非鉄金属市況と需給動向2017年2月

■ベースメタル

主要非鉄金属の価格推移(2003年5月=1)当該期間、銅は5,931US$/tでスタート、ドル反発と中国人民銀行の利上げにより5,800US$/t前後を軟調推移していたところ、Grasberg鉱山で輸出停止、Escondida鉱山でストによる生産停止となったことで、13日には約1年9ヶ月ぶりの6,000US$/t台を回復した。その後月末にかけては、ドル高に振れたことから値を下げて5,936US$/tで越月した。亜鉛は、2月前半はLME在庫の減少傾向が続き、需給タイト感から価格は上昇傾向を辿り9年4ヶ月ぶり高値となる2,971US$/tをつけたところ、在庫の積増しがあり2月後半は軟調な値動きに転じ、2,813.0US$/tで越月。ニッケルは10,025US$/tでスタートしたところ、2日にフィリピン環境天然資源省が国内23鉱山の閉鎖・5鉱山の生産一時停止を命じたことを受けて供給不足懸念が高まり、2月20日には11,045US$/tまで上昇。下旬は、ドル高傾向や中国需要先行き懸念が圧迫材料となり軟調な値動きに転じ、10,870US$/tで2月の取引を終えた。

■貴金属

製造業購買担当者景況指数(PMI)金は1,206.8US$/ozでスタートし、米国トランプ大統領の政策について先行き不透明感が拡大したことや世界的な政情不安に対する危機感から、リスク回避のため安全資産である金需要が増し上昇傾向を辿った。24日には3ヶ月ぶりに1,250US$/oz台の値を付け、1,253.8US$/ozで越月。プラチナ及びパラジウムは、対ユーロでドル高・ランド高傾向に上値を抑えられ狭いレンジでの値動きで概ね横ばいに推移し、1,029US$/oz、789US$/ozで越月。

米国経済

2月の製造業PMIは54.2(前月55.0)。3/10労働省発表の2月非農業部門雇用者数は前月比+23.5万人(前月:+22.7万人)と市場予想の+19.0万人を大幅に上回り、失業率は4.7%(前月:4.8%)と改善した。

中国経済

2月製造業PMIは、国家統計局発表が51.6(前月:51.3)と景気判断の節目となる50を上回る水準を維持・上昇、財新/Markit発表の速報値についても51.7(前月:51.0)と上昇した。

欧州経済

2月製造業PMIは56.0(前月:55.2)と上昇し、2011年4月以来の高水準を維持した。

Escondida鉱山・Grasberg鉱山の生産停止等により、1年9ヶ月ぶりの6,000US$台回復

■LME価格

銅:当該期間の値動き@ドル反発と人民元利上げでやや軟調(〜6日):2月は5,931US$/tでスタート。6日まではドル反発と中国人民銀行の利上げ(人民元下落阻止と金融引締め)により、5,800US$前後を軟調推移。

Aストによる供給懸念と好調な米国経済:Grasberg鉱山(インドネシア)では鉱業法改正に伴う輸出許可失効により精鉱の輸出が1月12日以降停止。また、Escondida鉱山(チリ)では1月下旬から行われていた労使交渉が決裂し、7日、BHP Billitonは9日からの生産停止を発表。さらに米国景気は、ダウ平均株価が8日以降11営業日連続で市場最高値を更新。これらを背景に銅価は急反発し、2月13日、約1年9ヶ月ぶりに6,000US$/t台回復。23日まで6,000US$前後を推移。

B米早期利上げ観測によるドル高が一時価格下押し:月末にかけては、ダウ平均株価の騰勢一服感や米の早期利上げ観測からドル高に振れたことで、24日は5,900US$台割れ(5,881US$/t)。その後は、28日のトランプ大統領の議会演説に対する期待感から値を戻し、5,936US$/tで越月。

■需給動向

銅地金の需給バランスと在庫の動き国際銅研究会(秋季)の予測では2016年はほぼバランス(供給<需要、8千t)。2017年は供給>需要、163千t。
主要鉱山操業状況:Escondida鉱山のストは3月10日現在も継続中。生産停止による損失額は2千万US$/日に上る模様。またGrasberg鉱山に関しては、51%の資本現地化義務を盛り込んだIUPK(特別鉱業事業許可)への移行を主張するインドネシア政府と、現行CoW(鉱業事業契約)の継続を主張するFreeport McMoranとの間で意見対立。

9年半ぶり高値付けるも、2月後半は在庫増加と中国需要減退懸念で価格上昇の勢い弱まる

■LME価格

亜鉛:当該期間の値動き@亜鉛需給タイト感が下支え:2月初めはドル高に振れたこと等が嫌気され値を下げたが、その後は供給不足懸念を背景に上昇し、13日には9年4ヶ月ぶりの高値となる2,971US$/tに達した。

ALME在庫の積増しで供給不足懸念緩和:LME亜鉛在庫は減少傾向を辿り、2月初めの39.4万tから13日には38.1万tまで減少した。しかし14日に米国・New Orleans倉庫で1.3万tの積増があり、需給逼迫懸念が緩和したことから価格も反落した。2月後半の亜鉛在庫は、再び減少傾向を辿っている。

B中国需要の減退懸念:17日に2,825.5US$/tまで値を下げて以降は、需給逼迫が再び意識され上昇傾向を辿ったところ、22日の中国主要都市の新築住宅価格上昇率鈍化の発表に加え、23日には中国当局が不動産税導入を示唆したことを受けて中国需要減退が意識され、月末まで軟調な値動きが続き2,813US$/tで取引を終えた。

■需給動向

亜鉛のSHFE在庫推移国際鉛亜鉛研究会(秋季)の予測では2017年は24.8万tの供給不足。
主要鉱山操業状況:Glencoreは2015年10月以降、年間50万tの減産体制。2016年10月には豪州・Mt.Isa鉱山の一つであるBlack Star鉱山の鉱量枯渇による閉山を発表した。Nyrsterは、2015年に操業停止した加・Myra Falls鉱山(年産30万t)や米国・Middle Tennessee鉱山(年産50万t)の操業再開計画を発表、一方鉱山の売却計画も進めている。中国・新疆ウイグル自治区で2015年に発見された中国最大規模の火燒雲鉛亜鉛鉱床が2017年中に生産開始されると報道されている。
製錬所操業状況:中国最大の株州亜鉛製錬所は10万tの減産を発表、KOREA ZINCは5万tの亜鉛減産を発表。世界的亜鉛鉱石不足やTCの低下が主な要因。

フィリピン鉱山閉鎖命令に伴い供給不足懸念広がり、一時11,000US$/tを超える

■LME価格

ニッケル:当該期間の値動き@フィリピン鉱山閉鎖命令に伴う供給不足観測高まる:当該期間は10,025US$/tでスタートしたが、2日にフィリピン環境天然資源省が国内23鉱山の閉鎖・5鉱山の生産一時停止を命じたことを受けて供給不足懸念が高まり、価格は急上昇した。その後も下旬まで上昇傾向が続き、20日には11,045US$/tの値を付けた。

A米国利上げ観測の再燃:下旬は、米国早期利上げ観測が圧迫材料となった他、中国における不動産税導入への警戒感などを受けて同国需要についての先行き懸念が広がり10,600US$/t台まで値を落とした。

B米国インフラ投資に対する期待感高まる:27-28日にかけては、米トランプ大統領の施政方針演説を前にインフラ投資政策に対する期待感が高まったことで値を戻し、10,870US$/tで2月を終えた。

■需給動向

一次ニッケルの月別需給バランス国際ニッケル研究会(秋季)の予測では2016年は6.7万tの供給不足、2017年は6.6万tの供給不足。
主要鉱山操業状況:中国フェロニッケル11社、2016年20%減産提議(2015年12月15日)。フィリピンニッケル鉱山生産者8社に操業停止命令(2016年7月7日〜8月11日)。フィリピンニッケル鉱山生産者15社を含む20社に操業停止勧告(2016年9月27日)。フィリピン環境天然資源省が国内23鉱山の閉鎖・5鉱山の生産一時停止を命令(2017年2月2日)。

ドル高・株価上昇と同時に貴金属価格も上昇傾向、「期待」と「不安」が混沌

■金

金・プラチナ・パラジウム:当該期間の値動き@米国・トランプ大統領の政策への懸念:当該期間1,206.8US$/ozでスタートし、トランプ大統領によるインフラ投資や規制改革促進への期待感から株価高・ドル高に振れた一方、メキシコや中国等との関係悪化に対する不安から投資のリスク回避先として金価格も上昇傾向を辿り、24日には3ヶ月ぶりに1,250US$/oz台の値を付けた。

A世界政情不安に対する危機感:フランスで4-5月に開催される大統領選に向け極右政党が支持を伸ばしていること等、欧州における政治動向に対する警戒感が拡大。イランが米国のイスラム圏7カ国からの入国を制限する一時措置に対抗し、米国国民の入国制限方針を表明、中距離弾道ミサイルの発射実験を行ったこと等から世界的な政情不安が加速、安全資産である金需要が増した。

■プラチナ・パラジウム

ユーロに対する為替の値動き(米ドル・南アランド)@FOMC米国金利据え置きに反応:プラチナ価格は995US$/oz、パラジウム価格は762US$/ozでスタート。2/1開催の米・FOMCで金利が据え置かれたものの、イエレン米FRB議長が2017年上半期中の利上げを示唆したことで利上げへの期待感が高まったことによるドル高進行に圧迫され、狭いレンジでの値動きに留まり伸び悩んだ。

Aランド高がプラチナ価格を圧迫:22日、南アランドが2015年8月以来の高値圏に上昇、割高感から南アにおける産出量の多いプラチナ・パラジウム価格を圧迫した。同国ゴーダン財務相が2017年の財政演説で歳出削減の方針等を打ち出したことから、財政健全化を期待しランド高が進んだ。

 
LME現物
(US$/t)
亜鉛
LME現物
(US$/t)
ニッケル
LME現物
(US$/t)

AM・PM平均
(US$/oz)
プラチナ
AM・PM平均
(US$/oz)
パラジウム
AM・PM平均
(US$/oz)
本報告期 期初 5,931.0 2,848.0 10,025.0 1,206.8 995.0 761.5
期末 5,936.0 2,813.0 10,870.0 1,253.8 1,029.0 782.0
最高値 6,145.0 2,971.0 11,045.0 1,256.7 1,029.5 790.5
  2月14日 2月13日 2月20日 2月27日 2月27日 2月16日
最安値 5,786.0 2,764.5 10,025.0 1,206.8 990.5 748.0
  2月6日 2月6日 2月1日 2月1日 2月21日 2月3日
平均 5,946.7 2,847.0 10,660.2 1,234.9 1,007.7 773.5
先物
(2月28日)
3か月 5,940.0 2,818.0 10,950.0
12か月 5,960.0 2,678.0 11,270.0
24か月 5,945.0 2,470.0 11,440.0
2017年
(当年)
期初 5,574.0 2,552.5 10,205.0 1,149.8 917.5 695.0
期末 5,936.0 2,813.0 10,870.0 1,253.8 1,029.0 782.0
最高値 6,145.0 2,971.0 11,045.0 1,256.7 1,029.5 790.5
  2月14日 2月13日 2月20日 2月27日 2月27日 2月16日
最安値 5,500.5 2,530.0 9,380.0 1,149.8 917.5 695.0
  1月4日 1月4日 1月27日 1月3日 1月3日 1月3日
平均 5,842.1 2,780.0 10,322.3 1,224.8 999.1 767.3
2016年
(前年)
期初 4,645.0 1,600.0 8,515.0 1,077.5 885.5 550.0
期末 5,501.0 2,563.0 10,100.0 1,159.1 917.5 695.0
最高値 5,935.5 2,907.0 11,735.0 1,361.7 1,179.5 770.5
  11月28日 11月28日 11月11日 8月3日 8月10日 12月1日
最安値 4,310.5 1,453.5 7,710.0 1,077.5 815.5 467.5
  1月15日 1月12日 2月11日 1月4日 1月21日 1月12日
平均 4,863.1 2,083.2 9,597.6 1,248.2 987.0 612.5
2017年3月10日公開
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