末終値は10,550US$/tとなった。

■貴金属

製造業購買担当者景況指数(PMI)金価格は中国市場の休場やドル高傾向等により下落傾向が続いた。9月は1,300US$/ozを上回る高値で推移していたところ10月4日には1,300US$/ozを割り込んだ。10月後半は横ばい推移し、1,273.1US$/ozで越月した。プラチナは、軟調な金の値動きにつられたことに加え、南アの労使交渉妥結で供給懸念緩和し下落基調を辿った。21日には926.5US$/ozの安値をつけたが、その後供給懸念と需要拡大の期待から上昇に転じた。パラジウムは当該期間708US$/ozでスタート、価格下落が続き、31日には613.5US$/ozと3ヵ月半ぶりの安値をつけた。

米国経済

10月の製造業PMIは53.4(前月51.5)。11/4労働省発表の10月非農業部門雇用者数は前月比+16.1万人(前月:+15.6万人)と市場予想の+17.5万人を下回った。失業率は4.9%(前月:5.0%)に低下し、低水準を維持した。

中国経済

10月製造業PMIは、国家統計局発表が51.2(前月:50.4)、財新/Markit発表の速報値も51.2(前月:50.1)と市場予測を大きく上回った。

欧州経済

10月製造業PMIは53.5(前月:52.6)と上昇し、2014年1月以来の高水準となった。

米の景気失速懸念・中国リスクで4,600US$台前半まで下げるも下旬はLME在庫減少等で回復

■LME価格

銅:当該期間の値動き@国慶節と緩やかなドル高:10月は4,807US$/tでスタートするも、上旬は中国国慶節による薄商いと緩やかなドル高が7日まで価格を下押す。

A米の景気失速と中国リスクへの懸念:7日発表された9月の米国雇用統計が市場予想を下回り、ドル安に振れたことで10日は反発。12日まで小幅ながら続伸し、4,800US$台を一時回復するも、13日以降は中国の景気減速が意識され20日まで5営業日連続で続落。21日からはドル高も加わり、24日には4,620.5US$/tの月中安値。

BLME在庫減少とドル軟化で反発:24日発表されたユーロ圏PMIの改善と25日からのドル軟化に支えられ、25日には4,700US$台回復(4,720US$/t)。月末にかけてLME在庫減少や好調な米国GDP等を好感し、4,800US$台に復し越月(10月31日:4,827.5US$/t)。

■需給動向

銅地金の需給バランスと在庫の動き国際銅研究会(秋季)の予測では2016年はほぼバランス(供給<需要、8千t)。2017年は供給>需要、163千t。
主要鉱山操業状況:ザンビアKonkola鉱山(Vedanta/ZCCM-IH)で10月6日、労働者1名が死亡する事故発生。また同鉱山のNchanga製錬所は修繕のため10月上旬から約40日間操業停止。ペルーLas Bambas鉱山(Chinalco)で精鉱運搬経路の住民が粉塵等の被害に抗議し、道路を占拠。積出港(Matarani港)へは代替路を用い輸出は継続。

2,400US$/tを下回るレンジで軟調な値動き続くも、5年ぶり高値を更新

■LME価格

亜鉛:当該期間の値動き@中国市場国慶節による薄商い:10月3〜7日は国慶節により中国市場休場。薄商いだったことに加え米国年内利上げ観測の再燃でドル高地合いとなったことが嫌気された。

AAntamina鉱山増産による供給不足懸念緩和:10日、亜鉛生産量世界5位の規模のペルー・Antamina同亜鉛鉱山(BHPB、Glencore、Teck、三菱商事)が2017年の亜鉛生産量を倍増させる計画を発表(+18万t/y)、供給不足懸念が緩和し下落した。

B中国の景気回復への期待:10月半ばは、中国の経済指標悪化などで値を下げたもののその後同国の追加景気刺激策に対する期待が高まり上昇基調を取り戻した。

CLME在庫キャンセル増加:10月下旬、亜鉛在庫を最も多く抱える米国ニューオーリンズ倉庫で3万tがキャンセルワラントとなったことが支援材料となった。中国でも4月以降在庫減少傾向であり、亜鉛の供給不足が再び意識された。

■需給動向

亜鉛のSHFE在庫推移国際鉛亜鉛研究会(秋季)の予測では2016年は34.9万tの供給不足、2017年は24.8万tの供給不足。
主要鉱山操業状況:Glencoreは2015年10月発表以降、依然として年間50万tの減産体制。2016年10月31日にはMt.ISA鉱山群のひとつであるBlackstar鉱山を埋蔵量枯渇を理由に操業停止を発表。亜鉛製錬大手のNyrstar社も一部鉱山の価格低迷を理由に一部鉱山の操業停止を継続しているほか、世界最大の亜鉛鉱山であるRampura-Agucha鉱山(印)でも露天掘りから鉱内掘りへの移行で生産量が減少している。

インドネシア鉱石禁輸維持と米中経済成長への期待感から10,500US$超える

■LME価格

ニッケル:当該期間の値動き@インドネシア鉱業法改正の動向:10月前半は、インドネシア鉱業法改正に際し国内製錬所建設の完工期限が延長されるとの報道を受け、当面の生産増加はないとの見方が広がり上昇した模様。12日にはPandjaitanエネルギー・鉱物資源相が「鉱石輸出禁止維持の公算が大きい」と発言したことも、上昇要因となったものとみられる。

A中国経済成長に対する先行き懸念:9月貿易統計において銅の輸出入が予想を下回る内容であり、また19日に発表された中国9月鉱工業生産の伸び率が予想及び前月数値を下回ったことから、10月中旬は同国経済成長への不安感が高まり下落。

B中国・米国の経済成長に対する期待の高まり:10月下旬は、中国住宅価格の上昇などを背景に、同国の経済成長に対する期待が再燃。また、28日に発表された米国・第3四半期のGDPが市場予想を上回り前期比2.9%増だったことから、米国の堅調な経済成長も意識され、世界の需要が伸びるとの見方が広がり上昇。

■需給動向

一次ニッケルの月別需給バランス国際ニッケル研究会(秋季)の予測では2016年は6.7万tの供給不足、2017年は6.6万tの供給不足。
主要鉱山操業状況:中国フェロニッケル11社、2016年20%減産提議(2015年12月15日)。フィリピンニッケル鉱山生産者8社に操業停止命令(7月7日〜8月11日)。フィリピンニッケル鉱山生産者15社を含む20社に操業停止勧告(9月27日)。

米国大統領選の先行き不透明感、小幅な値動き続く

■金

金・プラチナ・パラジウム:当該期間の値動き@米国利上げ観測によるドル安:10月3〜7日の期間、国慶節による中国休場の影響に加え、米国の年内利上げ観測によりドル高が進み下押しされ、一気に60US$/oz近く値を下げた。貴金属は安全資産として人気の投資先である一方、金利を生まないため利上げが進むと金から投資が流出してしまい、価格が下落する傾向にある。

A米国大統領選に対する警戒:10月半ば以降は小康状態が続いた。10月下旬以降は米国大統領選(11/8投票)が間近に迫り、クリントン氏とトランプ氏の一騎打ちが混戦模様であることから先行き不透明感が広がったほか、米国の利上げのタイミングに対する警戒感から様子見ムードとなり、横ばい推移した。

■プラチナ・パラジウム

為替の動き(US$/EURO)@南アでのストライキ動向:プラチナ世界供給の7割(パラジウムは3割)を生産している南アでは、今年は鉱山における3年毎の労使交渉更改年にあたり、8月頃より交渉が進められてきたところ10月に入り、白金生産大手3社(Amplats、Implats、Lonmin)で労使交渉進捗が報じられるようになり、ストライキ発生回避により供給障害への懸念が緩和した。しかし、2017年以降さらに人件費上昇の見通しが固まったことで供給減となるとの見通しが広まり10月下旬以降プラチナは値を戻し始めた。

A米国大統領選に対する期待:金と比較して産業用途割合が高いプラチナ・パラジウムは、米国の景気回復動向にも左右されやすい。クリントン氏が大統領選に勝利し、景気回復が進みプラチナ需要が高まるとの期待が高まったことが価格を下支えした。

 
LME現物
(US$/t)
亜鉛
LME現物
(US$/t)
ニッケル
LME現物
(US$/t)

AM・PM平均
(US$/oz)
プラチナ
AM・PM平均
(US$/oz)
パラジウム
AM・PM平均
(US$/oz)
本報告期 期初 4,807.0 2,369.5 10,190.0 1,316.0 1,016.5 708.0
直近 4,827.5 2,418.5 10,550.0 1,273.1 977.5 613.5
最高値 4,827.5 2,418.5 10,575.0 1,316.0 1,016.5 708.0
  10月31日 10月31日 10月12日 10月3日 10月3日 10月4日
最安値 4,620.5 2,230.0 9,970.0 1,253.7 926.5 613.5
  10月24日 10月13日 10月5日 10月17日 10月21日 10月31日
平均 4,732.1 2,314.1 10,266.4 1,267.8 959.6 649.5
先物
(10月31日)
3か月 4,842.0 2,414.0 10,600.0
12か月 4,880.0 2,420.0 10,770.0
24か月 4,910.0 2,380.0 10,895.0
2016年
(当年)
期初 4,645.0 1,600.0 8,515.0 1,077.5 885.5 550
直近 4,827.5 2,418.5 10,550.0 1,273.1 977.5 613.5
最高値 5,103.0 2,418.5 10,900.0 1,361.7 1,179.5 730.5
  3月18日 10月31日 8月10日 8月3日 8月10日 8月10日
最安値 4,310.5 1,453.5 7,710.0 1,077.5 815.5 467.5
  1月15日 1月12日 2月11日 1月4日 1月21日 1月12日
平均 4,726.2 1,965.2 9,234.3 1,260.2 1,002.4 592.8
2015年
(前年)
期初 6,309.00 2,183.50 14,880.00 1,193.60 1,108.00 775
期末 4,702.0 1,600.0 8,665.0 1,062.3 872 547
最高値 6,448.0 2,405.0 15,455.0 1,294.1 1,283.0 829
  5月12日 5月6日 1月7日 1月23日 1月21日 3月5日
最安値 4,515.5 1,487.0 8,160.0 1,053 830 528
  11月23日 11月19日 11月23日 12月3日 11月30日 12月3日
平均 5,493.6 1,927.9 11,806.4 1,159.2 1,052.1 690.1
2016年11月11日公開
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