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報告書&レポート

2004年4月1日 ロンドン事務所 霜鳥 洋
2004年09号

在欧大手鉱山会社の2003年の業績と探鉱動向

 英国の経済紙Financial Timesはロンドン株式市場に上場されている主要100社の平均株価をFTSE100として示しているが、それには大手鉱山会社が4社含まれる。そのうち会計年度末が12月の3社(Anglo American社、Rio Tinto社、Xstrata社)が2003年の業績を、会計年度末が6月のBHP-Billiton社が2003年7~12月期業績をこの程発表した。各社発表による在欧大手鉱山会社の2003年の業績と探鉱動向を報告する。

【2003年の業績】

 FTSE100鉱山会社4社の業績は下表のとおりである。

FTSE100鉱山会社4社の業績 (単位:金額は百万USドル、前年比は%)
項目 Anglo American BHP-Billiton Rio Tinto Xstrata
金額 前年比 金額 前年比 金額 前年比 金額 前年比
売上高 18,637 23.1 8,134 21.4 11,755 8.6 3,482 92.4
操業利益 2,606 -19.8 2,169 32.5 1,496 80.0 291 37.4
純利益 1,592 1.9 1,357 46.1 1,508 132.0 308 107.8
主要鉱産物
(売上高順)
工業用鉱物、白金、ベースメタル、石炭、金、鉄 石油、鉄、ベースメタル、アルミ、石炭、ダイヤ ベースメタル、石炭、鉄、工業用鉱物、ダイヤ 石炭、ベースメタル、クロム・バナジウム
コメント 事業規模拡大で増収。ドル安で利益伸びず。 2003年下期業績。市況好転と生産増で増収・増益。 ドル安で売上伸び悩む。 MIM社買収で増収。ドル安で操業利益伸びず。
注:業績は各社ともグループ業績。


 ドル安と2003年後半の鉱産物市況の好転を背景とした業績は各社とも増収・増益であった。しかし為替と市況の影響は一様ではない。最大手のAnglo American社(本社英国)は23.1%の売上増に対して操業利益は19.8%減となり、純利益は1.9%の微増に留まった。同社は南アに白金、金、ダイヤモンド等の生産拠点を有し、豪州の生産比率も高いが、2003年はUSドル安・現地通貨高により大幅減益となった。BHP-Billiton社(本社英・豪)は売上増21.4%、純利益増46.3%と好調であった。銅、コークス、鉄鉱石、ダイヤモンド、アルミニウムの販売増と、ほとんどの鉱種の市況の好転が寄与した。同社業績は市況の好転した2003年後半のものであるため、通年業績の他3社よりも市況好転の寄与度が大きい。Rio Tinto社(本社英国)は売上高8.6%増に対し純利益は132%の大幅増であった。同社は豪州に鉄鉱石と石炭の生産拠点があり、USドル安で減収減益となったものの、銅やダイヤモンド等の他部門が好調であったこと、2002年は米国資産の償却損が特別計上されていたという特殊事情のため、2003年の純利益は大幅増となった。Xstrata社(本社スイス)は2003年6月のMIM社(豪)の取得により売上高が倍増した。しかし同社の生産は南アと豪州が大半を占めており、ドル安・現地通貨高で操業利益が伸び悩んだ。旧MIM社資産の業績も好転せず、リストラを継続中である。

【各社の2003年の探鉱結果】

 Anglo American社の2003年の探鉱支出は105百万USドルであった。内訳はベースメタル50百万USドル、金36百万USドル、白金11百万USドルである。ベースメタルの探鉱は成果の見込める地域、特に既存鉱山周辺に焦点が当てられ、ザンビアとコンゴ民主共和国の事務所は閉鎖された。銅探鉱はチリ、ブラジル、メキシコ、ペルー、フィリピン、スウェーデンで行い、チリの既存鉱山近傍のボーリングで成果を見た。ニッケル探鉱はカナダ・ケベック州West Raglanでのボーリングでニッケル・銅・白金族鉱化をつかんだが、まだ初期探鉱段階である。亜鉛探鉱はインド、豪州で行っている他、既存鉱山周辺で行っている。白金の探鉱は南アでの生産増に直接関連したものであるが、ロシアとカナダでも共同探鉱を行っている。金はアルゼンチン、豪州、ブラジル、タンザニア、マリ、ナミビア、南ア、米国の既存鉱山周辺に焦点を当てた他、カナダとペルーの有望地域でも行った。
 BHP-Billiton社の2003年7~12月期の探鉱支出は193百万USドルで、前年同時期の130百万USドルの48%増であった。うち石油153百万USドル、鉱物資源40百万USドルである。探鉱支出増は石油探鉱の成功を受けたものである。基本的に探鉱は継続的な需要増が見込まれる鉱種について行う方針である。
 Rio Tinto社の探鉱及び評価への支出は130百万USドルで前年の4.8%増であった。同社の探鉱は世界規模鉱床の発見を目標としており、初期探鉱で成果を上げている。Resolutionプロジェクト(米アリゾナ州、銅)、Dashkasan(イラン、金)、Eagle(米ミシガン州、ニッケル・銅・白金族)、Simandou(ギニア、ヘマタイト)、La Sampala(インドネシア、ニッケル・ラテライト)、重砂鉱床プロジェクト(モザンビーク、イルメナイト)などがそれである。また既存鉱山周辺探鉱も行っており、Grasberg鉱山(インドネシア)で銅資源量増を目指している。
 Xstrata社はMIM社の買収により得た探鉱プロジェクトのうち、既存鉱山周辺のプロジェクトのみを継続し、その他のプロジェクトはノンコア資産として売却した。

【探鉱動向】

 各社の探鉱方針には特徴がある。Anglo American社は成果の見込める有望地として既存鉱山周辺に探鉱を集中させた。Rio Tinto社は大規模鉱床発見の可能性の高い初期探鉱を継続した。BHP-Billiton社は石油探鉱が探鉱支出の8割を占めた。Xstrata社は買収による成長を指向して探鉱による内部成長は重視せず、探鉱を極力抑えている。
 探鉱地域に着目すると、例年と同様、豪州、チリ、カナダ等の鉱山国におけるプロジェクトが多い。その中で独自性があるのはAnglo American社のインドでの亜鉛探鉱と、Rio Tinto社のイランと米国での探鉱活動である。また、有数の資源国でありながらこれまで在欧鉱業大手による探鉱活動が低調だった地域としてロシアと中国があげられるが、2003年においてもAnglo American社によるロシアでの白金族の共同探鉱の記載があるのみで、依然として本格的な探鉱は開始されていない模様である。

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