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  平成26年 8月 7日 2014年33号
モーリシャス:アフリカ投資のゲートウェイ
~Access Africa Mauritius 2014参加報告(1)~


< ロンドン事務所 森田健太郎 報告 >

 2014 年6 月24 日~25 日、モーリシャス・バラクラバにてMines and Money主催の「Access Africa Mauritius 2014」が開催された。アフリカ及びアジアの各国から、資源企業、金融業、コンサルタント等、約100 名が参加した。10 数社がブース展示を行い約30 名が講演を行った。日本からはJOGMECロンドン事務所が参加し講演を行った。

 初日は、世界の鉱業の現状とアジア需要、鉱業プロジェクトへの投資フローと資本調達先の拡大、アジアからの投資の流れ、南部及び東部アフリカの投資機会等について、講演及び質疑応答が行われた。二日目は、世界のコモディティーの需要パターン、経済的・マクロ的リスク審査、西アフリカの金・鉄及びウランへの投資機会、投資及び取引の中心としてのモーリシャス等について、講演及び質疑応答が行われた。本稿では、アフリカ投資におけるモーリシャスの役割に関する講演4 件について、概要を紹介する。

 なお、本会合でのアジェンダや講演者等については、以下Mines and Moneyの公式HPから入手可能である。

 http://www.minesandmoney.com/mauritius/

図1 会場の様子
図1 会場の様子
図1 会場の様子

(Cader Sayed-Hossenモーリシャス産業・通商・消費者保護大臣)

1. 基調講演

 モーリシャスは1968 年に独立し1992 年に共和制となった。人口は130 万人で一人当たりGDPは9千USドルに上る。英連邦の一員である。アフリカの9 大学から奨学生を受け入れている。

 世界の探鉱費用の5%がアフリカに投じられているが、モーリシャスは世界トップクラスの金融サービスを提供しており、アジア、欧州からアフリカへの垣根を越えた(cross-border)投資を呼び込んでいる。平均株価が世界で最も上昇しているモーリシャス証券取引所がある。信頼できる法制があり、英語と仏語の両方が通用することも、ビジネスの助けとなっている。貴金属、宝石のロジスティクスのプラットフォームでもある。次の10 年はシーフード関連産業と海洋経済が成長を牽引するだろう。

2. 講演「モーリシャスの投資環境」

(Intercontinental Trust、Françoise Chan氏)

【モーリシャスはアフリカ第1位】

 モーリシャスは、ビジネスのしやすさ、経済的自由度、投資環境、統治、生活の質、税制の効率性等においてアフリカ諸国中で第1 位である。

表1 モーリシャスの評価

指標 評価者 アフリカ 世界
ビジネスのしやすさ 世界銀行 1位 19位
ビジネスに最良の国 フォーブス 1位 29位
経済的自由度 ヘリテージ財団 1位 8位
空気の質 WHO 1位 2位
最も改善された投資環境 アフリカ・ビジネス・アワード 1位
アフリカで最も統治された国 ハーバード大学 1位
環境パフォーマンス イェール及びコロンビア大学 1位
世界的革新性 INSEAD 1位
生活の質 fDiインテリジェンス 1位
民主化の度合い EIU 1位
税制の効率性 ジョン・セロン法律事務所 1位 4位
世界的な競争性 世界経済フォーラム 1位 45位

(出典:講演者資料より)

【モーリシャスが選ばれる理由】

 モーリシャスは、為替管理をしていない。法人税は15%だが、管理職が2 人以上居住する等の条件を満たす持株会社や投資ファンドなどの「世界ビジネス企業(Global Business Companies : GBC)」については最大3%であり、ほとんどが無税となっている。譲渡所得課税もない。二重課税防止条約に入っており、19 か国と二重課税防止条約を結んでいる。さらにアフリカ20 か国、欧州10 か国(筆者注:英独仏等主要国を含む)、アジア8 か国(筆者注:中韓は含み日本は含まない)と投資保護協定を締結し、資源の探鉱・採取のための投資が保護されている。アフリカ共同体(AU)や南部アフリカ開発共同体(SADC)、東南部アフリカ市場共同体(COMESA)に属している。最高裁判所による法治が徹底しており、政治的に安定して統治されている。言語面でも英語・仏語が通じ、英語圏アフリカと仏語圏アフリカの両方をカバーできる。ビジネス環境についても、インフラがあり、経済が強く多様化しており、能力と資格を有する人材が豊富で、先進的な銀行システムと良く認知された証券取引所が存在し、透明性についてはOECDのホワイトリストに掲載されている。

3. 講演「モーリシャスの金融業」

(AfrAsia Bank、Kamben Padayachy氏)

【モーリシャス経済は多角化を達成】

 モーリシャス経済は多角化しており、そのGDPの内訳は、製造業が17%、流通業が12%、金融業が10%、飲食業、不動産、交通、建設業がそれぞれ10%を占めている。このうち金融業においては、2万5千社以上の「世界ビジネス企業(GBC)」、9百社以上のファンドが活動しており、国家収入の2 割に貢献している。また21 の銀行が246億£の資産を保有している。21億£の保険資産が年間315万£の利益を生んでいる。モーリシャス株式市場での資金調達額は49億£に上る。


【AfrAsia Bankの人民元取引は増大】

 当社はモーリシャスに本部があり、ケープタウン、ヨハネスバーグ、ロンドンに支店がある。主要事業は、国際銀行取引、国内法人向け融資、個人向け融資である。人民元による取引が増大しており、2015 年には中国・アフリカ間の取引高の4割に相当する1,000億US$に達するだろう。


【AfrAsia Bankは鉱山会社に特別オファー】

 当社は鉱山会社に対して特別なオファーを用意している。48 時間以内の口座開設、アフリカの主要通貨を含む複数通貨での口座保持、125 以上の通貨による同日中の資金移送、鉱山労働者への給与支払い、資産管理、無料のインターネット・バンキング、最も競争力のある口座使用料、そして管理職及び役員の方々にはMasterCardのクレジットカードの提供である。国内に拠点がある世界ビジネス企業向け、国際的なビジネス企業向け、特別目的会社向けなど、業態に応じて異なる形態の口座を柔軟に開設することができる。

4. 講演「モーリシャスでの資金調達」

(モーリシャス証券取引所、Shamin Sookia氏)

【モーリシャス証券取引所の概要】

 モーリシャス証券取引所は、アフリカで初めて開設された取引所である。アフリカで最も開かれた取引所の一つでもあり、一日の取引量の4 割が海外投資家により行われている。モーリシャスルピー、USドル、英ポンド、ユーロ、南ア・ランドという複数の通貨で上場・取引・決済ができる世界でも数少ない取引所である。規制と支援の枠組みの中で近代的で透明性の高い上場ルールを導入しており、それがモーリシャスを世界トップ10 にランクインさせている。モーリシャス取引所が発信するデータは、ブルームバーグ、フィナンシャル・タイムズ、ロイター等を通じてライブで配信されている。世界取引所連盟(WEF)、南部アフリカ共同体証券取引所委員会(COSSE)、アフリカ債券取引所委員会(ASEA)等の一員であり、英国歳入税関庁(UK HMRC)に認知されている。


【平均株価は急速に上昇中】

 株式発行額は80億US$であり、上場されている有価証券は134 種類である。2002 年以降の平均株価の年平均成長率は15.7%であり、S&P/CNXの14.7%、FTSE/JSEの13.4%を上回る速度で上昇している。ちなみにNYSE(Dow Jones)の年平均成長率は4.2%である。


【鉱山関係の投資を支援】

 鉱山企業及び探鉱ジュニアの国際的な要請に応えられるよう、2012 年に上場ルール第20 章及びスケジュール10 を導入して、鉱山企業及び探鉱ジュニアが柔軟に上場できるようにし、かつ投資家に対して適時・適切に情報提供できるようにしている。また預託証券(Depositary Receipts)を用意している。多くの機関投資家は、世界取引所連邦で認知された取引所において主要通貨で上場されている証券でなければ投資できない。しかしモーリシャス証券取引所は世界取引所連邦の一員であり主要通貨で取引を行っているので、鉱山会社が海外で発行した株式の預託を受けた証券(預託証券)をモーリシャス証券取引所に上場すれば、機関投資家からの資金調達が可能となる。欧米の取引所でも預託証券は上場できるが、モーリシャス証券取引所はコストが安く制約も少ない。



おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。



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