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  平成23年 4月 7日 2011年14号
グアテマラ共和国の鉱業の現状


< メキシコ事務所 高木博康 報告 >

 グアテマラの鉱業は1920年代以降、クーデターの頻発等、不安定な政治情勢のなか低迷していた。しかしながら、グアテマラは南米から北米に連なる鉱業ポテンシャルの高い地域に位置しており、1996年に反政府ゲリラ活動が終焉した後、急速に発展しつつある。筆者は2011年2月にグアテマラを訪問し、Guillermo Alvarezエネルギー鉱業省鉱山総局次長、グアテマラで鉱業活動を行っているCGN社、Mayaníquel社等から話を聞く機会を得たので、ここに報告する。。


1. グアテマラの鉱業の概況

図1. グアテマラの地質構造(出典:エネルギー鉱山省)

図1. グアテマラの地質構造
(出典:エネルギー鉱山省)

 グアテマラは、北から順に北部低地帯(右図の緑色の部分:メキシコとベリーズに挟まれた地域)、変成岩地帯(赤色)、火山岩地帯(茶色)、太平洋岸地帯(灰色)に分類される。このうち、変成岩地帯の東部(Fenixプロジェクト等がある地域)にはニッケル、コバルトが、西部には銅、鉛、亜鉛が賦存している。火山岩地帯には金、銀が賦存しており、この地帯の西部、メキシコ国境近くにMarlin金・銀鉱山が位置する。また最 近、太平洋岸地帯のチタンを含む砂鉄 に関心を示す企業が現れている。


 グアテマラ鉱業の歴史は浅く、1996年の内戦終結をもって始まった。鉱業法を制定したのも1996年である。そこから急速に開発が進んでおり、現在、操業鉱山及び探鉱・開発中のプロジェクトは図2、表1のとおりである。


図2. グアテマラにおける鉱床・操業鉱山・探鉱・開発プロジェクトの分布

図2. グアテマラにおける鉱床・操業鉱山・探鉱・開発プロジェクトの分布


 グアテマラ・エネルギー鉱山省の資料に操業鉱山・探鉱・開発プロジェクトの分布を加筆

:金・銀鉱山、○:金鉱山・プロジェクト、△銀プロジェクト、□:ニッケル・プロジェクト、◇:多金属プロジェクト、▲:アンチモン鉱山

表1. グアテマラの主要な鉱山・プロジェクト
鉱山・プロジェクト名 段階 鉱種 権益所有企業等 備考
Marlin 操業鉱山 金、銀 Goldcorp(加)  
El Sastre 操業鉱山 Argonaut(加)  
Ixtahuacán 操業鉱山 アンチモン Minas de Guatemala 2008年途中より休止中
Torlon Hill 開発 亜鉛、鉛、
Firestone(米) (注1)
Cerro Blanco 開発 金、銀 Goldcorp(加) 2012年操業予定。
年間生産予定量:金6.2 t
Fenix 開発 ニッケル HudBay(加)98.2%、
グアテマラ政府1.8%
2013年操業予定。
年間生産予定量:フェロニッケル22.7 t
Escobal 探鉱 Tahoe(加) 2013年操業予定。
年間生産予定量:銀435 t
Mayaniquel 探鉱 ニッケル Anfield(加) 2014年操業予定
El Tambor 探鉱 Radius 2012年操業予定。
年間生産予定量:金0.6 t
El Pato 探鉱 Goldex 2015年操業予定。
年間生産予定量:金1.6 t
(出典:エネルギー鉱山省)  

(注1)エネルギー鉱山省の資料では、鉛を生産中とあったが、Firestone社HPに従い開発中とした。


なかでも2005年に生産を開始したカナダGoldcorp社のMarlin鉱山は金、銀の生産量を急速に伸ばしており、グアテマラの金、銀生産量の増加に大きく寄与している(表2)。


かつて、グアテマラのアンチモンの生産量は、メキシコ、ボリビアに次いで米州大陸で第3位であったが、アンチモンを生産するIxtahuacán鉱山が中国からの低価格品の影響により断続的に生産を休止し、2008年以降休止状態となっている。現在はアンチモンの価格が高騰しているが、再開の見通しは立っていない。


表2にグアテマラの金、銀、アンチモンの生産量の推移(2005~2009年)を示す。


表2. グアテマラの金属生産量の推移
  2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
金(t) 0.7 5.0 7.1 7.5 8.6
銀(t) 7.1 49.7 88.3 99.9 129.3
アンチモン(t) 2,686 - 915 6,300 -
(出典:WMSY2010、エネルギー鉱山省)  

(注2)WMSYの統計では2009年のアンチモン生産量は、6,300 tとなっているが、エネルギー鉱山省等の情報により「-」とした。

2. 鉱業法等について

(1) 現行鉱業法について
   グアテマラの鉱業法は1996年に制定されたものであり、ロイヤルティは1%と他国に比べ低くなって

いる。Guillermo Alvarezエネルギー鉱業省鉱山総局次長によれば、長く内戦状態であったことによる鉱山開発の遅れを取り戻すために、外資を導入すべくロイヤルティを低くしたとのことである。短期間に多くのプロジェクトが進展し、鉱業生産量が増加していることの一つの要因にもなっている。

ライセンスは表3に示すとおり3つの種類があり、どのライセンスからでも始められる。

表3. グアテマラ鉱業法のライセンスの種類
ライセンス名 面積(km2) 有効期限 申請中の件数
広域調査
(Reconocimiento)
500~3000 6か月(+6か月の延長可。) 1
探鉱 100 3年(+2年+2年) 139
採掘 20 25年(+25年) 292
(出典:エネルギー鉱山省)  

   グアテマラで鉱業活動を行うのに関連する税金等は、表4の通りである。シアンの輸入税は、環境天然資源省に対し支払うものである。最近、Montana社(Marlyn鉱山を持つGoldcorp出資の現地法人)が2005年の操業開始以来、この税金を支払っていなかったことが判明し、同省に対し過去の分も含めた支払いが行われている。

表4. グアテマラの鉱業活動に必要な税金等
  税率等 備考
ISR(所得税) 31%  
IVA(付加価値税) 12% 輸出品目にはかからない。
IUSI 地域毎 土地にかかる地方税
ロイヤルティ 1%  
シアン輸入税 5 Q/kg  

(注)Q:ケツァル(2010年年間平均1 US$=8.06 Q)

(出典:エネルギー鉱山省)

 

(2) 鉱業法改正の動き
   グアテマラ政府は、環境保護、監督等の強化、先住民の鉱業ライセンス付与プロセスへの参加、鉱区税及びロイヤルティの見直し等を骨子とする鉱業法改正案を2008年8月にグアテマラ議会に提出した。この法案に対しては、先住民団体、カトリック団体、環境天然資源省等の政府部内等からも不満が出ている。また、議会においては、鉱業権付与に先立つ地域共同体との協議、環境規制の更なる強化、ロイヤルティの更なる引上げ等を骨子とする対案も提出されている。
   Guillermo Alvarez鉱山総局次長に対し、鉱業法改正の見通しについて質問したところ、「自分は現在の法律が良い法律だと思っている。ロイヤルティを1%と低く押えたために、内戦終了後の1996年以降、1,000件以上のライセンス申請があった。2008年にエネルギー鉱山省が国会に提出した改正案では、ロイヤルティを3%に引き上げる内容であり、その程度の引き上げであれば国際的な比較の観点でもやむを得ないと考えている。しかし、その後、国会の審議においては、鉱山開発に好意的では無い議員からロイヤルティを5%や10%に引き上げるといった案も出ている。なお、2011年の秋には総選挙が予定されており、国民全てが満足するような案は存在しないことから、この2年間同様、2011年中に鉱業法は改正されないと考えている。」とのことであった。

3. 鉱山の操業状況

(1) Marlin金・銀鉱山
   Goldcorpの100%現地法人であるMontana Explora de Guatemala社が操業を行っている。Marlin鉱床は1998年にMontana Gold Corp.の広域調査により発見された後、何回かの買収を経て、2006年11月にGordcorpの所有となっている。

表5. Marlin鉱山の生産量
  2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年
(計画)
金(kg) 743 5,008 7,067 7,508 8,550 9,210 12,441
銀(t) 4.81 49.72 88.25 99.92 129.28 182.33 -
(出典:Goldcorp社HP)

(2) El Sastre金鉱山
   当初、グアテマラ資本のRocas el Tambor社の100%資本であったが、2004年にAurogin Resources Ltd.(2007年に他社との合併でCastle Gold社と名称変更)が50%の権益を買収した。2010年2月、Argounaut Gold社がCastle社の権益を買収し、Argounaut社(50%)、Rocas el Tambor社(50%)の権益となっている。なお、Argonaut社のHPのEl Sastre金鉱山の項目は「工事中」となっており、2009年以降の生産量は公表されていない。

表6. El Sastre金鉱山の生産量
  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
金(kg) 30 430 328 - -
(出典:Castle Gold社HP)

(3) Ixtahuacánアンチモン鉱山
   グアテマラ資本のMinas de Guatemala社の所有で、かつては、500人以上が働く鉱山であったが、中国からの低価格品の影響で採算性が悪くなり、生産を断続的に休止していた。金属価格の高騰により2007年から2008年にかけて一時生産を再開したが、2008年9月のリーマンショックのよる金属価格の低下により再び生産を休止した。現在、再びアンチモンの価格は上昇しているが、同社の社長は、高齢で後継者もいないことから、再開する意向はないとのことであった。

表7. Ixtahuacánアンチモン鉱山の生産量
  2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
アンチモン(t) 2,686 - 915 6,300 -
(出典:MWSY,エネルギー鉱業省)

4. 主な探鉱開発プロジェクト

(1) Fenixニッケル・プロジェクト
  プロジェクトの概要
     本プロジェクトは、グアテマラ東部のIzabal湖周辺に位置し、Hudbey Minerales(加)が98.2%、グアテマラ政府が1.8%の権益を有する。Hudbey Minerales社は、2008年8月にSkye Resources社から本プロジェクトを買収したが、2008年~2009年にかけて、金属価格の低迷から開発を延期していた。また、2009年には鉱山開発反対派による土地の不法占拠も発生している。

表8. Fenixニッケル・プロジェクトの資源量
カットオフ品位 ニッケル0.80% ニッケル1.60%
  鉱量
(百万t)
Ni(%) Co(%) 鉱量
(百万t)
Ni(%) Co(%)
サプロライト 概測・精測資源量 61.45 1.49 - 35.80 1.81 -
予測資源量 43.01 1.25 - 48.20 1.64 -
リモナイト 概測・精測資源量 46.53 1.11 0.11 12.60 1.18 0.10
予測資源量 14.70 0.08 0.08 32.80 1.15 0.10
(出典:Hudbey Minerales社HP)

  現況及び今後の計画(現地子会社のCGN(Compañia Guatemateca de Niquel)社John Bracale社長、Greg Dryden CFO他からのヒアリング結果)
     現在、カナダ調査企業によるFSが最終段階であるが、これまでの確認埋蔵量としては、年間50百万lb(22.7千t)のニッケルを生産しても26~27年生産できる世界最大級のニッケル・プロジェクトである。
 フェロニッケル中のニッケルの含有率は35~36%であり、ステンレス用に高く販売できる。現在のニッケル市場価格は、10 US$/lb以上であるのに対し、トータル・キャッシュコストは3 US$/lb以下であり、高い利益率を実現できる見込みである。
 現在、インフラ整備中で、これから220 MWの発電プラントの入札を行うところである。プロジェクトに必要な経費は12億US$で、発電プラントの建設コストはこれの約1/3を占める。
 2014年H1から生産開始を予定している。
 モルガン・スタンレーが窓口となり戦略的投資家を探している。日本や中国の企業の資本参加は大歓迎である。親会社は、技術を持った企業を戦略的パートナーとして探しているが、現場としてはユーザーサイドにつながりを持つパートナーが望ましいと考えている。関心がある企業は、親会社であるトロントにあるHadbay社にアプローチして欲しい。
(2) Mayaníquelニッケル・プロジェクト(旧Secholプロジェクト)
  プロジェクトの概要
     本プロジェクトは、グアテマラ東部のFenixプロジェクトの周辺の16の鉱区からなる。2006年にBHP BillitonがJagar Nickel社の現地法人Jagar Niquel S.A.を買収し、Mayaníquel S.A.と社名変更した。その後、2009年5月にANFIELD Nickel社(加)が100%権益をBHP Billitonから2.5百万US$と1.5%の製錬所ロイヤルティで買収し、プロジェクト名を現地子会社の名前であるMayaníquelプロジェクトと変更した。
 2008年6月に環境天然資源省(MARN)の検察総局は、環境影響評価報告(EIA)の承認を得ないで実施した本プロジェクトの2鉱区の探鉱が環境改善保護法(Ley de Proteccion y Mejoramiento del Medio Ambiente)に違反したとして、Mayaníquel社に対し罰金25,000 US$を課し、当該2鉱区における探鉱中止命令を下した。それに対し同社は、この命令を不服として罰金の支払いに応じず法的対抗措置を取っている。

表9. Mayaníquelニッケル・プロジェクトの資源量
    鉱量(百万t) Ni品位(%) Ni含有量(千t)
サプロライト 概測資源量 12.1 1.57 189
予測資源量 49.6 1.37 678
リモナイト 概測資源量 7.0 1.11 145
予測資源量 13.1 1.11 145
合計 概測資源量 - - 269
予測資源量 - - 823
(注)カットオフ品位 Ni 1.0% (出典:ANFIELD社HP)

  現況及び今後の計画(現地子会社のMayaníquel社 Juan Garzaro社長他からのヒアリング結果)
     現在、5年以内の生産開始を目指し、プレF/Sを行うとともに、インフラの計画を作成しているところである。
 『BHP Billitonが権益を売却した理由について』
2009年当時、リーマンショック後に資源価格低下の中、同社は選択と集中の戦略をとり、同社にとって優先順位が低かったこのプロジェクトを売却したと聞いている。
 (注)2007年5月に先住民共同体が本プロジェクトにより周辺の川が汚染されたとして告発した経緯があり、BHP Billitonは環境対策における同社のイメージ低下を恐れて売却したのではないかとの見方もある。
 『2008年6月に同社が環境天然資源省から環境影響評価の承認を得ないで探査を行ったとして罰金を命じられ、法的に争っていることについて』
鉱業法では、採掘ライセンスを得るためには環境影響調査が必要だと規定されているが、探鉱の段階では同調査は必要が無い。環境天然資源省が根拠としているのは同省による規則であるが、同規則は法律上の根拠が無く、無効であると考えている。また、環境法より鉱業法の方が新しく、新しい法律が優先されると理解している。従って、現在、裁判所に訴えており、徹底的に争っていくつもりである。
 環境天然資源省がラジカルな環境活動家の影響を受けた影響である。

(3) Torlon Hill多金属プロジェクト
   Firestone Ventures Inc.(米)が2004年から探鉱を行い、現在、同社が100%権益を持っている。グアテマラ・エネルギー鉱山省の説明では既に鉛の生産は始めているとのことであったが、同社HPでは開発中のプロジェクトとして載っている。同社は、グアテマラで鉱業活動を行う理由を、①民主的な政府、②優れた鉱業ポテンシャル、③良好な投資環境、及び④歴史的に数多くの亜鉛の酸化鉱、硫化鉱の存在が報告されている、と説明している。

表10. Torlon Hill多金属プロジェクトの資源量
    鉱量(千t) 平均品位
亜鉛(%) 鉛(%) 銀(g/t)
酸化鉱 概測・精測資源量 1,900 7.32 2.41 14.25
予測資源量 170 4.42 1.96 12.53
硫化鉱 概測・精測資源量 76.1 3.23 2.60 12.50
予測資源量 36.3 2.79 2.03 10.47

(4) Cerro Blanco金・銀プロジェクト
   本プロジェクトは、グアテマラ南東部のエルサルバドル国境近辺に位置し、Goldcorp社が保有する。同社は、当初2010年半ばの操業開始を目指していたが、予定が遅れ、グアテマラ政府によると2012年操業開始予定となっている。

表11. Cerro Blanco金・銀プロジェクトの資源量
  鉱量(百万t) 平均品位
(g/t)
含有量(t)
概測・精測資源量 2.52 15.64 72.0 39.5 180.4
予測資源量 1.35 15.31 59.6 2.08 80.9
(出典:Goldcorp社HP)

(5) Escobal銀プロジェクト
   本プロジェクトは、グアテマラ南部に位置し、2010年6月にTahoe Resources Inc.(加)がGoldcorpから買収した高銀品位を特徴とするプロジェクトである。粗鉱処理量3,500 t/日、マインライフ18年で、435 t/年の銀生産量を見込んでいる。同社は2011年内に全ての開発に係る許可を取得し、2012年5月の開発工事開始、2013年後半の操業開始、及び2014年初旬の商業生産開始を予定している。

表12. Escobal銀プロジェクトの資源量
  鉱量(百万t) 平均品位
(g/t)
含有量(t)

(g/t)

(g/t)

(%)
亜鉛
(%)
亜鉛
概測・精測資源量 15.3 500 0.51 0.80 1.34 7,620 7.8 121,468 203,662
予測資源量 8.3 271 0.40 0.58 1.04 - - - -
(出典:Tahoe Resources社HP)

5. 先住民問題への対応について

 グアテマラでは鉱山会社と先住民との対立が頻繁に起こっている。先住民問題への対応に関し、エネルギー鉱山省及びニッケル・プロジェクトを展開する現地法人2社からヒアリングした概要は以下のとおりである。


(1) Guillermo Alvarezエネルギー鉱業省鉱山総局次長
   政治的な動きをする環境活動家が先住民に事実と異なることを吹き込むことが問題である。先住民の多くは読み書きができず、新聞も読まない。そのような人に対し、環境活動家が「鉱山開発を行うと土地が汚染され、癌になる」と説明すると信じてしまう。メキシコ等は鉱山開発の歴史が長いのでこのようなことは少ないと思うが、グアテマラは鉱山開発の歴史が無いだけにこのようなことが起こる。
 大切なことは、鉱山会社がコミュニティと良好な関係を持ち、きちんと説明することである。地質学の専門家の中には、コミュニティとの関係構築といったことが必ずしも得意で無い人がいるので、社会科学系の人も雇用し、コミュニティとの良好な関係を構築することを勧めている。
 Marlin鉱山の時には、環境活動家の方も準備ができていなかったので、比較的容易に開発ができたが、環境活動家の準備が整った後の鉱山開発の方が困難は大きい。
 『米州人権委員会(IACHR)から周辺の環境汚染を原因にMarlin鉱山の操業停止を要請された件について
グアテマラ政府から同委員会に対し根拠の提示を求めているが、返事が無い。また、地域のコミュニティと話し合いをしようと思ってもコミュニティの代表が定まらない。
(2) Fenixニッケル・プロジェクトの現地法人CGN(Compañia Guatemateca de Niquel)社 John Bracale社長
   地域住民の90%が先住民のケクチ族である。1970年代に鉱業以外のある分野の開発がこの地域で行われた際に、開発が行われるという話を聞いて先住民が開発予定地に移住してきて、交渉の結果、立ち退きのための代替地を提供したことがある。その開発の際に先住民が移住してきて、結果として代替地を提供したことがある。それと同じことが行われるのではないかとの期待から、ケクチ族の一部が鉱区内の一部を占拠している。彼らが仕事、土地、金を求めて土地を占拠しているのに対し、仕事を与えたり、土地を買ったり、代替地を提供したりということはするが、極端な高値で土地を買ったり、お金を与えて解決するようなことはしない方針である。現在、ケクチ族、会社、政府と3者で交渉を行っているが、2010年に一部の合意が成立したところであり、2011年中に全ての合意を得たいと考えている。なお、周辺地域でアンケートを行うと鉱山開発に賛成という人が多数である。
(3) Mayaníquel社 Juan Garzaro社長
   地域のコミュニティとは良好な関係を築いている。従業員を対象に研修を行い、社長から全ての社員までがコミュニティと良好な関係を作れる力を持つようにしている。中央政府のプレゼンスが無い地域で、2010年も投資予算の5%以上を地域プロジェクトに使い、医療キャンペーンとして1,000人を診察したり、教育・インフラ等の支援をしている。
 マヤの文化や生き方を尊重することが大切であり、コミュニティと接触する社員はほとんどがこの土地の先住民の言葉であるケクチ語を話すことができる。新しいことを行うためには、マヤのセレモニーを行うことが必要である。また、彼らのセレモニーにも招待され、特に新年のセレモニーには20以上の集落から招待され、社員が手分けして参加した。
 こうした努力もあり、ボーリングを行う際にも問題が発生しなかったし、鉱区内を武器を持たないでも歩けるようになった。
おわりに
 グアテマラは、1996年の反政府ゲリラ活動終焉までは鉱業活動がほとんど行われていなかった。その後、鉱業ポテンシャルが高いことに加え、ロイヤルティを低く抑えた鉱業政策等により、多くのプロジェクトが始まり、鉱業生産高も増加傾向にある。
エネルギー鉱山省からは、同国の鉱業法に基づく鉱業政策の概要、主な鉱山プロジェクトの概要等について話を聞くことができた。
 Fenixニッケル・プロジェクトを実施する現地子会社は、98.2%の権益を持つCGN社(本社:トロント)はモルガン・スタンレーを窓口にして戦略的投資家を探しており、日本企業の資本参加を歓迎している。
 また、関係者から、先住民問題への対応についての話も聞くことができた。
 メキシコ事務所としては、今後ともプロジェクトの進捗とともに、議会に提出中の鉱業法改正の動き等をフォローしていきたい。

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。


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