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報告書&レポート

2004年4月23日 バンクーバー事務所 中塚正紀
2004年14号

PDAC 2004 International Convention報告

 本年で72回目を迎えるPDAC(Prospectors and Developers Association of Canada)国際大会がトロントにおいて3月7日から10日の日程で開催された。昨年以来の金属価格の急上昇を反映し、参加者も増加。出展者および発表者など、85か国約12,000人が参加した。
 会議では、中国やインドの個別セッション及び豪州、メキシコ、ニュージーランド、南アフリカやアルゼンチンなどの各国レポートも含めたTechnical Session、投資家を対象とした Investors Forum等、活発な情報交換が行われ、本報告では、今大会おける各セッションから資源ビジネスの今後の方向性について報告する。

  1. 中国が市場に及ぼす影響

  2.  IMS Investment 社のPeter O’Conner氏が中国市場の急成長が金属市場に及ぼす影響について講演。中国の金属消費量は、銅・錫・亜鉛・プラチナ・鉄で世界第1位、アルミ・鉛で第2位、ニッケルで第3位、金で第4位と、既に世界をリードする水準に達し、中国の消費動向が世界の金属価格を左右。国内投資ブームと個人消費主導の経済成長が、現在の金属消費量の急拡大の背景にあり、世界の経済活動に大きな影響を及ぼしている。
     中国は膨大な人口を抱えるものの、工業化の比較的初期段階にあることから、一人当たり金属消費量は依然として低水準。今後も長期にわたる金属消費の成長が続くものと予測。
     また、中国をはじめインド、ロシア及びブラジルの4か国の国内総生産の長期予測に言及した。中国は、4年後にはドイツに、2015年には日本に追いつき、インドは30年後には、アメリカ、中国に次ぐ第3位の経済大国となる。更に、これら4か国は、2039年までにG6を上回る経済規模に達する可能性がある。こうした4か国の経済成長の進展は、今後の10年間における金属資源やエネルギーの消費量を着実に増加させる。

  3. 各金属別の価格動向

  4. (1) 金(Barclay’s Capital社のKamal Naqvi氏):最近の金価格上昇は、米ドルの下落、生産者のde-hedging、金投資の新商品、政治的な不安定性等を背景としたもので、1996年以来の高値を記録。今後の見通しについては、現在、重大な節目に来ている。同社は、今年初旬、価格は新たなピークを迎えると予想したが、投資家の投機的行動により左右されると慎重な見方。景気悪化も要因として話題になっているが、2004年の金価格には影響はないと評価。
    (2) 銀(GFMS社のBruce Alway氏):昨年7月以降、銀価格の回復傾向が強まったが、投資家の投機的な市場参加が主な要因。1月初旬には、1998年以来の高値であるオンス当たり6.60USドル台まで上昇。投資額も昨年10月の3倍に達した。しかし、この回復が、構造的なものではないこと、特に市場価格の変動に敏感なインドの輸入がここ数か月減少していることから、銀価格の先行きは不透明。
    (3) プラチナ(Implats社のBob Gilmour氏) :過去10年、プラチナ需要は、年率約4%で成長。これは、自動車に対する厳しい環境規制の導入とヨーロッパにおけるディーゼル車の普及が要因である。これに対応して、南アフリカは供給量を拡大させているものの、依然として、需要の伸びに適応できず、世界的な供給不足が続いている。南アフリカは今後とも需要拡大に対応した重要な供給源となっていく。なお、近くジンバブエのGreat Dykeの生産が立ち上がる予定であることに注目。
    (4) ニッケル(Salman Partners社Raymond Goldie氏):この2~3年は、中国経済の成長等により世界のニッケル需要は急成長を続けると予測。このため、当分の間、ニッケルの供給過剰が発生することはない。仮に、大鉱床の発見があったとしても、これまでの経験から生産開始まで少なくとも7年間は必要。今後考えられる新たな供給源は、現存する鉱山の増産、Inco社のVoisey’s BayやGoroプロジェクト等であり、2006年~2010年の間に生産開始を予定。

  5. 2003年探鉱開発資金調達や企業統合の流れ

  6.  Metal Economics Group社のMichael Chender氏は、ジュニア企業に対する世界で最大の株式市場であるトロントベンチャー証券取引所において株価が回復したことで、カナダのジュニア企業の資金調達は、2002年の365百万USドルから2003年には913百万USドルと、飛躍的に拡大。カナダのジュニア企業の潤沢な資金は、2004年における探鉱活動や企業の合併等の動きも活性化させるものと考えられる。
     また、豪州でも、カナダと同様の資金調達方法や探鉱投資に対する新しい税制の導入に向けたロビー活動が続いており、その実現によっては、豪州における国内探鉱投資も活発化が期待される。
     1990年代終わりから発生した企業合併の波により、金属資源分野では中堅企業の数が大幅に減少した。今日、非鉄大手は高収益率の大規模鉱山開発を求めており、中期的な金属需要の拡大に対応するためには、中規模鉱床を着実に開発できる中堅企業の育成が重要な課題となる。中堅企業こそが、安定供給と埋蔵量確保に重要な役割を果たす側面を認識すべし。
     また、JP Morgan社のJeoff Breen氏は、過去3~4年間に発生した欧州系非鉄大手による豪州企業の吸収合併は、豪州の資源産業が、豊富な資源量(長期間の操業が保障)と高いポテンシャル(資源の質が良く、操業リスクも低い)にかかわらず、国内市場では評価が低く、加えて昨年前半までの豪ドル安も加わり、買収の対象となったもの。Rio Tito社、BHP Billiton社やXstrata社のような巨大な欧州系非鉄大手が豪州企業を支配することとなった。この結果、今やASX株式市場は、巨大な国際企業と小さなジュニア企業に2極分化。探鉱投資額が1998年の700百万豪ドルの半分にも満たない水準となったのは、豪州市場が必要とする規模の鉱山会社を喪失してしまったことを背景とするものと分析。
     また、金属価格が中国の需要拡大を背景として、高水準を維持するとの予想にもかかわらず、豪州の投資家は、依然として探鉱開発投資に消極的。このため、豪州企業の資本増強は低水準にとどまり、企業買収が更に続く可能性が高い。

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