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報告書&レポート

2004年3月8日 北京海外調査員 納 篤
2004年07号

銅原料(銅鉱石、粗銅、スクラップ)に対する輸入増値税還付という国内優遇制度とは(補則編)

 中国の銅市場は急拡大を続けている。1990年代から急速にかつ安定した経済成長に伴い、銅の消費は瞬く間に急増し、2003年には米国を抜き去り世界1位になった。国内の銅精鉱確保に政府が音頭をとっても大きく増加する兆しがないばかりか、環境規制や鉱量枯渇により自給率は低下する一方である。このような状況下、2003年5月9日付、財政部・国家税務局は「銅原料の輸入増値税の還付に関する通達」(財政「2003」81号)を公布した。この通達とは如何なるものか紹介する。

  1. 制度の枠組み

  2.  銅製錬重点企業の原料確保を目的に、逼迫する銅原料事情を緩和させ、その産業発展をサポートするために、これらの企業に対し、2003年1月1日~2003年12月31日の間、定められた輸入量の範囲内で、徴収済みの銅原料輸入増値税額の30%を還付するという制度。還付した税額は企業の技術向上に利用すべきものとされている。ただし、本来の目的に使用されているか否かのチェック体制は必ずしも十分とはいえない。 銅製錬重点企業の原料確保を目的に、逼迫する銅原料事情を緩和させ、その産業発展をサポートするために、これらの企業に対し、2003年1月1日~2003年12月31日の間、定められた輸入量の範囲内で、徴収済みの銅原料輸入増値税額の30%を還付するという制度。還付した税額は企業の技術向上に利用すべきものとされている。ただし、本来の目的に使用されているか否かのチェック体制は必ずしも十分とはいえない。

  3. 還付適用の企業リスト及び輸入量の割当

  4.  還付適用の企業は主要銅製錬企業8社を含む14社にのみである。次表に定められた各企業の年度輸入割当量は当該年に限って有効であり、次年度への繰越しはできない。
     対象となる原料の総量は、銅精鉱が120万t、粗銅10万t、銅スクラップ21万tとなっている。

    表1 2003年企業別銅原料の輸入量の割当 (単位:万t)
    還付が適用される企業 輸入業者 銅精鉱 粗銅 故銅
    銅陵有色金属(集団)公司 銅陵有色金属(集団)公司 34 1 1.5
    江西銅業集団公司 江西銅業輸出入公司 16 2 4.5
    雲南銅業(集団)有限公司 雲南銅業(集団)有限公司 22 1.4 1.5
    大冶有色金属公司 大冶有色金属公司 14 0.1
    山西中条山有色金属集団有限公司 山西中条山有色金属集団有限公司 6 0.2
    白銀有色金属公司 白銀市紅鷺貿易有限責任公司 5 0.3 0.1
    金川集団有限公司 金川有色金属輸入輸出公司 10 0.3 1.5
    葫芦島亞鉛工場 葫芦島東方銅業有限公司 10 0.1
    洛陽銅加工集団有限責任公司 洛陽銅加工集団有限責任公司 2 0.5
    天津大通銅業有限公司 天津大通銅業有限公司 1 5.5
    上海●冶銅業有限公司 上海●冶銅業有限公司 2 1.5
    蕪湖恒●銅業集団有限公司 蕪湖恒●銅業集団有限公司 1
    烟台鵬暉銅業有限公司 烟台鵬暉銅業有限公司 3 1
    上海大昌銅業有限公司 上海大昌銅業有限公司 1
    合計   120 10 21
    ●=金が3つ

  5. 輸入の管理

  6.  輸入増値税の還付の対象となる銅原料は、「五鉱有色金属株式有限公司」を代理として輸入したものでなければならない。五鉱有色金属株式有限公司は上表の割当量をベースとして各企業からの輸入発注を行う。五鉱有色金属株式有限公司の輸入発注を通さなかった場合、輸入増値税の還付の対象とならない。だたし、過去に結んだ長期輸入契約は、五鉱有色金属株式有限公司の確認を経た場合、還付対象とみなされる。
     なお、五鉱有色金属株式公司は、同公司の筆頭株主が国有の中国五金鉱産輸入出総公司であることから、中国政府の意向を反映した事業運営を行っているものと考えられる。

  7. 還付の手続き

  8.  銅原料を輸入する企業が輸入増値税を納入してから、「輸入税還付申請表」を納税地税関の確認を経て財政部に提出し、税関総署に写しを提出する。財政部が審査してから、該当する税関に審査意見書を出し、国家税務総局と税関総署、中央総金庫、及び現地の中央金庫に写しを送る。該当する税関が財政部の審査意見書に基づいて、「収入還付書」を交付し、現地の中央金庫から還付する。

  9. まとめ

  10.  この制度は、元国営の銅製錬所を保護するための政策である。元々これら製錬所は銅鉱山の近辺にあり、その銅鉱山の銅鉱石を製錬していたため、その殆どは内陸部に位置する。中国の銅鉱山の多くは1950代~1960年代に開発されたものが多く、新規の鉱山は少ない。このうえ大規模な銅鉱山が無く、鉱量枯渇が問題となっている。さらに、WTO加入により環境規制が厳しくなり、中小銅鉱山の淘汰が進んでいる。このため国内での銅鉱石確保が難しくなり海外に原料を求めているが、日本のような長期契約ベースの調達は極わずかで、スポット市場での確保が主である。しかし、一昨年来の世界の主要銅鉱山の減産計画により銅鉱石市場は逼迫して、極端にTC/RCを下げてでも鉱石を確保する状況にあり、市場に大きな影響を与えた。この輸入増値税還付制度はまさに元国営製錬企業への優遇政策と言えるが、銅原料輸入増値税額の30%を還付するという本通達によって、中国製錬企業の国際競争力がどの程度維持でき、日本企業にどの程度の影響を与えることになるのかの検討が必要である。
     なお、本通達2003年から1年間とされているが、同様の通達が2000年にも一年という期限で同様の通達が実施されたが、実際は2002年まで継続された経緯もあり、本通達も3年程度実施されるとの観測もある。

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