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報告書&レポート

2004年7月26日 ロンドン事務所 霜鳥 洋
2004年28号

ベースメタルの国際市場と需給動向(2004年6月)

  1. 国際市場

  2.  LME(London Metal Exchange)の月平均価格は、ニッケルが前月比21.8%増と急騰した。銅と亜鉛は前月よりも若干下げたものの、依然として2003年平均よりも高い水準にある。ニッケルの急騰は投機資金の流入によるとの解釈もあるが、銅とニッケルの地金在庫量の減少傾向は続いており、タイトな需給状況を窺わせる。
     今後、中国の経済成長の減速が予想されるものの、東アジアと米国の需要増が見込まれるため銅とニッケルのタイトな需給バランスは続き、2003年まで供給過剰であった亜鉛も2004年は需給が均衡すると予測されている。2003年末から2004年初にかけてのニッケルと銅の高騰はゆきすぎであったとして2004年の価格予想を下方修正するアナリストも多い一方で、中国を中心とした東アジアの堅調な需要を評価し、当面は価格上昇基調が続くとの予測も根強い。

    LME平均価格と在庫
      平均価格(cash settlement、US$/t) 在庫(t)
    2003年 2004年5月 2004年6月 前月比 2004年5月28日 2004年6月30日 増減
    Cu 1,778.41 2,732.21 2,686.70 -1.7% 133,775 101,475 -32,300
    Ni 9,625.53 11,113.16 13,539.55 +21.8% 11,844 8,394 -3,450
    Zn 826.90 1,027.58 1,021.45 -0.6% 728,725 730,125 +1,400

    LME 月平均価格の推移

  3. 需給動向

  4. 2004年1~4月の需給状況(出典:銅、ニッケル、鉛亜鉛国際研究会)
      鉱山生産 精錬生産 消費 需給バランス
    (千t)
    1~4月(千t) 前年比 1~4月(千t) 前年比 1~4月(千t) 前年比
    Cu 4,457 -0.4% 5,099 +0.8% 5,612 +8.7% -513
    Ni 422.6 +1.9% 417.4 +3.0% 424.8 +3.5% -7.4
    Zn 3,160 +3.6% 3,282 +3.4% 3,228 -0.3% +54

    (1) 銅
    【需給】 1~4月期は鉱山生産がGrasberg鉱山(インドネシア)の事故による減産の影響で0.4%減となった。精錬生産は0.8%増であったが、消費が8.7%増と大きく伸び、需給バランスは供給不足となった。消費が伸びたのは東アジア(中国25.5%増、台湾15.7%増、日本10.3%増、韓国8.2%増)と米国(10.9%増)であった。中国は近年のベースメタル需要の牽引者であったが、4月に政府の金融引締め方針が発表され、中国の銅消費増は鈍化するとの観測が強い。しかしその場合でも中国の需要は堅調であり、回復基調にある日米の需要増とあわせ、当面供給不足状態が続くと国際銅研究会は5/14に予測している。
    【在庫】 生産者、主要取引所、消費者合計の銅地金備蓄量は5月末の1,918千tから6月末の1,243千tに大きく減少し、需給のタイトさを窺わせた。
    【価格】 LME銅価格は4/19に数年来の高値U$3,170/tを記録し、その後値を下げて2,600~2,800台で推移している。Phelps Dodge社(米)Timothy Snider社長は、U$1.8~2.0/lb(U$3,965~4,405/t)といった高すぎる価格は不合理な投資を促進するので好ましくなく、U$1.20~1.25/lb(U$2,643~2,753/t)程度が望ましいと発言(5/24、Reuters)。Codelco(チリ)が銅精鉱を14~16万t入札し、Gerald社が12万tをTC$20~25/t、RC¢2.0~2.5/lbで落札。最近では高いものの、依然として非常に低いレベル(5/24、Reuters)。

    (2) ニッケル
    【需給】 1~4月期は鉱山生産が1.9%増、精錬生産が3.0%増といずれも生産増となったが、消費も3.5%増と伸び、需給は7,400tの供給不足となった。最大消費国である日本の消費は1.1%減と振るわなかったが、0.7%減と同じく振るわなかった米国を抜いて第2位となった中国は15.6%増と依然として好調で、第4位韓国(28.6%増)とともに消費の牽引役となっている。
    【在庫】 LMEの地金在庫は5/28の11,442tから6/30の8,394tに減少。国際ニッケル研究会による3月末の生産者在庫は99,600tでほぼ前月並。
    【価格】 LME6月平均価格は前月比21.8%増のU$13,539.55/t。2003年9月19日にU$10,000台に乗せて以来、高値の続いているニッケルLME価格は2004年1月6日に数年来の最高値であるU$17,770となった以降、徐々に値を下げていたが、6月に反騰。銅、アルミ等のベースメタルは反騰していないことからファンド資金がニッケル市場に流入したとの観測あり。WMC Resources社(豪)のAndrew Michelmore社長はU$6/lb(=U$13,216/t)以上の高価格は代替を促進するので好ましくないと発言(5/25、Austrian Financial Review)。Norilsk Nickel社Victor Sprogis副社長は2004年にU$9,000~11,000を望むと発言(5/28、Dow Jones & Reuters)。Falconbridge社Santo Ranieri市場調査部長は2006年以降に生産過剰となるがその前にもう一度高価格になると予想(6/7、Reuters)。

    (3) 亜鉛
    【需給】 1~4月期の鉱山生産は、最大生産国である中国が17.1%増となった他、アイルランド18.6%増、インド12.7%増、メキシコ4.4%増で、豪(11.9%減)、米(3.2%減)、ペルー(2.8%減)といった主要生産国の減産を上回って合計で3.6%増となった。一方消費量は0.3%の微減で、需給は54,000tの生産過剰となった。2003年は129千tの生産過剰であったが、2004年は東アジア、米国の需要回復を受け70千tの供給不足になると国際鉛亜鉛研究会は4/27に予測。
    【在庫】 LME、生産者、消費者、取引業者の合計在庫量は2003年末の1,199.5千tから4月末の1,161.6千tに低下したものの、依然として高い水準にある。
    【価格】 2001年3月26日以来U$1,000/tを割っていた亜鉛のLME価格は、2003年12月30日にU$1,000の大台に戻した。3月1日には2004年最高値のU$1,155.30に達したが、その後U$1,000台に戻し、6月の平均価格はU$1,021.45とほぼ前月並みであった。需給が均衡傾向にあることから、この価格水準は2005年まで続くと予測するアナリストもいるが、価格回復を契機とした生産増がどの程度あるかが未知数。Brook Hunt社Paul Smith氏は今後10年の平均価格はU$1,300、ピークは2008年のU$1,500と予想(Metal Bulletin、5/17)。豪州農業資源経済局は2004年の平均価格をU$1,050、2005年をU$1,000と予想(OsterDowJones Commodity-COMTEX、6/21)。
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