閉じる

報告書&レポート

2004年5月28日 ロンドン事務所 嘉村 潤
2004年20号

国際銅研究会総会(2004年春)の概要報告

 2004年5月17~19日、国際銅研究会の総会及びその関連委員会が、例年通りポルトガルのリスボンで開催された。同総会は、研究会メンバー国等から約30人の銅関係の政府・民間関係者が参加し、銅の需給の現状と展望、産業の動向、環境問題、研究会の進め方等について、委員会ごとに報告・討論がなされた。今回の特徴としては、例年の銅需給予測、銅産業に影響を与える環境関連規制等のレビューに加えて、国際金属研究会の合理化の過程に銅研究会も参加するかどうかについて活発な議論がなされたことである。

  1. 2004・2005年の銅需給予測

  2.  2004・2005年の銅需給について、以下のコンセンサスが形成された。 世界の銅鉱山生産は、2004年に79.9万t(5.8%)増加し1,447万t、2005年はさらに84.0万t(5.8%)増加し1,531万tとなる。増加の殆どは南米で、2005年の増加には北米の鉱山再開とインドネシアのフル生産回復が貢献。
     世界の銅地金生産(1次・2次計)は、2004年に55.6万t(3.7%)増加し1,576万t、2005年はさらに93.8万t(6.0%)増加し1,670万t(鉱山・精錬能力に基づく中断補正後)と予測。精鉱の需給逼迫による精錬量の制約は2004年に解消され、2004・2005年の生産増加の殆どはアジア(中国、インド、タイ)の精錬能力増加による。
     世界の銅地金消費は、2004年に94.5万t(6.1%)増加し1,651万t、2005年はさらに70.9万t(4.3%)増加し1,722万tとなる。2004・2005年を通じてアジア全体の需要増加は引き続き大きく、2004年に北米の需要も著しく回復、この傾向は2005年も継続する。欧州は2004・2005年とも緩やかな増加となる。
     地金生産を上回る地金消費の増加により、需給バランスは、2003年の36.1万tの供給不足から2004年は75.0万tの供給不足に拡大。地金消費の伸び減速により2005年の供給不足は52.1万tとなる。チリのCODELCOは、市場安定化のために2003年に積み上げた在庫20万tを放出すると発表。正確な時期は不明である。中国国家備蓄局も時期・量とも不明であるが備蓄放出するといわれている。いずれにしても今年の需給バランスに影響を持つ。

    (千t) 鉱山生産 地金生産 地金消費
    2003 2004 2005 2003 2004 2005 2003 2004 2005
    13,674 14,473 15,313 15,201 15,757 16,695 15,562 16,507 17.216
    変化(%) 0.7 5.8 5.8 -0.6 3.7 6.0 2.7 6.1 4.3
    バランス             -361 -750 -521

  3. 統計委員会に関する調査等

  4.  統計委員会では、上記の需給予測以外に、事務局が作成した「銅及び銅合金製造者一覧」(銅の一次使用者であるワイヤーロッドプラント、インゴット製造者、真鍮工場等の一覧)の内容レビューと出版承認、「リサイクル可能な銅スクラップに関する調査」や西欧の銅リサイクル率算定のための銅フローモデルを策定・検討している銅リサイクルワーキンググループの活動状況について説明がなされた。
     今後予定される活動として、「ロシア銅産業に関する調査を国際銅協会と共同で実施する」こと、銅市場で重要な存在となった「中国の市場透明性に関する研究」を中国の適切なパートナーと実施することなどが説明された。

  5. 環境経済委員会に関する調査等

  6. (1) 銅使用製品に影響する規制に関する調査

     事務局では、メンバー国政府及び産業アドバイザーの要請を受けて、世界各国の主要な最終消費部門の銅使用に影響する規制やイニシアティブを調査しており、その情報の更新が行われた。今回のトピック事項は以下のとおり。

      1) EU廃自動車指令:同指令の部品回収や材料チェックリストの作成に関する技術的なルール、禁止重金属からの免除となる金属のリスト(多くの銅鉛合金が、使用が避けられないものとして免除となること等)に関する最新情報。
      2) 日本の廃自動車法:同法律が成立、2004年末に完全実施予定、リサイクル費用は新車購入時に購入者から集められることを規定。
      3) EU廃電気・電子製品指令:同指令の一般家庭以外のユーザーからの廃棄物の一部または全部の費用負担責任を負わせる動きがある。
      4) 中国の廃電気・電子製品に関する法律:同法律が2003年末成立、テレビ、携帯電話、照明、おもちゃ等多くの製品に対する返済可能な保証金制度導入を含む引取り義務、特定の重金属使用の段階的禁止を規定。
      5) 米国の電子製品リサイクルに関する製品スチュアードシップ:米国の電子工業界は、販売時点でのリサイクル・コストを付加する、あるいは製品にリサイクル・コストの付加をしないですむ選択肢をメーカーに許すという規制案の作成を進めている。
      6) EU化学政策:2004年3月欧州委員会は、本政策に関する2004~2010年(ファースト・サークル)の行動計画のドラフトを関係者と協議。6月ブタペストにて開催される「我々の子供たちの将来」と題する環境と健康に関する閣僚会議で、この行動計画が提案される予定。金属についても、検討の対策となる可能性がある。

    (2) 廃自動車規制の影響に関するケース・スタディ

     規制導入後の製品への銅使用に対する影響を特定化するためケース・スタディを実施。今回、事務局が作成したドラフトでは、EU、日本、米国で進みつつある廃自動車規制等に関連し、「将来のスクラップ発生量」、「現在及び将来の自動車材料構成とそのリサイクルへの影響」、「解体・リサイクルのための製品デザイン」、「シュレッダーダストからの銅リサイクル」、「有害物質禁止の影響」等について暫定的にまとめられた。今後、本問題に関心ある組織・機関と連携し、リサイクル・パフォーマンスの定量化、詳細な分析等を実施する予定。

     また、環境経済委員会では、銅セクターが影響を受ける国際イニシアティブのモニタリングを実施しており、

      1) グローバル・リポーティング・イニシアティブ(GRI)と国際鉱業金属評議会(ICMM)がワーキンググループを立ち上げ、持続的発展のための報告ガイドラインの鉱業・メタル産業用補足版を策定する動きがあること。
      2) 世界銀行の採掘産業レビューをめぐる動き(世銀総裁とレビュー実施者の協議等)について説明がなされた。

  7. 研究会の合理化問題

  8.  本件は、事務局からの当初議題ではなく、欧州を中心としたいくつかの加盟国の提案により追加されたものであるが、内容を踏まえ、当初から予定されていた2005年予算や事務局長任期延長問題に先立って、常任委員会及び総会で議論。
     一部の国から銅研究会も、鉛亜鉛研究会、ニッケル研究会とともにこの合理化過程(3研究会の本部所在地及び事務局長選出のための選出委員会を設置し、今秋までに3研究会の合同総会で研究会統一を決定すること)に参加すべきとの意見が出された。
     3研究会のうち、一部にのみ加盟する国もあることから、合理化の必要性については、各国でスタンスが異なるため議論は混迷したが、最終的には、議論の中で出された提案(3研究会の本部を同一地域に設置するものの、事務局長は銅専任者を置く等銅研究会の独立性を維持する)について議論するため、特別総会を9月末に開催し、この提案を承認するか否かを銅研究会加盟各国に問うこととなった。この特別総会は、併せて秋の定期会合(通常11月)に代わり開催されるものであり、2005年予算は、この特別総会での再考を条件に承認された。

ページトップへ