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報告書&レポート

2004年9月24日 ロンドン事務所 霜鳥 洋 e-mail: shimotori@jogmec.org.uk
2004年39号

ベースメタルの国際市場と需給動向(2004年8月)

  1. 国際市場

  2.  8月のLME(London Metal Exchange)の月平均価格は、銅が対前月比1.3%増の2,846.10 USドル/tとなったが、ニッケルは同9%減の13,685.95 USドル/t、亜鉛は同1.3%減の975.81 USドル/tと値を下げた。
     LME在庫は銅、ニッケル、亜鉛ともに前月末よりも増えており、ニッケルと亜鉛が値を下げたこととあわせ、ベースメタル需要の伸びは鈍り価格はピークを超えたとの見解がアナリストの間で台頭しつつある。その一方で、2004年後半から2005年にかけての需要は依然として堅調で高価格が続くとの予想も、生産者を中心に根強い。

    LME平均価格と在庫
      平均価格(cash settlement、USドル/t) 在庫(t)
    2003年 2004年7月 2004年8月 前月比 2004.7.30 2004.8.31 増減
    Cu 1,778.41 2,808.43 2,846.10 +1.3% 88,450 104,950 +16,500
    Ni 9,625.53 15,031.59 13,685.95 -9.0% 10,158 11,502 +1,344
    Zn 826.90 988.32 975.81 -1.3% 706,050 737,150 +31,100

  3. 需給動向

  4. 2004年1~6月の需給状況(出典:銅、ニッケル、鉛亜鉛国際研究会)
      鉱山生産 精錬生産 消費 需給バランス(t)
    1~6月(t) 前年比 1~6月(t) 前年比 1~6月(t) 前年比
    Cu 6,878,000 +1.1% 7,623,000 +2.1% 8,305,000 +6.0% -682,000
    Ni 640,700 +1.6% 632,100 +4.9% 634,400 +3.0% -2,300
    Zn 4,754,000 +1.1% 5,009,000 +3.3% 4,951,000 +1.2% +58,000

    (1)
      【需給】
     鉱山生産は1~3月期が2.1%減であったものの、4~6月期は4.1%増となり、1~6月期としては1.1%増であった。インドネシアのGrasberg鉱山が4月に本格生産を再開したこと、価格上昇が増産を促したことが背景にある。精錬生産は2.1%増であったが、一次生産の1%増に対しスクラップからの二次生産が10.8%増と大きく伸びたことが特筆される。一方、1~6月期の消費は6.0%増で、1~5月期の6.4%増よりも増加率は低下したものの、依然として生産増を上回るペースである。中国(17.2%増)、日本(5.1%増)、米国(9.0%増)が消費の牽引者である。金融引き締め政策の影響が注目されている中国の消費動向であるが、6月の消費量は254,700tで前月比5.1%増、前年同月比11.6%増と依然として好調に推移している。しかしながら、前年同月比で30%以上増加していた2~4月の勢いはない。需給バランスは6月は92,000tの供給不足、1~6月は682,000tの供給不足となっている。

    【在庫】
     金属取引所の8月末の在庫量はComexとSHFEが減少したものの、LMEは増加した。合計では前月比5,279t減の197,867tで、依然として減少が続いている。1年前は608,151tであった。8/30にLMEシンガポール倉庫の在庫が1万t以上増加したが、需要が伸びず在庫の多い韓国から中国に流れた在庫が取り崩されたものと取引業者は見ている。

    【価格】
     Goldman Sachs社は銅の需給は生産増のため2005年後半には生産過剰に転じ、2005年前半から価格は低下すると予測。Macquarie銀行はベースメタル価格は現在、ほぼピークにあるとの見方を示している。また、Standard銀行は、2004年の銅需要は6%増で平均価格は1.20 USドル/lb、2005年は1.10 USドル/lbと予測。さらにBarclays銀行は、ペルーSPCC社のストの可能性が銅価格を下支え、スト早期解決の場合は2,750 USドル/t以下に値崩れする可能性を指摘。以上のように銅需要の伸びは鈍り価格はピークを超えたとの見解がアナリストの間で台頭しつつあるとともに、米国の好景気がドル高となって銅価格の下げ要因になると指摘する向きもあるが、Barclays Capital社は異論を唱え、2005年も需要は堅調で高価格が続くと予想している。

       
    (2) ニッケル
      【需給】
     1~6月の鉱山生産は、豪州とフィリピンがそれぞれ前年同期比で減産となった以外はいずれも増産で、全体で1.6%増となった。また、一次ニッケル精錬生産は日本、カナダ、中国の増産により4.9%増となった。一方、1~6月のニッケル消費は中国が13.3%増と依然として2ケタ増を示しており、全体で3.0%増であった。中国の6月のニッケル消費量は前月と同量の11,000tで、前年同月比13.4%増であり、需要減の徴候はまだ見受けられない。需給バランスは6月が200tの供給不足、1~6月が2,300tの供給不足でほぼ均衡状態にある。

    【在庫】
     8月末のLMEの在庫は前月より1,344t増えて11,502tとなった。5月末の生産者在庫は82,900tで、2月以降はほぼ同水準にある。

    【価格】
     WMC Resources社は中国市場にニッケル代替品が導入されているが代替には限度があり、タイトな需給は2006年まで続いて価格も長期的平均の上を行くと予測。また、Prudential-Bache International社は西側ニッケル市場は2004年、2005年ともに30,000tの供給不足になり、価格は再度高値になると予測。一方、ドイツ銀行は年平均価格は2004年の13,833 USドル/tから2005年の11,784 USドル/tに低下し価格変動性を増すと予測。また、Societe Generale社は高価格がアジアで代替を促進して2004年の消費量は3.0~3.5%増に留まり、年末から2005年にかけ需給はバランスするので価格は下落傾向にあり、2006年以降に生産を開始する大型プロジェクトは生産過剰要因になると指摘。

       
    (3) 亜鉛
      【需給】
     1~6月の鉱山生産は最大生産国の中国が前年同期比12.6%増だったが、2位の豪州が15.6%減、3位のペルーが6.7%減、5位の米国が6.7%減で、上位10か国の生産量は0.1%増に留まった。しかしナミビア、トルコ、モロッコ等の11~20位生産国の合計は14.8%となり、全体で1.1%増となった。製錬生産量も最大生産国の中国が16.7%増で、ナミビアとカザフスタンの増産と合わせ、全体で3.3%増となった。一方、1~6月の消費は、2位の米国が9.0%増と好調である一方で、最大消費国の中国は4.1%増と前年までの2ケタ増の勢いが衰えており、欧州と日本は消費減であったため、全体で1.2%増に留まった。需給バランスは6月が33,900tの生産過剰、1~6月は58,000tの生産過剰状態にある。

    【在庫】
     6月末の生産者、取引業者、金属交換所の在庫合計は5月とほぼ同量の1,159,900tで、2003年消費量の12%相当であり、依然として高い水準にある。

    【価格】
     アイルランドTara鉱山でストの可能性が懸念されていたが、回避される見込みとの報道で市場は沈静化しているが、Zinifex社の見方では亜鉛需要増は生産増を上回っているものの在庫が市場に出回っているため価格は低いままだが、在庫が底をつく2004年末に向け価格は上昇し、2005年の予想価格は亜鉛1,131 USドル、鉛710 USドルと予測。また、Mining Journalは、高コスト製錬所閉鎖等の生産者側の努力により需給バランスは2001~2002年の生産過剰状態から改善されたものの、需要の牽引者である中国の経済成長の減速が懸念されると指摘。さらにBarclays Capital社は需給がタイトなので在庫が底をつく頃に価格が上昇するとの見方を示している。

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