非鉄金属市況と需給動向2017年1月

■ベースメタル

主要非鉄金属の価格推移(2003年5月=1)当該期間、銅は5,574US$/tでスタートし、5,500US$/t前後での様子見相場が続いたところ、10日には中国経済指標を好感し5,642US$/tの値を付けた。その後はドル安一服感から軟調に推移したが、下旬は、チリEscondida鉱山でのストライキ懸念や、インドネシアGrasberg鉱山での減産示唆で供給懸念が高まり上昇、5,921US$/tで越月した。亜鉛は、LME在庫が減少傾向にあり、在庫のキャンセルも出ていることから供給不足懸念が拡大し堅調に推移、2,848US$/tで1月の取引を終えた。ニッケルは10,205US$/tでスタートしたところ、12日にインドネシア政府がニッケル鉱石輸出について条件付きで輸出を許可することを発表。供給が増加するとの見通しから下落傾向を辿り、27日には9,380US $/tまで値を下げたが、月末には9,890US$/tまで値を戻した。

■貴金属

製造業購買担当者景況指数(PMI)金は1,149.8US$/ozでスタートし、1月前半はドル安傾向を好感して概ね1,200$/oz台で推移したものの、18日のイエレンFRB議長の米国利上げに関する発表やその後の米国・トランプ大統領就任で同国経済回復への期待が広まりドル高が進み、弱含んだ。プラチナは、950〜1,000 US$/oz、パラジウムは750US$/oz前後で小幅な値動きに留まった。1月前半はドル安を好感し、また2017年の世界新車販売が過去最高となる見通しから需要拡大期待が高まったものの、同月下旬にはドル高に振れたことで白金族相場も下落した。

米国経済

1月の製造業PMIは55.0(前月54.3)。2/3労働省発表の1月非農業部門雇用者数は前月比+22.7万人(前月:+15.6万人)と市場予想の+17.5万人を大幅に上回り、失業率は4.8%(前月:4.7%)とわずかに上昇したものの低水準を維持した。

中国経済

1月製造業PMIは、国家統計局発表が51.3(前月:51.4)と景気判断の節目となる50を上回る高水準を維持、財新/Markit発表の速報値については51.0(前月:51.9)と低下した。

欧州経済

1月製造業PMIは55.2(前月:54.9)と上昇し、2011年4月以来の高水準を維持した。

中国経済回復感、チリ・インドネシアでの供給懸念等を受け、月末に5,900US$/t台回復

■LME価格

銅:当該期間の値動き@材料探しで5,500US$/t前後を推移:12月下旬より5,500US$/tの上値抵抗線に抑えられていたが、年初は5,574US$/tでスタート。5日はドル軟化により5,600US$/t台を一旦超えたが、トランプ次期大統領就任を20日に控え、5,500US$/t前後での模様眺めが9日まで続く。

A中国景気回復感とドル軟化で反発:10日発表された中国の12月生産者物価指数が約5年ぶりの高い伸び(前年比5.5%)となったことを受け、同日の銅価は一段高の5,642US$/tに反発。11日のトランプ次期大統領の記者会見は具体性が乏しく、ドル安に振れたことで銅価は更に上伸(16日:5,857US$/t)。その後は、ECBの量的緩和プログラム継続表明等によるドル安一服感から、20日にかけて軟調推移。

BEscondida鉱山でのスト開始等を受け1ヶ月半ぶりに5,900US$/t台回復:下旬は、チリEscondida鉱山での労使交渉決裂(24日)によるストの可能性や、インドネシアGrasberg鉱山での減産示唆(25日)で供給懸念が高まり、5,900US$/t台回復を窺う底堅い動き。31日、トランプ大統領のドル高牽制発言によるドル安で銅価は上伸し、昨年12月7日以来の高値水準となる5,921US$/tで越月。

■需給動向

銅地金の需給バランスと在庫の動き国際銅研究会(秋季)の予測では2016年はほぼバランス(供給<需要、8千t)。2017年は供給>需要、163千t。
主要鉱山操業状況:銅陵有色集団、金冠製錬所(能力400千t/年)に係る45日間の定期修繕を2月下旬より開始予定。50千tの銅生産に影響が出ると見込まれる。

2017年も堅調な値動きでスタートし2,800US$/t台へ、需給タイト化続く

■LME価格

亜鉛:当該期間の値動き@中国経済指標とドル安傾向を好感:2016年12月は軟調に推移したが、2017年1月は一転上昇傾向を辿った。当該期間2,552.5US$/tでスタートしたところ、10日には中国・12月生産者物価指数が約5年ぶりに高い伸び(前年比5.5%)となったことを受け同国経済に対する期待感が高まり大幅続伸、2,733US$/tの値を付けた。またドル安が進んだことも(月初1.0385US$/€→月末1.0755US$/€)買いの動きを下支えた。

A供給不足続き、LME在庫も減少傾向:1月27日〜2月2日は、中国が春節により休場となるため取引低迷により相場は圧迫されたものの、月末にはLME在庫が昨年6月以来の低水準となったことが好感され、2,848US$/tの値を付けた。LME在庫は当該期間においてもキャンセル・搬出が続き、足元は40万tを下回っている。さらにキャンセル分を除いたオープン在庫は12.3万t(世界消費量の0.9%)となった。中国SHFE在庫も減少傾向にあるが、当該期間においては約6千t増加した。

■需給動向

亜鉛のSHFE在庫推移国際鉛亜鉛研究会(秋季)の予測では2016年は34.9万tの供給不足、2017年は24.8万tの供給不足。
主要鉱山操業状況:Glencoreは2015年10月以降、年間50万tの減産体制。2016年10月には豪州・Mt.Isa鉱山の一つであるBlack Star鉱山の鉱量枯渇による閉山を発表した。同月、ペルー・Antamina鉱山は2017年の亜鉛生産倍増計画を発表(+18万t/y)。2016年11月、東邦亜鉛は粗鉱処理量を4分の1に減産していた豪州の亜鉛鉱山について、2017年1月から順次処理量を増やすと発表。また、中国・新疆ウイグル自治区で2015年に発見された中国最大規模の鉛亜鉛鉱床が2017年中に生産開始されると報道されている。

インドネシア鉱石禁輸条件付き緩和が下方圧力となり、一時9,380US$/tまで下落

■LME価格

ニッケル:当該期間の値動き@中国経済動向を好感:当該期間は10,205US$/tでスタートし、中国生産者物価指数が約5年ぶりの大きな伸び率(前年比5.5%)となったこと等、中国経済回復に対する期待感が広まり、1月上旬は概ね上昇傾向。

Aインドネシアニッケル鉱石禁輸条件付き緩和が価格圧迫:12日、インドネシア政府は、2014年1月以来禁輸を行っていたニッケル鉱石について、条件付きでの輸出許可を発表。これを受けてニッケル価格は前日比4.6%下落した。その後、一時ドル安の進行が好感されて値を戻したものの、今後供給が増加するのではとの懸念から上値重く下落傾向を辿り、27日には9,380US$/tの値を付けた。

BPT Antamの2016年フェロニッケル生産過去最高との報を好感か:PT Antamの2016年フェロニッケル生産量が過去最高だったと報道を受けて、市況回復が意識されたものとみられ、31日には9,890US$/tまで値を戻して1月を終えた。

■需給動向

一次ニッケルの月別需給バランス国際ニッケル研究会(秋季)の予測では2016年は6.7万tの供給不足、2017年は6.6万tの供給不足。
主要鉱山操業状況:中国フェロニッケル11社、2016年20%減産提議(2015年12月15日)。フィリピンニッケル鉱山生産者8社に操業停止命令(2016年7月7日〜8月11日)。フィリピンニッケル鉱山生産者15社を含む20社に操業停止勧告(2016年9月27日)。

米国経済回復への期待感と利上げ決定により、ドル高傾向に圧迫され軟調な値動き辿る

■金

金・プラチナ・パラジウム:当該期間の値動き@トランプ氏の影響によるドル安傾向:当該期間1,149.8US$/ozでスタートし、1月上旬はトランプ氏の米国大統領就任を控えドル安傾向であったことから、金価格は堅調に推移。12日の同氏記者会見で、具体的経済政策が述べられなかったことや、日本や中国との貿易赤字に対する言及からトランプ政権のドル安志向が意識されたことでドルは一段安となり、金価格はおよそ2ヶ月ぶりに1,200US$/oz台へ上昇した。

A米国利上げの動向や米国インフラ建設の動きを嫌気:18日、イエレンFRB議長は、2019年末まで政策金利を年2、3回のペースで引き上げる見通しを明らかにし、金利のつかない金は売りに押された。さらに24日、トランプ大統領がパイプライン建設を推進する大統領令に署名したことを受け、同国経済回復への期待からドル高が進み金価格を圧迫、27日には1,184.5US$/ozまで値を下げた。その後やや値を戻して1,205.8US$/ozで越月した。

■プラチナ・パラジウム

為替の動き(US$/EURO)@ドル安を好感:1月上旬〜中旬にかけては、米国の先行き不透明感によるドル安傾向を好感し、概ね上昇傾向を辿った。下旬になると、トランプ氏が大統領に就任し、米国経済回復への期待からドル高傾向へ転じたことにより軟調な値動きを辿った。

A自動車需要拡大への期待増:19日、加・Scotiabankは2017年の世界新車販売が過去最高になるとの見通しを発表、白金族の自動車排ガス触媒需要拡大が期待され相場を下支えした。プラチナ需要の4割、パラジウム需要の8割が排ガス触媒向けである。

 
LME現物
(US$/t)
亜鉛
LME現物
(US$/t)
ニッケル
LME現物
(US$/t)

AM・PM平均
(US$/oz)
プラチナ
AM・PM平均
(US$/oz)
パラジウム
AM・PM平均
(US$/oz)
本報告期 期初 5,774.0 2,552.5 10,205.0 1,149.8 917.5 695.0
期末 5,921.0 2,848.0 9,890.0 1,205.8 989.0 753.0
最高値 5,921.0 2,848.0 1,0450.0 1,216.8 991.5 786.5
  1月31日 1月31日 1月11日 1月17日 1月25日 1月23日
最安値 5,500.5 2,530.0 9,380.0 1,149.8 917.5 695.0
  1月4日 1月4日 1月27日 1月3日 1月3日 1月3日
平均 5,737.4 2,713.0 9,984.3 1,194.6 974.0 748.5
先物
(1月31日)
3か月 5,930.0 2,850.0 9,950.0
12か月 5,950.0 2,698.0 10,315.0
24か月 5,935.0 2,498.0 10,490.0
2017年
(当年)
期初 5,574.0 2,552.5 10,205.0 1,149.8 917.5 695.0
期末 5,921.0 2,848.0 9,890.0 1,205.8 989.0 753.0
最高値 5,921.0 2,848.0 1,0450.0 1,216.8 991.5 786.5
  1月31日 1月31日 1月11日 1月17日 1月25日 1月23日
最安値 5,500.5 2,530.0 9,380.0 1,149.8 917.5 695.0
  1月4日 1月4日 1月27日 1月3日 1月3日 1月3日
平均 5,737.4 2,713.0 9,984.3 1,194.6 974.0 748.5
2016年
(前年)
期初 4,645.0 1,600.0 8,515.0 1,077.5 885.5 550.0
直近 5,501.0 2,563.0 10,100.0 1,159.1 917.5 695.0
最高値 5,935.5 2,907.0 11,735.0 1,361.7 1,179.5 770.5
  11月28日 11月28日 11月11日 8月3日 8月10日 12月1日
最安値 4,310.5 1,453.5 7,710.0 1,077.5 815.5 467.5
  1月15日 1月12日 2月11日 1月4日 1月21日 1月12日
平均 4,863.1 2,083.2 9,597.6 1,248.2 987.0 612.5
2017年2月10日公開
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