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報告書&レポート

2004年5月25日 ロンドン事務所 嘉村 潤・霜鳥 洋
2004年19号

銅の鉱山生産動向―第1四半期生産実績と需給予測―

 昨年後半から上昇を続けていた銅価格が4月に値を下げた。背景には、投機資金のコモデテイから為替へのシフトや、近年の銅需要の牽引者であった中国の経済成長の減速への危惧があるとされる。投機筋の動向は別として、国際銅市場の中長期的方向性を決定する実際の需給はどうなのであろうか。本報告では、2004年1~3月期の鉱山生産量を主要生産者の第1四半期報告書等からまとめるとともに、今後の需給に関する国際銅研究会の予測を紹介する。

  1. 銅鉱山生産:第1四半期は減産、Grasberg鉱山の事故が影響

  2.  2004年の銅鉱山生産は、Grasberg鉱山(インドネシア)の減産を背景として第1四半期に減少した後、急速に増産に転じ、2004年通期では増産になると見込まれる。

    (1)

    第1四半期(2004.1~3)の銅の主要生産者の銅鉱山生産実績(精鉱中銅金属量及びSX/EWカソード生産量)は下表のとおりである。

      主要銅鉱山生産者の第1四半期生産実績 (単位:t)
    会社名(本社所在国) 2004 Q1 2003 Q1 増減
    CODELCO(チリ) 363,000 368,000 -5,000
    Phelps Dodge(米) 260,300 260,400 -100
    BHP-Billiton(英豪) 240,600 231,300 9,300
    Grupo Mexico(メキシコ) 220,871 184,639 36,232
    Rio Tinto(英) 180,000 231,100 -51,100
    KGHM Polska(ポーランド) 133,184 130,724 2,460
    Noranda(加) 85,950 93,958 -8,008
    Antofagasta(英) 72,120 69,514 2,606
    Falconbridge(加) 65,929 78,562 -12,633
    Newmont(米) 65,658 75,389 -9,731
    Placer Dome(加) 49,410 45,962 3,448
    Freeport McMoran(米) 48,600 176,400 -127,800
    WMC Resources(豪) 47,974 41,678 6,296
    Inco(加) 29,740 36,253 -6,513
    14社計 1,863,336 2,023,879 -160,543
    注: 各社発表による。生産量は各社とも自社シェア分。但しCODELCO社はEl Abra鉱山シェア分を除く。WMC社はカソード生産量。


     1~3月期の生産実績を公表した主要生産者14社のうち、8社が減産、6社が増産で、合計では前年同期の16万t減(7.9%減)となった。減産の最大の要因は、Freeport McMoran社(米)のGrasberg鉱山の事故による減産である。同鉱山の第1四半期の生産量は前年同期比の155,000t減であり、14社合計の減産量にほぼ等しい。一方、最大の増産はGrupo Mexico社(メキシコ)のCananea鉱山(メキシコ)選鉱設備の修復完了による粗鉱処理量倍増によるもの。
     World Bureau of Metal Statistics(英、WBMS)によれば、2004年1~2月の世界全体の鉱山生産量は2,149,400tで前年同期比0.8%減、大手生産者のみならず世界全体でも鉱山生産量が減少した。

    (2)

    一方、主要生産者の2004年の生産計画量(下表)は合計で48万t増(8.5%増)である。特に世界最大の生産者であるCODELCO(チリ)は217,000t増(13.8%増)を計画している。計画生産量未発表のAnglo American社(英)・Falconbridge社(加)も主力のCollahuasi鉱山(チリ)の増産が予想され、また第1四半期の減産の最大要因であったGrasberg鉱山も2004年後半には生産が本格化する見込みである等、第2四半期以降、急速な生産増が予想される。

      主要生産者の銅鉱山生産計画 (単位:t)
    会社名(本社所在国) 2004計画 2003実績 増減
    Codelco(チリ) 1,780,000 1,563,000 +217,000
    Phelps Dodge(米) 1,167,300 1,059,300 +108,000
    Grupo Mexico(メキシコ) 975,000 834,779 +140,221
    KGHM Polska(ポーランド) 532,000 529,616 +2,384
    Freeport McMoran(米) 454,000 590,200 -136,200
    Noranda(加) 355,130 297,429 +57,701
    Antofagasta(英) 317,040 311,740 +5,300
    WMC Resources(豪) 230,000 160,080 +69,920
    Placer Dome(加) 181,600~
    186,140
    193,112 -6,972~
    -11,512
    Inco(加) 118,000 93,335 +24,665
    10社計 6,110,070~
    6,114,610
    5,632,591 +477,479~
    +482,019
    注: 各社発表による。但しCODELCO社及びGrupo Mexico社の2004年計画は報道による。生産量は各社とも自社シェア分。WMC社はカソード生産量。

  3. 需給バランス:2004年の供給不足は更に拡大の見込み

  4.  国際銅研究会(ポルトガル)は2004.5.19に2005年までの需給予測を発表、2004年は750,000tの供給不足と予測した(下表)。昨年11月における同研究会の予測は386,000tの供給不足であり、供給不足量はほぼ倍増した。その背景として、依然として堅調な東アジアの需要と、米国のめざましい需要回復を同研究会は指摘する。

      国際銅研究会による銅の需給バランス (単位:t)
      鉱山生産 製錬生産 需要 需給バランス
    2003年 13,674,000 15,201,000 15,562,000 -361,000
    2004年(予測) 14,473,000 15,757,000 16,507,000 -750,000
    2005年(予測) 15,313,000 16,695,000 17,216,000 -521,000


     実績においても、国際銅研究会による2004年1~2月期の需給バランスは181,000tの供給不足であった。金属取引所の銅地金在庫も、タイトな需給を反映し、急減している。主要金属取引所(LME、COMEX、SHFE)の2004年4月末の銅地金在庫は計40.6万トンで、前月比9.2万トン減少、2003年末に比べて40.0万トン減少し、4か月で半減した。LME・COMEX在庫は5月中も減少を続けている。一方SHFE(上海先物取引所)の在庫の減少量はLMEとCOMEXに比べ小規模である。

      金属取引所銅在庫量 (単位:t)
    取引所 2002年末 2003年末 2004.3.31 2004.4.30 2004.5.21
    LME 855,625 430,525 187,400 151,200 141,450
    COMEX 362,276 254,862 193,491 155,755 141,451
    SHFE 75,087 120,631 116,336 98,667  
    1,292,988 806,018 497,227 405,622  
    出典: 国際銅研究会(5月月報)。5.21のデータは各取引所ホームページから。

  5. 価格動向:ついに値を下げる

  6.  供給不足の拡大が予想される一方で、2003年後半から上昇していた銅価格が4月に下落した。Metal Bulletin誌によるLME月平均価格は、3月のU$3,007.97から4月のU$2,947.45に下げた。5月に入っても下落は続き、5月中旬には一時U$2,500台になった。

    出典:Metal Bulletin誌(Grade A, cash)

     4月に価格が下落した背景として、上がりすぎた価格の調整、利食い、投機資金のコモデテイから為替へのシフト等をアナリストは挙げている。さらに4月後半に中国政府が経済成長の過熱を避けるために金融引き締めを表明し、中国の銅需要の伸びが衰えることへの懸念を呼んだ。またCODELCOが2003年に積み上げた銅地金在庫20万tを2004年内に売却する意向を表明し、需給緩和の観測が流れた。
     銅価格の調整が進む一方で、中国の経済成長の鈍化が予想されるものの依然として銅需要は堅調であり、米国需要の伸びとあわせ、タイトな需給が続くとの予測も根強い。国際銅研究会が予測するように供給不足が引き続く場合、銅価格が上昇して高止まる可能性があり、2004年の銅需給バランスがどのように変動するか、国際需給統計の動向が注目される。

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