非鉄金属市況と需給動向

■ベースメタル

主要非鉄金属の価格推移(2003年5月=1)当該期間、銅は5,700US$代半ばでスタートし、2日発表の米国失業率が9年ぶりの低水準だったことやダウ平均株価の続伸を好感し、7日には5,903.5US$/tまで上伸。その後はLME在庫増加や米国利上げによるドル高傾向が銅価を下押しし、弱含みに推移し5,501US$/tで越月した。亜鉛は、12月前半は米国経済への期待と欧州経済の先行き不安から2,700US$/t台でもみ合い推移していたところ、米国利上げ決定を受けてドル為替相場が一段高となったことから買い控えられ、年末まで軟調な値動きを辿り2,563US$/tで越年した。ニッケルは11,210US$/tでスタートし、米中経済持ち直しが意識され、5日には11,680US$/tの値を付けたものの、その後は米利上げ観測が広がり軟調に推移、12月後半は利上げ決定や中国経済の先行き不安からさらに値を下げ、10,010US$/tで越月した。

■貴金属

製造業購買担当者景況指数(PMI)貴金属は、米国・トランプ次期大統領の経済政策に対する期待から為替がドル高傾向に振れたこと、また12月15日に米連邦準備理事会で利上げが発表されたことから買いが控えられ軟調な値動きとなった。金は1,165US$/ozでスタートし、1,150〜1,170US $/ozで横ばい推移したが、米国利上げ発表以降は1,130US$/oz台で弱含んだ。プラチナはドル高及び軟調な金の値動きにつられ下落基調を辿り月末は900US$/oz前後で軟調に推移、パラジウムも月初の770.5US$/ozから月末には676.0US$/ozへ値を下げた。

米国経済

12月の製造業PMIは54.3(前月54.1)。1/6労働省発表の12月非農業部門雇用者数は前月比+15.6万人(前月:+17.8万人)と市場予想の+18万人を下回ったものの、失業率は4.7%(前月:4.6%)と約9年ぶりの低水準を維持した。

中国経済

12月製造業PMIは、国家統計局発表が51.4(前月:51.7)と景気判断の節目となる50を上回る高水準を維持、財新/Markit発表の速報値については51.9(前月:50.8)と大幅上昇した。

欧州経済

12月製造業PMIは54.9(前月:53.7)と上昇し、2011年4月以来の高水準へ上昇した。

好調な米国景気受け上旬には一時5,900US$台回復するも、米利上げと在庫増加が水を差す

■LME価格

銅:当該期間の値動き@米株高・低失業率を好感:11月28日の年初来高値(5,935.5US$/t)からやや値を落とした5,700US$代半ばで月初開始。2日に発表された米国の失業率が、FRBが完全雇用と見なす5%を大きく下回る4.6%と9年ぶりの低水準となったこと、またダウ平均株価の続伸(13日から7営業日連続で過去最高値更新)を好感し、7日には月中高値の5,903.5US$/tまで上伸。

A米利上げとLME在庫増加が銅価下押し:9日以降は、米国の月内利上げ観測が強まりドル高に振れ、またLME在庫が増加したことが銅価を下押し。14日のFRBによる利上げでドル一段高。銅価は弱含みに推移し、約3週間ぶりに5,700US$台を割り込む。

Bドル高継続で銅価頭重く:LME在庫の増加は19日の34.5万t(10月下旬以来の水準)でピークを迎えるも、その後も月末にかけて32万〜33万tのレベルが続き、銅価は20〜28日にかけて5,500US$の上値抵抗線に抑えられる。29・30日とドルが軟化したことで5営業日ぶりに5,500US$台を回復し、5,501US$/tで越月。

■需給動向

銅地金の需給バランスと在庫の動き国際銅研究会(秋季)の予測では2016年はほぼバランス(供給<需要、8千t)。2017年は供給>需要、163千t。
主要鉱山操業状況:モンゴルOyu Tolgoi鉱山の中国への精鉱輸出が昨年12月2日より2週間停止。これは、昨年11月のダライラマ14世によるモンゴル訪問に反発した中国政府が翌12月より蒙・中間の国境通過時に新たな課金制度を導入したことによるもの。新たな課金制度では物品の輸入に際し10,000人民元/tが課金され、銅精鉱についてはさらに価額の0.2%が課金される模様。

高値圏維持するも右肩上がりの上昇はストップ、2,500US$/t台半ばで2016年を終える

■LME価格

亜鉛:当該期間の値動き@世界情勢先行きについて期待と不安がまだら模様:11月28日には2,907US$/tに達した亜鉛価格だが、12月は2,740US$/tでスタートし、12月半ばまでは世界情勢の動向に左右されながら2,700US$/t台で推移した。12月2日発表の米国雇用統計が好調であったことや米国次期大統領トランプ氏の経済政策への期待が高まった一方、12月4日実施のイタリア国民投票とオーストリア大統領選挙による欧州経済への影響が懸念され下方圧力となり、価格は概ね2,700US$/t台での値動きに留まった。

A米・FOMCにて利上げ決定:12月15日に米国で利上げが決定したことから、ドルが一段高となり割高感から亜鉛価格は下落傾向に転じた。その後年末まで軟調な値動きが続き、2,563US$/tで越年した。

BLME在庫キャンセル増加:10月下旬より供給不足から在庫搬出が相次いでいると見られ、在庫は減少傾向にある。12月の期間においては、米国・New Orleans倉庫で3万tのキャンセルが出ており、月末のオープン在庫は32万tを下回り、年内最低となった。中国・SHFE在庫も、2016年は4月以降、減少傾向を辿っている。

■需給動向

亜鉛のSHFE在庫推移国際鉛亜鉛研究会(秋季)の予測では2016年は34.9万tの供給不足、2017年は24.8万tの供給不足。
主要鉱山操業状況:Glencoreは2015年10月以降、年間50万tの減産体制。2016年10月には豪州・Mt.Isa鉱山の一つであるBlack Star鉱山の鉱量枯渇による閉山を発表した。同月、ペルー・Antamina鉱山は2017年の亜鉛生産倍増計画を発表(+18万t/y)。2016年11月、東邦亜鉛は粗鉱処理量を4分の1に減産していた豪州の亜鉛鉱山について、2017年1月から順次処理量を増やすと発表。

ドル高の進行等が圧迫材料となり、10,010US$/tで2016年を終える

■LME価格

ニッケル:当該期間の値動き@米国利上げを受けたドル高の進行:12月上旬は、初頭こそ米中の経済持ち直しが意識され11,680US$/tまで上昇したものの、その後は米利上げ観測が広がり軟調に推移。15日には米連邦準備制度理事会が利上げを決定したことでドル高が進行し、これが圧迫材料となって中旬以降はさらに下落した。

A中国経済の先行き不透明感:クリスマス休暇に伴い薄商いとなる中、21日に発表された中国税関統計では11月の非鉄金属輸出が減少。この結果を受けて同国経済の先行きに不安感が高まり、22日には10,585US$/tまで下落。その後も軟調に推移し、10,010US$/tで2016年を終えた。なお2016年中、LME在庫量は概ね減少傾向を辿り、12月末時点で37.1万tとなった。SHFE在庫との合計量は46.5万t。

■需給動向

一次ニッケルの月別需給バランス国際ニッケル研究会(秋季)の予測では2016年は6.7万tの供給不足、2017年は6.6万tの供給不足。
主要鉱山操業状況:中国フェロニッケル11社、2016年20%減産提議(2015年12月15日)。フィリピンニッケル鉱山生産者8社に操業停止命令(2016年7月7日〜8月11日)。フィリピンニッケル鉱山生産者15社を含む20社に操業停止勧告(2016年9月27日)。

米国経済回復への期待感と利上げ決定により、ドル高傾向に圧迫され軟調な値動き辿る

■金

金・プラチナ・パラジウム:当該期間の値動き@米国経済回復期待によるドル高:11月8日の米国大統領選で選出されたトランプ氏の経済政策への期待や、12月2日発表の米国雇用統計が好調だったことなどを要因に為替相場はドル高・ユーロ安傾向で推移。金価格はドル高に圧迫され、12月前半は1,150〜1,170US$/ozの水準で緩やかな下落傾向を辿った。

A米・FOMCにて利上げ決定:12月14日、米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で1年ぶりの利上げを決定した。金価格は12月15日には一段安の1,129.7US$/ozまで値を下げた。その後も利息のつかない金への投資を圧迫し、金価格は弱含みな値動きを辿った。金を含めコモディティへの投資は利息がつかないため、利上げの局面において投資が入りづらい傾向にある。

■プラチナ・パラジウム

為替の動き(US$/EURO)@プラチナはドル高により軟調:プラチナは、米国経済回復への期待感が高まったことによるドル高傾向に圧迫されたものの、欧州経済が上向いていることに下支えされ、900〜950US $/ozの狭いレンジで横ばい推移した。プラチナ需要の4割は、主に欧州で普及しているディーゼル車向けの排ガス触媒に使用されている。

Aパラジウムは米国需要増加へ期待:ガソリン車向け排ガス触媒需要が8割を占めるパラジウムは、米国経済回復を好感し770.5US$/ozと2年ぶりの高値でスタートしたが、12月はドル高傾向や米・FOMCで利上げが決定されたことに圧迫され軟調に推移し、676.0US$/ozで越月した。

 
LME現物
(US$/t)
亜鉛
LME現物
(US$/t)
ニッケル
LME現物
(US$/t)

AM・PM平均
(US$/oz)
プラチナ
AM・PM平均
(US$/oz)
パラジウム
AM・PM平均
(US$/oz)
本報告期 期初 5,773.0 2,740.0 11,210.0 1,165.3 904.5 770.5
期末 5,501.0 2,563.0 10,100.0 1,159.1 917.5 695.0
最高値 5,903.5 2,821.5 11,680.0 1,174.5 943.5 770.5
  12月7日 12月7日 12月5日 12月5日 12月8日 12月1日
最安値 5,426.0 2,540.0 10,100.0 1,129.2 901.0 654.0
  12月22日 12月29日 12月30日 12月20日 12月28日 12月22日
平均 5,666.3 2,671.7 11,013.3 1,151.5 919.1 707.2
先物
(12月30日)
3か月 5,520.0 2,580.0 10,095.0
12か月 5,535.0 2,575.0 10,275.0
24か月 5,515.0 2,435.0 10,435.0
2016年
(当年)
期初 4,645.0 1,600.0 8,515.0 1,077.5 885.5 550.0
直近 5,501.0 2,563.0 10,100.0 1,159.1 917.5 695.0
最高値 5,935.5 2,907.0 11,735.0 1,361.7 1,179.5 770.5
  11月28日 11月28日 11月11日 8月3日 8月10日 12月1日
最安値 4,310.5 1,453.5 7,710.0 1,077.5 815.5 467.5
  1月15日 1月12日 2月11日 1月4日 1月21日 1月12日
平均 4,863.1 2,083.2 9,597.6 1,248.2 987.0 612.5
2015年
(前年)
期初 6,309.0 2,183.5 14,880.0 1,193.6 1,108.0 775.0
期末 4,702.0 1,600.0 8,665.0 1,062.3 872.0 547.0
最高値 6,448.0 2,405.0 15,455.0 1,294.1 1,283.0 829.0
  5月12日 5月6日 1月7日 1月23日 1月21日 3月5日
最安値 4,515.5 1,487.0 8,160.0 1,053.0 830.0 528.0
  11月23日 11月19日 11月23日 12月3日 11月30日 12月3日
平均 5,493.6 1,927.9 11,806.4 1,159.2 1,052.1 690.1
2017年1月17日公開
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