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  平成28年3月24日 No.16-8
銅需給予測、2016年及び2017年はほぼバランスの見込み
―2016年春季国際銅研究会(ICSG)参加報告(1)―


< ロンドン事務所 粕谷直樹 報告 >

 2016年3月9日〜10日にかけて、ポルトガル・リスボンにて国際銅研究会(ICSG)の春季定期会合が開催された。参加者は、ICSG加盟国や産業団体、企業、専門家等の約70名。各参加者からのプレゼンテーションや国別の銅産業の状況等が報告されたところ、本稿では、このうち2016年及び2017年の銅需給予測を行う統計委員会の詳細について報告する。

1. 銅需給バランス―2016年及び2017年はほぼバランス―

 ICSGが発表した世界の銅需給バランスは表1のとおりであり、2016年及び2017年はほぼ需給はバランスするとの予測を示した。昨年10月の秋季会合では、これらの予測値は2016年が127千トンの供給不足、2017年が175千トンの供給過剰となっていたが、昨年秋以降の世界経済の見通しの下方修正、プロジェクトの遅延、主要生産国での減産等の調整を踏まえ、予測値が改定された。

表1 世界の銅需給バランス

(単位:千t)

区分 2015年
実績見込
2016年
予測
前年比 2017年
予測
前年比
 銅鉱石生産 19,138 19,432 1.5% 19,869 2.3%
 銅地金生産(供給) 22,821 22,943 0.5% 23,436 2.1%
 銅地金消費(需要) 22,878 23,000 0.5% 23,416 1.8%
 需給バランス ▲57 ▲56 20

2. 銅需給動向

 2015年から2017年の世界の銅鉱石の生産、銅地金の生産及び消費について、地域別の数値を表2及び図1にまとめた。

表2 世界の銅鉱石生産、銅地金生産及び消費(2015〜2017年)

(単位:千t)

表2 世界の銅鉱石生産、銅地金生産及び消費(2015〜2017年) 図1 銅鉱石、地金生産及び消費量

(出典:ICSG会議資料より作成)

図1 銅鉱石、地金生産及び消費量

(1) 銅鉱石生産の動向

 銅鉱石生産については、インドネシアやペルーでは300千トン以上の増産が2016年に見込まれるものの、昨年秋以降、更なる銅価格の低下や銅生産企業の株価低下等を受け、ザンビア、DRコンゴ、チリ、中国、米国、カナダ等において昨年10月のICSG秋季定期会合時の予測に比べて予測値が下方修正され、2016年は19,432千トン(秋季会合では19,542千トン)、2017年は19,869千トン(同20,318千トン)となった。

 なお、各年における精鉱生産、SxEw生産の区分で見ると、2016年は精鉱生産が4.0%に対してSxEw生産が8.0%減(特にDRコンゴ、チリの影響が大きい)、2017年は精鉱生産が1.7%に対してSxEw生産が4.7%の見込みとなっている。

(2) 銅地金生産及び消費の動向

 銅地金生産についても、上記(1)と同様の理由により、昨年のICSG秋季会合時よりもザンビア、チリ、中国等においてICSG秋季会合よりも予測値が下方修正された結果、2016年は22,943千トン(秋季会合では23,183千トン)、2017年は23,436千トン(同24,115千トン)となった。このうち、2016年についてはSxEwを除く一次地金生産は3%伸びたが、スクラップからの二次地金生産が1%減、SxEw生産が8%減となった。

 銅地金消費に関して、2016年は、世界総需要の約45%を占める中国の需要見通しに関して、中国の「実需要」の伸びは3〜4%であると予測する意見もあったが、「見かけ需要」の伸びが対前年比0.5%増であるとして、全体では前年比0.5%増の2,300万トンとなった。2017年は、中国の産業向け需要成長率が対前年比約3%、中国以外で約1%の伸びとし、全体では対前年比1.8%増の2,341.6万トンとなった。

おわりに

 統計委員会においては、毎回、世界銅需要の約半分を占める中国の需要見通しに関して、見かけ需要と実態の乖離を縮小すべく活発な議論が行われてきたが、今回はICSG事務局を中心に事前の文言調整が行われたと見られ、本件に関する議論は少なかった。しかし、中国から提出される数値の算出方法が抜本的に改善された訳ではなく、引き続き秋の定期会合に向けて中国側と協議が続けられていくこととなった。

 また、ICSG事務局において中国銅産業の実態及び今後の展望に関して調査報告を行う予定であり、これらが相まってより正確な需給見通しが発表されることが期待される。


*国際銅研究会(ICSG)

 国際銅研究会は、国際非鉄3研究会の中では最も新しい研究会で、国連の招請・勧告によって1992年に発足した国際機関である。世界の銅経済に関する情報の提供、政府間協議の場の提供及び銅に関する諸問題について国際協議・協力を推進することが目的で、世界の主要銅鉱石生産国、地金生産国及び消費国の23カ国及びEUが加盟している。事務局は、ポルトガル・リスボンに設置されており、2006年から国際非鉄3研究会の共同事務所となっている。

 同研究会は、主に銅市場の需給予測に関する統計分析を始め、国際的な貿易取引に係る環境・経済面の課題について研究しており、統計等の刊行資料は、世界的に一定の評価を得ている。通常、定期会合は春季、秋季の年2回開催されている。

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。



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