カレント・トピックス
 
 
 
 
 

  平成25年 4月 4日 2013年18号
Investing in African Mining INDABA 2013
-第19回アフリカ鉱山投資会議-
(その2)


< ロンドン事務所 北野由佳 報告 >

 2013年2月4~7日、南ア・ケープタウンでMining INDABA 2013(第19回アフリカ鉱山投資会議)が開催された。今回はカレント・トピックス2013年13-16号に引き続き、資源メジャー企業や日本を含む非アフリカ政府による講演等を紹介する。

3. 資源メジャー企業による基調講演

3-1. Anglo American, CEO, Cynthia Carroll氏i
講演の要旨は以下のとおりである。

● 南アは国民の権利を保護する憲法、自由公正な選挙制度、独立した司法制度、報道の自由といった民主的な基盤が確立されている国であるが、貧困、失業率、社会的格差といった深刻な問題が残っている。南アがこれらの課題を解決していく上では、鉱業が極めて重要な役割を担っている。2011年、鉱業は同国のGDPに直接的に9.2%貢献しており、50万人以上の直接雇用、84万人の間接雇用を創出していることから、鉱業が同国経済の中核を担っていることは明らかである。

● 鉱業が全ての利害関係者に最大限の利益をもたらし、鉱業が発展していくためには、法と秩序、秩序のある労使関係、経済的な実行可能性、規制面での安定性、の4つが不可欠である。

● 南アの社会的発展のためには、個々ではなく、利害関係者がパートナーとして協力することが重要である。鉱山会社と南ア鉱業協会、鉱山会社の経営者側と雇用者・労働組合側、そして産業と政府がそれぞれパートナーとして協力し、理解と許容を示しながら、モノローグ(独白)ではなくダイアローグ(対話)を交わし、共通の目標を達成するために協力しなければならない。

● Anglo American 及びAnglo American Platinumは、全ての利害関係者の利益ため、白金事業が将来的に持続可能であることを確実にしなければならない。白金産業は需要減やコスト増といった課題を抱えており、結果として利鞘が大幅に縮小した。Anglo American Platinumにおいては、白金事業を将来も存続させるためには事業の再編を行う必要がある。事業再編計画の内容は公表しているとおりで、約1万4,000人の雇用に影響がでるが、新たにそれ以上の雇用を創出する計画である。これは南アのどの産業の会社と比べても、最も包括的で創意工夫に富んだ再編計画案である。今後60日間、南ア鉱物資源省及び労働組合と、今後どのように事業再編計画を進めていくべきかを話し合う。


3-2. Rio Tinto, Chief Executive, Diamonds & Minerals, Alan Davies氏ii
 Rio Tintoは50年以上前からアフリカでビジネスを行っており、ギニアのSimandou鉄鉱石プロジェクト、ナミビアのRössingウラン・プロジェクトに加え、モザンビークではRio Tinto Coal MozambiqueがBenga原料炭プロジェクト等を進めているほか、Rio Tintoは南アRichards Bay Minerals 社の筆頭株主(74%)でもある。鉱業プロジェクトのポートフォリオを見直した結果、2012年12月、南アのPalabora銅プロジェクトの権益売却を決定した。またモザンビークの石炭資産では多額(30億US$)の評価損計上があったが、この原因は困難なインフラ整備と資源量の下方修正であった。今後は、モザンビーク政府との協議を通して、インフラ面での課題を解決することを最優先事項としてプロジェクトを推進する予定である。

 アフリカは2023年には現在の中国の人口を越え、2040年には現在の米国のGDPと同等のレベルになることが予想されることから、アフリカにおける鉱業プロジェクトはRio Tintoの長期戦略の重要な柱である。Rio Tintoでは、労働者の安全衛生、人材育成、環境保護そして相互利益となるパートナーシップを中核とした事業モデルを展開し、今後もアフリカとは戦略的かつ長期的な結びつきを継続していく。


3-3. Ivanplats Limited, Executive Chairman and Founder, Robert M. Friedland氏
 Ivanplatsでは、南アでの白金族事業において、広範囲なBEE政策の実施や国内での白金族製品の製造による高付加価値化の実現が重要であると認識している。また、Ivanplatsの鉱山開発においては、環境への十分な配慮、死亡事故のない安全な操業、良好な労働条件、そして持続可能性が重要視される。

 Ivanplatsが南アブッシュフェルド地域に有するPlatreef白金族金属・ニッケル・銅プロジェクトは、Ivanplatsが権益の90%を有しており、残りの10%は伊藤忠商事、JOGMEC、日揮株式会社からなるコンソーシアムが有している。2013年2月に発表されたNI43-101に基づく概測鉱物資源量は2億2,300万t(4PE(白金、パラジウム、金、ロジウム)カットオフ品位2 g/t)で、平均品位は4PEが4.1 g/t、ニッケルが0.34%、銅0.16%であった。iii加えて、予測鉱物資源量は4億1,000万tで、平均品位は4PEが3.3 g/t、ニッケルが0.32%、銅0.18%という結果であった。同鉱山での操業は長ければ100年以上続く可能性もある。従来のような危険を伴う白金族鉱山の操業とは違い、現代的で機械化された鉱山操業により死亡事故のない安全操業を目指す。また同プロジェクトにおける日本の戦略的パートナーとは、プロジェクトへの資金提供に加えて、地域社会の開発においてもさらに協力していきたい。

 また、カナダのトロント証券取引所での上場に続き、ロンドンでの上場を考えていたが、Ivanplatsのアフリカでの活発な事業を考慮に入れると、ヨハネスブルグでの上場の方がより適切であるとの考えに変わってきている。南ア政府が外国投資を惹きつけるような政策を実施し、国民の生活の向上に継続して注力していくことを信じており、Ivanplatsは南アの明るい将来のために、問題ではなく解決策を提供できる企業としてアフリカのパートナーと協力していきたい。

4. 非アフリカ政府によるアフリカ鉱業への投資動向

 前年と同様、Mining INDABA 2013でも非アフリカ政府フォーラムが開催され、各国の代表者が各40分間の講演を行った。カンフェレンス2日目には豪州、中国、カナダ、3日目には日本、インド、アフガニスタン、パプアニューギニアの政府代表者が、自国の鉱業やアフリカにおける鉱業プロジェクトまたアフリカ経済に対する貢献等に関する説明をした。本稿では、豪州、中国、カナダ及び日本政府の講演概要を報告する。


4-1. 豪州政府、在南ア豪州高等弁務官、Graeme Wilson氏
 アフリカには世界の石油の12%、鉱物資源量の30%が賦存しているとされ、未開のポテンシャルも多く残っている。アフリカ諸国の半数以上は鉱業を重要な経済活動であると認識しており、アフリカ以外の世界市場向けの鉱物資源を生産している。アフリカでは大規模な資源ブームが起こっているが、実際に資源ブームを経験した豪州は、資源国政府が効果的な資金管理、マクロ経済学的な計画、適切な環境基準、労働法、社会的な責任に関する基準を持ち合わせていない場合、資源ブームが短期間で終わり、ほとんど利益を生み出さないことを理解しているため、他国とは異なる独自の方法でアフリカ諸国を支援できる。

 現在200社以上の豪州企業がアフリカ各地で700を超える鉱業プロジェクトに関与しており、現在の投資額と予定されている投資額を合計すると500億US$を超える。豪州企業がアフリカでの投資を検討する際に求める条件は、法的及び政治的な安定性、政府のアプローチの一貫性、良好なリスク報酬比率(risk-reward ratio)などである。また資源ナショナリズムは特に深刻なリスクであるため、豪州の投資家は資源ナショナリズムに関係するニュースを注視している。

 豪州政府としては、鉱業から資源国が得られる社会的及び経済的利益を最大化するために、アフリカ諸国の政府と共に活動している。2011年、豪州政府はアフリカの鉱業の効果的な管理を目標とした「アフリカにおける開発のための鉱業イニシアティブ(Mining for Development In Africa Initiative)」を発足した。同イニシアティブの一例として、2011年から現在まで32のアフリカ諸国から約400名のアフリカ政府高官を豪州での鉱業研究ツアーに招待したほか、2012年には鉱業関連の短期コース及び修士課程を受講する145名に奨学金を授与した。またアフリカ鉱物資源開発センター(AMDC)の設立に関する実践的支援や採掘産業透明性イニシアティブ(EITI)への参加に関するサポートも行っている。


4-2. 中国、国土資源部副部長、Wang Min氏
 中国経済は2012年に7.8%の成長を記録した。中国の鉱業は、同国の経済成長の原動力であるだけでなく、世界における鉱業の発展にも貢献している。中国政府は生態系に配慮した開発を積極的に推進しているほか、鉱業に関する行政手続きの向上を行っている。また中国企業による外国投資をサポートし、鉱業における国際的な協力関係の強化を図っている。

 アフリカ諸国に関しては平均5.5~6%で経済が急成長している。中国とアフリカは長い友好関係があり、政治的な繋がりは以前に増して強化され、新たな戦略的パートナーシップが構築されている。中国が投資した国外の鉱業プロジェクトのうち34%がアフリカにあり、投資額でみるとアフリカのプロジェクトがその22%を占める。中国とアフリカは相補的な関係にあり、世界鉱業において一致団結して協力することで同意している。今後、中国とアフリカは、鉱業分野での実践的な協力をより深めると共に、African Mining INDABAとCHINA MINING Congress (中国国際鉱業大会)の間での協力も強化していく必要がある。


4-3. カナダ、天然資源省長官、Christiane Villemure氏
 2011年に、カナダ企業はアフリカの約20か国で鉱業プロジェクトに関わっており、カナダ企業がアフリカに有する鉱山資産(Mining Asset)の総資産額は310億C$以上であると見積もられている。アフリカにおけるカナダ企業の活動は過去10年で大幅に増加し、今後もこの傾向がさらに継続していくと考えられる。

 カナダ政府とアフリカ諸国政府は、ガバナンスの強化、透明性の向上、キャパシティ・ビルディング等の面で協力している。カナダ政府とアフリカ諸国政府との間では数多くのイニシアティブが行われており、主な例としては、2005年から始まった「採掘、鉱物、金属及び持続可能な開発に関する政府間フォーラム(Intergovernmental Forum on Mining, Minerals, Metals and Sustainable Development)」、2012年に発足した「採掘産業と開発のためのカナダ国際研究所(Canadian International Institute for Extractive Industries and Development (CIIEID))」、そして2013年にはアフリカ鉱物資源開発センター(AMDC)の設立を最大の寄付金供与国として支援することが決まっている。

 今後も、カナダ政府はアフリカにおける持続可能な鉱業の発展のために、アフリカ諸国政府との協力関係を継続及び強化していく意向である。


4-4. 日本政府/政府関係機関の参加
 Mining INDABA 2013では、前述のとおり、経済産業省、在南アフリカ日本大使館のほか、多数の日本企業関係者に加えて、JETRO、JBIC、JICA等の団体からも参加があり、前年以上に日本のプレゼンスが高い会議となった。

 日本政府の代表として菅原経済産業副大臣が参加し、2月6日(水)午前の非アフリカ政府セッションにおいて、「日本とアフリカの鉱物資源分野における新しい協力関係構築を目指して」ivと題する講演を行った(写真4)。この中で、菅原副大臣は、日本とアフリカ諸国との鉱物資源分野における基本方針として、1)探査、開発、周辺インフラ整備という一連の投資、2)人材育成と技術移転を重視、3)「持続可能な開発」のための環境・保安面での協力、4)地域との「共生(病院や学校建設等)」を推進、の4点に関して説明した。

 同セッションでは菅原副大臣に続きJOGMEC上田理事が、日本からアフリカへの投資を促進するためのJOGMECの役割と活動に関する講演を行った(写真5)。世界17か国アフリカ6か国に及ぶJOGMECの探鉱活動や、日本企業の鉱業活動に対する日本政府全体での支援体制等が説明された。

写真4  菅原経済産業副大臣の講演
写真4 菅原経済産業副大臣の講演
写真5.JOGMEC上田理事の講演
写真5.JOGMEC上田理事の講演

 また、同日午後のアフリカ大臣セッションの冒頭部分では、在南アフリカ共和国日本大使館吉澤大使の講演として、総合商社といった日本特有のバリューチェーン全体を通したビジネスモデルや日本企業の鉱業プロジェクトに対する日本政府の一貫した支援体制が説明されるとともに、2013年5月に日本で開催される第5回アフリカ開発会議(TICAD V)や国際資源ビジネスサミット(J-SUMIT)の紹介が行われた(写真6)。

 吉澤大使に続き、JOGMECボツワナ地質リモートセンシングセンターの久保田所長が講演を行い、アフリカ諸国と日本の両者にとって相互利益となる「win-win関係」を構築・強化するためのリモートセンシングセンターの活動を説明した(写真7)。また同センターの活動の成果や今後の見通しについても述べた。

写真6 吉澤大使の講演
写真6 吉澤大使の講演
写真7 久保田所長の講演
写真7 久保田所長の講演

5. 「持続可能な開発」に関するセッション

 Mining INDABA 2013最終日の午前中には今回で3回目となるICMM主催の「持続可能な開発」セッションが開催され、政府、学界、民間企業、NGO団体等から多数の参加者が集まり、鉱業における持続可能な開発についての講演及びパネルディスカッションが行われた。本稿では、特に参加者の注目を集めた次期Anglo American CEOのMark Cutifani氏による基調講演の概要を以下に紹介する。

 また、同日午後には経済産業省、JOGMEC及び南ア鉱物資源省が共催し、「南ア及び日本における持続可能な開発と鉱山環境に関するセミナー」が開催された。JOGMEC長友理事、吉澤大使及び南アDMRの代表者が冒頭の挨拶をした後、経済産業省及びJOGMECから鉱山環境に関する日本の技術や経験等の説明があった。また、南アフリカ、ジンバブエ等の代表者からもプレゼンがあり、同セミナーを通じて知識の共有や意見交換が活発に行われた。


5-1. AngloGold Ashanti、Chief Executive Officer、Mark Cutifani氏
 鉱業は2010年の世界のGDPの11.5%を占めており、鉱業製品が農業や製造業など他の産業にもたらす生産性の向上といった間接的な要素も考慮に入れると、鉱業の世界GDPへの貢献は約45%にもなると言われている。鉱業は現代社会の不可欠な一部となっている。また鉱業が環境に与える影響は、一般的に信じられているよりもはるかに少ない。鉱業が世界の地表に占める割合は1%未満であり、世界の炭素ガス発生量では3%未満、世界の水消費量においても3%未満を占めるのみである。

 一方で、現在の鉱業は鉱山活動によって最も直接的な影響を受ける地域コミュニティへの配慮が十分ではなく、今後より焦点をあてていく必要がある。鉱業から得られる恩恵をより平等に配分する必要がある。鉱業は社会やコミュニティを支援し、「採掘産業」ではなく「開発産業」へと変わっていかなくてはならない。世界の将来的な成功のために鉱業が担っている役割は他のどの産業よりも重要である。また可能性が広がるような建設的な批判には積極的に耳を傾けて対話し、他の利害関係者を理解・支援していくことが大切である。

6. 所感

 Marikana鉱山での暴動や未だ残る鉱山国有化の懸念を背景として、前年をさらに上回る規模で2013年のAfrican Mining INDABAが開催された。Shabangu大臣は前年と同様に、鉱山の国有化が南ア政府の政策ではないことを明言し、この件に関する議論を繰り返さないよう聴衆に要請した。同大臣の講演からは、同国政府が鉱業、経済、社会の発展における外国投資の役割を重要視していることが感じられた。他のアフリカ諸国政府の代表者は、自国における法的枠組みの安定性や鉱物資源のポテンシャルをアピールし、鉱業分野への投資誘致を行い、他方、日本をはじめとする非アフリカ政府の代表者は、アフリカ諸国に対して提供できる知識及び技術面でのサポート等の支援内容を説明した。民間の鉱山会社は、アフリカでの鉱業プロジェクトの進捗情報のほか、資源国における社会貢献の内容を積極的に説明していた。

 アフリカが持つ資源のポテンシャルには誰もが注目しているが、インフラの未整備、人材不足、社会的格差そして資源ナショナリズムといった政治的リスク等の課題も認識されている。Cutifani氏が基調講演で述べていたとおり、世界経済における鉱業の貢献は多大であり、それ故、鉱業はより良い社会を築くための重要な役割を果たすことも可能であると言える。今回のMining INDABAでは多様な講演者が講演を行ったが、鉱業と資源国政府そしてその他の利害関係者が協力することでアフリカ諸国が抱える課題を解決に導いていくことが可能である、という前向きなメッセージが共通して語られていたと感じた。

参考資料(その2)


i http://www.angloamerican.com/~/media/Files/A/Anglo-American-Plc/pdf/CC%20Mining%20Indaba%20speech.pdf

ii http://www.riotinto.com/documents/130205_Alan_Davies_Indaba.pdf

iii http://www.ivanplats.com/s/Platreef.asp

iv http://www.meti.go.jp/press/2012/02/20130212002/20130212002-2.pdf



おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。



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