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  平成28年5月12日 No.16-15
ニッケル需給予測、4.9万tに供給不足が拡大
―2016年春季国際ニッケル研究会(INSG)報告(1)―


<ロンドン事務所 竹下聡美 報告>

はじめに

2016年4月25日から26日にかけて、ポルトガル・リスボンにおいて国際ニッケル研究会 (INSG)の春季定期会合が開催され、INSG加盟国や産業団体、企業、専門家等の約60 名が参加した。統計委員会では、世界のニッケル鉱石生産、一次ニッケル生産及び一次ニッケル消費に係る2015年の実績見込及び2016 年の予測値について、加盟国から提出された数値をベースに参加者により検証が行われた。本稿ではその詳細について報告する。

1. 需給バランス

INSGは、一次ニッケル生産量と一次ニッケル消費量との差分である需給バランスについて、表1のとおり、2015年は9.3万tの供給過剰、2016年は4.9万tの供給不足に転じると予測した。

2015年10月の秋季会合では、2015年は4.9万tの供給過剰、2016年に2.3万tの供給不足に転じると予測していたが、2015年の一次ニッケル消費が予想通りには伸びず、結果として2015年は9.3万tの供給過剰となった。2016年は一次ニッケル消費の伸びを前年比3.8%と予測し、中国の大幅な減産により供給不足に転じるとして、その不足幅は前回予測から倍以上の4.9万tとなる見通しである。

表1.世界のニッケル需給バランス(2013〜2016年)

表1.世界のニッケル需給バランス(2013〜2016年)

(出典:INSG会議資料より作成)

2. ニッケル需給動向

2013年から2016年にかけての地域別の数値を表2に、当該数値を図1にグラフ化して需給バランスを赤字で示す。2016年の世界のニッケル鉱石生産量、一次ニッケル生産量及び消費量の見通しについて報告する。

表2.世界のニッケル鉱石生産・一次ニッケル生産及び消費(2013〜2016年)

表2.世界のニッケル鉱石生産・一次ニッケル生産及び消費(2013〜2016年)

(出典:INSG会議資料より作成)

表2.世界のニッケル鉱石生産・一次ニッケル生産及び消費(2013〜2016年)

(出典:INSG会議資料より作成)

図1.世界のニッケル鉱石生産・一次ニッケル生産及び消費(2013〜2016年)

(1)ニッケル鉱石生産量―減産が進み、2016年は4.1%減へ―

世界のニッケル鉱石生産量について、2015年は前年比0.1%増とほぼ横ばいの218.3万t、2016年は4.1%減の209.3万tと推定した。世界最大の鉱石生産国であったインドネシアが2014年1月に鉱石禁輸に踏み切って以降、世界全体の鉱石生産量はニッケル価格低迷も影響して未だ2013年の水準から20%近く減産した状態が続いている。INSGによる国別予測では、2016年は伸び悩む価格状況から減産に踏み切る国が多く、フィリピン、ロシア、ブラジル及び中国で減産する見通しで、一方、インドネシア、ニューカレドニア及びフィンランドでは増産が予想されている。国別の2016年生産量についてINSGは上位からフィリピン43万t、カナダ23.4万t、豪州22.6万t、ロシア21.8万t、ニューカレドニア20万t、インドネシア17.5万tと予測した。

(2)一次ニッケル生産量―中国減産が影響し、2年連続減産へ―

世界の一次ニッケル生産量については、2015年は前年比0.3%減の198.3万t、2016年は前年比3.5%減の191.3万tと2年連続して減産する見通しである。世界生産の約3割を占める中国は、継続するニッケル価格の低迷とインドネシアの鉱石禁輸によるフィリピンからの鉱石調達不足によりさらに減産が進み、2016年には52.7万tと前年比12.2%の減少、2013年生産量69.4万tに比すれば、3年間で24%減産することになる。また大手生産国のロシア及び豪州も2015年から20%以上減産するとしている。2016年の国別生産見通しは、上位から中国52.7万t、日本19万t、ロシア18.5万t、カナダ15.8万t、豪州10.3万t、ニューカレドニア9.8万t、ノルウェイ9.2万tと予測した。

(3)一次ニッケル消費量―3.8%増と堅調に推移―

世界の一次ニッケル消費量については、2015年は前年比0.8%増の189万t、2016年は前年比3.8%増の196.2万tと予測した。その理由として、オーステナイト系ステンレス鋼の増産が主要なマーケットで予想されること、ステンレス鋼以外では航空機産業向け及びバッテリー部門で堅調に伸びることを挙げている。世界需要の5割以上を占める中国については、2014年から需要成長率が鈍化しているものの、2016年は4.1%増の102万tと予想されている。2016年の消費量について国別では上位から、中国102万t、米国14.8万t、日本14万t、韓国8.4万t、ドイツ5.6万t、イタリアで5.5万tとなる見通しである。

まとめ

世界のニッケル需給は2015年も供給過剰の状態が継続し、インドネシアの鉱石禁輸による供給サイドへの影響は、フィリピン、ニューカレドニア等の増産と世界に積み上がっているとされる相当量の在庫によって非常に限定された。他方、ニッケル価格の長引く低迷が生産者を圧迫しており、2016年には確実に減産が予定されているとして、2016年には4.9万tの供給不足に転じる見通しである。ただし世界需要は2015年に0.8%成長であったことから、2016年に3.8%成長を遂げるかどうかは中国の動向次第であり、中国経済が前年に比してどのように推移するかを注視する必要がある。

(注記)国際ニッケル研究会(INSG)

国際非鉄研究会(銅、鉛亜鉛、ニッケル)の中では国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)に次いで2番目に古い歴史を持ち、世界のニッケル市場の透明性の強化を目的に1991年に国連の招請・勧告によって発足した国際機関である。現在、ニッケル生産国、消費国及び貿易国からなる14カ国及びEUが加盟している。事務局は、設立当初はオランダ・ハーグに、2006 年からポルトガル・リスボンに置かれている。同研究会は、ニッケル市場の需給予測分析を始め、国際的なニッケルの貿易取引に係る課題について研究するとともに、それらの課題に関して政府・産業界の利害関係者が定期的に話し合う機会を設ける機能を担っている。通常、定期会合は春季、秋季の年2回開催

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。



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