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  平成27年5月14日 No.15-23
鉛・亜鉛需給予測、供給不足が継続もタイト感は緩和
―2015年春季国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)報告―


< ロンドン事務所 竹下聡美 報告 >

 2015 年4月22日、ポルトガル・リスボンにおいて国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)の春季定期会合が開催され、ILZSG加盟国や産業団体、企業、専門家等の約50 名が参加した。ILZSGは、2015年の鉛及び亜鉛に係る世界の鉱石生産、地金生産及び地金消費予測値について、加盟国から提出された数値をベースに検証を行い、その結果の発表を行った。本稿ではILZSGによる2015年の鉛及び亜鉛の需給見通しについて報告する。


1. 鉛について
(1) 鉛の需給バランス―不足幅1.7万 tと前年から横ばい推移―

 鉛地金生産量と鉛地金消費量との差分である需給バランスを表1に示す。2013年以降供給不足に転じており、2014年は不足幅が縮小するも、下表のとおり、2015年の鉱石生産、地金生産及び消費の見通しは前年比1.1 %増と僅かな増加に留まるとみて、需給バランスは引き続き不足幅1.7万 tと前年から横ばいで推移すると予測された。

表1:世界の鉛需給バランス(2012~2015年)

表1:世界の鉛需給バランス(2012~2015年)

(出典:ILZSG会議資料より作成)

(2) 鉛の需給動向

 2013年から2015年にかけての地域別の数値を表2に掲げ、図1では当該数値をグラフ化して需給バランスを赤字で示した。鉛については鉛地金の製錬原料の過半をリサイクル原料が占めており、鉱石生産量は地金生産量の5割に満たないことがグラフからも分かる。また、2015年の鉛鉱石生産量、鉛地金生産量及び消費量の見通しについて、詳細を以下に述べる。

表2:世界の鉛鉱石生産・鉛地金生産及び消費(2013~2015年)

表2:世界の鉛鉱石生産・鉛地金生産及び消費(2013~2015年)

(出典:ILZSG会議資料より作成)

図1:世界のニッケル鉱石生産・一次ニッケル生産及び消費(2012~2015年)

(出典:ILZSG会議資料より作成)

図1:世界の鉛鉱石生産、鉛地金生産及び消費(2013~2015年)

① 鉛鉱石生産量―前年比1.1 %増と横ばい推移―

 世界の鉛鉱石生産量について、2014年は主に中国生産の減少を理由として前年比8 %減少したが、2015年は中国、インド、メキシコ及びスウェーデンで増産が期待され、豪州及びアイルランドの減産を部分的に相殺するとして、前年比1.1 %増の505.3万 tと予測した。豪州の減産は、Ivernia社が操業する年産9万 tのParoo Station鉱山の生産停止の影響を受けたもので、同鉱山は市場が回復したら操業を再開するとしている。国別の2015年の生産見通しは、中国243万 t、豪州69.5万 t、米国38万 t、ペルー28万 t、メキシコ26万 t、ロシア18.8万 tと予測した。

② 鉛地金生産量―中国生産が伸びず、前年比1.1 %増―

 世界の鉛地金生産量については、2014年は前年比1.9 %減産したが、2015年は前年比1.1 %増の1,103万 tと予測した。ベルギー、ドイツ、イタリア及び英国で増産し、また中国、インド及び米国においても小規模ながら増産が期待されるが、日本、韓国及びペルーの減産で一部相殺される見通し。ペルーLa Oroya製錬所は再び所有権を巡って操業が停止されるとして生産量は計上されていない。

 2015年の生産見通しは、上位から中国480万 t、米国115万 t、韓国63万 t、インド49.5万 t、ドイツ38.7万 t、メキシコ31.5万 t、英国29.4万 tとなる。ちなみに日本は23.1万 tとカナダに次いで8位であった。

③ 鉛地金消費量―前年比1.1 %増と需要鈍化が継続―

 世界の鉛地金消費量については、2014年は前年比1.1 %減であったが、2015年は前年比1.1 %増の1,105万 tと僅かながら増加する。中国では自動車販売の増加や携帯電話基地局の急速な拡張が見られるものの、2015年の伸びは前年比1 %増と緩やかな伸びとなる見通しである。背景には、鉛需要の3割以上を占める電動自転車E-bikeは中国国内に2億台以上あり、既に市場が飽和状態にあることから、販売と生産が明らかに減退していることが影響している。加えて、E-bikeのバッテリーにリチウムバッテリーが使用され始めているという情報もある。その他、僅かながら需要増加が期待される地域は、欧州で前年比0.8 %増、米国で1.2 %増とした。2015年の消費見通しについて、上位から中国479.5万 t、米国169万 t、韓国56.1万 t、インド53.8万 t、ドイツ33.5万 t、イタリア及びブラジルが26万 tで、日本は9位の25.2万 tと予測した。

④価格と在庫

 鉛在庫について、LME在庫は過去数年の間19万 tから23万 t間を変動していたが、2014年10月以降、20万 tを下回る水準で推移している。生産者及び消費者側の報告値による在庫を含めた全在庫でみれば、図2のとおり、ここ6ヶ月間の状況は変わらず、55万 t前後を推移している。LME現物価格は、安定的に推移しており、2014年下期の下落以降回復基調にあり、2,000 US$/tを上回って6ヶ月前と同等になると予想される。なお、直近価格では2015年5月はじめに2,100 US$/tを上回った。

図2:鉛在庫と価格推移(2009~2015年)

(出典:ILZSG会議資料より作成)

図2:鉛在庫と価格推移(2009~2015年)

2. 亜鉛について
(1) 亜鉛の需給バランス―不足幅15.1万 tと前年から半減―

 表3のとおり、亜鉛の需給バランスについて、2014年に引き続き供給不足となるものの、2014年の不足幅32.9万 tから2015年は15.1万 tと半減する見通しで、需給の不足感が緩和されることとなった。

表3:世界の亜鉛需給バランス(2012~2015年)

表3:世界の亜鉛需給バランス(2012~2015年)

(出典:ILZSG会議資料より作成)

(2) 亜鉛の需給動向

 2013年から2015年にかけての地域別の数値を表4に掲げ、図3では当該数値をグラフ化して需給バランスを赤字で示した。また、2015年の亜鉛鉱石生産量、亜鉛地金生産量及び消費量の見通しについて、詳細を以下に述べる。

表4:世界の亜鉛鉱石生産・亜鉛地金生産及び消費(2013~2015年)

表4:世界の亜鉛鉱石生産・亜鉛地金生産及び消費(2013~2015年)

(出典:ILZSG会議資料より作成)

図3:世界の亜鉛鉱石生産、亜鉛地金生産及び消費(2013~2015年)

(出典:ILZSG会議資料より作成)

図3:世界の亜鉛鉱石生産、亜鉛地金生産及び消費(2013~2015年)

① 亜鉛鉱石生産量―大型鉱山閉山も前年比3.5 %増と堅調―

 世界の亜鉛鉱石生産量について、2015年は前年比3.5 %増の1,384万 t、中国外の生産は2.6 %増と大型鉱山閉山に関わらず堅調に増加する見通し。閉山が予定される年産17.5万 tのアイルランドLisheen鉱山の減産分は、ロシア、スペイン及びスウェーデンの増産で相殺され、また同じく閉山予定の豪州のCentury鉱山分については、McArthur River鉱山及びMount Isa鉱山の増産によりカバーされるとしている。またインドでVedanta社が操業するRampra Agucha鉱山の新規坑内採掘と同社が最近開発したKayar鉱山により前年から11 %以上増産する見通し。国別の2015年の生産見通しは、上位国から中国520万 t、ペルー140万 t、米国85万 t、インド79.5万 tとした。

② 亜鉛地金生産量―中国増産に牽引されて前年比5.2 %―

 2015年の世界の亜鉛地金生産量については、中国での前年比8.9 %増に牽引されて前年比5.2 %増の1,399万 tと予測した。米国ではHorsehead社の新規Mooresboro二次製錬所が技術的問題により2014年Q4から2015年Q1にかけて減産したものの、2015年Q3末にはフル生産まで回復するとしている。インドではHindustan Zinc社のChanderiya製錬所が国内鉱山の増産を背景に生産量が増加する見通しで、この他、ブラジル、メキシコ、韓国及びタイにおいても増加が期待されている。中国の亜鉛地金輸入量は2010年から増加傾向にあったが、2014年には前年比29 %減となる、18万 t減少となった。この要因には、青島港での不正事件の後、中国国内に保管されていた地金在庫が国外倉庫へ移転された可能性が考えられ、2015年下期には輸入量は例年レベルに回復すると見ている。国別の2015年の生産見通しは、中国611万 t、韓国93.3万 t、インド79.7万 t、カナダ65万 t、日本58.1万 tとした。

③ 亜鉛地金消費量―前年に比して鈍化も3.7 %成長を維持―

 世界の亜鉛地金消費量については、2014年は前年比5 %増であったが、2015年は前年比3.7 %増の1,414万 tと予測した。中国需要について、溶融亜鉛めっき鋼板の生産が2015年1月及び2月分について前年比で5 %しか伸びていないこと、溶融亜鉛めっき鋼板価格が下落していること、不動産業界の動向が不透明であることなどから、2015年は前年比4.3 %と、2014年時の8.7 %成長から鈍化すると予想した。欧州需要は過去3年間横ばいで推移してきたが、2015年には2.4 %成長すると期待され、米国においても自動車生産増等の肯定的な経済指標から6 %成長するとみている。この他、カナダ、インド、インドネシア、メキシコ及びトルコでは前年比増、日本及び韓国については横ばいで推移する見通し。国別では、上位から中国655万 t、米国102万 t、インド69.2万 t、韓国60.3万 t、日本50万 tと予測した。

④ 価格と在庫

 亜鉛のLME在庫については、堅調に減少傾向にあり、2015年に入ってから25 %減少して50万 tを切った。なおその9割はニューオリンズLME倉庫にある。上海商品取引所在庫は2015年1月以降、一時7万 t増加したものの、その後は図4のとおり減少している。LME現物価格については、2014年7月にかけて緩やかに上昇していたが、7月に2,400 US$/tに達して以降、在庫が減少している中でも下落基調となった。なお、その後上昇に転じ、直近価格では2015年5月はじめに2,300 US$/tを上回った。

図4:亜鉛在庫と価格推移(2009~2015年)

(出典:ILZSG会議資料より作成)

図4:亜鉛在庫と価格推移(2009~2015年)

まとめ

 ILZSGは、鉛需給バランスについては横ばい推移、亜鉛については中国の経済減速から大幅な供給不足が緩和され、不足幅は半減すると予測した。亜鉛は大型鉱山の閉山が予定されるも、既存鉱山の拡張でカバーされ特に減産の影響はないとし、亜鉛地金の世界需要も底堅く推移すると見られる。鉛は、中国のE-bikeをはじめとした鉛バッテリーの需要動向と中国国内の二次製錬所を巡る環境規制が今後市場に影響を及ぼしてくると見られており、この最新動向については、別途カレント・トピックスで報告することとしたい。


(注記)国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)

国際非鉄研究会(銅、鉛亜鉛、ニッケル)の中では最も古い歴史を持ち、1959 年に国連の招請・勧告によって発足した国際機関で、国際銅研究会及び国際ニッケル研究会のロールモデルとなっている。現在、鉛・亜鉛生産国、消費国及び貿易国からなる29カ国及びEUが加盟しており、生産及び消費に占める加盟国の割合は85 %にも及ぶ。同研究会は、鉛・亜鉛市場の需給予測分析を始め、国際的な貿易取引に係る課題について研究するとともに、それらの課題に関して政府・産業界の利害関係者が定期的に話し合う機会を設ける機能を担っている。通常、定期会合は春季、秋季の年2回開催されている。



おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。



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