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報告書&レポート

2004年10月28日 ロンドン事務所 霜鳥 洋 e-mail: shimotori@jogmec.org.uk
2004年46号

ベースメタルの国際市場と需給動向(2004年9月)

  1. 国際市場

  2.  9月のLME(London Metal Exchange)の月平均価格は、銅が3か月連続で上昇して1.7%増の2,894.86 USドル/tとなったが、ニッケルは前月に続き下落して13,277.27 USドル/t、亜鉛はほぼ前月と同じ975.18 USドル/tであった。月平均価格の変動は小さいものの、銅、ニッケル、亜鉛ともに9月中旬から価格が上昇し、今年最高値に迫った。その背景には銅、ニッケル、亜鉛の需給がタイトであるという事情があるものの、価格上昇の主要因はファンド資金の流入によるものとされる。2003年後半から2004年前半にかけてのベースメタル価格の上昇をもたらしたファンド資金は、8月以降、金属から石油に流れたとの観測が流れた。しかし金属から完全に手を引いたわけではなく、9月中旬から石油価格の上昇につられてベースメタル価格も上昇した。投機的な動きに影響されている現在の価格水準を行き過ぎと見るアナリストが多い一方で、タイトな需給バランスを理由に当面は高価格が続くとの予想も根強い。

    LME平均価格と在庫
      平均価格(cash settlement, USドル/t) 在庫(t)
    2003年 2004年8月 2004年9月 前月比 2004.8.31 2004.9.30 増減
    Cu 1,778.41 2,846.10 2,894.86 +1.7% 104,950 93,550 -11,400
    Ni 9,625.53 13,685.95 13,277.27 -3.0% 11,502 14,112 +2,610
    Zn 826.90 975.81 975.18 -0.1% 737,150 736,600 -550

  3. 需給動向

  4. 2004年1~7月の需給状況
    (出典:銅、ニッケル、鉛亜鉛国際研究会)
      鉱山生産 精錬生産 消費 需給バランス
    (t)
    1~7月(t) 前年比 1~7月(t) 前年比 1~7月(t) 前年比
    Cu 8,163,000 +2.2% 8,955,000 +2.2% 9,665,000 +6.0% -710,000
    Ni 747,600 +2.4% 727,900 +4.8% 724,800 +1.3% -3,100
    Zn 5,532,000 +0.2% 5,900,000 +3.8% 5,915,000 +4.2% -15,000

    (1)
      【需要】
     国別の1~7月需要量は、最大消費国中国が9.0%増、2位米国10.0%増、3位日本6.9%増、4位ドイツ1.2%増と軒並み好調で、世界計では前年同期比6.0%増の9,665千tであった。世界の需要を月別に見ると、3~5月が最も旺盛で1,400千t/月以上あったが、5月以降は1,300千t台に戻り、7月は1,327千tであった。注目される中国の需要動向であるが、7月の消費量は224.8千tで、前月比11.7%減、前年同月比19.1%と、消費が急減した。

    【供給】
     1~7月期の鉱山生産は2.2%増の8,163千tであった。月別の鉱山生産を見ると、1~2月は月産1,100千t前後であったが、その後生産量を徐々に伸ばし、5月以降は1,200千t台となり、7月は2004年最高の1,256千tを生産した。鉱山の設備稼働率も1月の79.9%から7月の94.1%まで上昇した。1~7月の国別生産量は、最大生産国チリが196.5千t増、4位ペルーが101.9千t増となり、3位インドネシアの275.8千t減を補った。
     1~7月期の月別精錬生産は月産1,600千t前後で変化がなく、稼働率も80%前後のままである。1~7月期の合計生産量は最大生産国日本が2.7%減、2位米国が2.4%減であったものの、ロシア、ポーランド、カザフスタン、スカンジナビア諸国が増産となって全体では2.2%増の8,955千tであった。

    【需給バランス】
     1~7月期は710千tの供給不足であった。2月から4月にかけて月毎に100千t台の供給不足が発生したが、その後供給不足量は減少しつつあり、6月は75千t、7月はわずかに3千tに留まり、タイトな需給は緩和されつつある。
    【価格】 9月前半のLME銅価格は2,800 USドル/t前後を推移していたが、後半に急騰し、9月15日の2,821 USドルから9月30日の3,140 USドルまで上昇、今年最高値の3,170 USドル(4月19日)に迫った。

       
    (2) ニッケル
      【需要】
     1~7月の消費量は1.3%増の724.8千tであった。消費量第2位の中国が12.6%増、3位米国が0.9%増、6位韓国が15.5%増となって、最大消費国日本の3.5%減、4位ドイツの1.8%減、5位台湾の3.9%減を補った。2003年後半からの高値の影響で、ニッケル含有量の低いステンレスの生産が主にアジアで増加し、またニッケルを含まないステンレスの生産も世界各地で増加し、消費を抑制している。国際ニッケル研究会は2004年のニッケル消費量は2.4%増の1,260千t、2005年は4.5%増の1,320千tと予測。

    【供給】
     1~7月の鉱山生産は2.4%増の747.6千tであった。最大生産国ロシアは前年並み、2位豪州は2.2%減であったが、3位カナダの13.0%増、5位ニューカレドニアの7.2%増、8位中国の6.0%増が寄与した。
     1~7月の一次精錬生産は4.8%増の727.9千tであった。最大生産国ロシアは0.3%増に留まったが、2位日本が5.5%増、4位カナダが27.0%増、6位中国が21.9%増となり、3位豪州の8.3%減、5位ノルウェイの13.3%減を補った。2004年の生産量は5.2%増の1,260千tに、2005年は5.3%増の1,320千tと国際ニッケル研究会は予測。

    【需給バランス】
     1~7月の需給は微量(3,100t)の供給不足であった。高値の影響で消費が抑制され、供給不足量は2003年の40千tから2004年は10千t以下となり、2005年は需給がバランスすると国際ニッケル研究会は予測。

    【価格】
     9月前半のLMEニッケル価格は12,000 USドル/t台に落ち着いていたが、9月下旬に急騰し、9月20日の12,875 USドルから9月30日の15,100 USドルまで上昇した。2004年最高値の17,770 USドル(1月6日)には及ばないものの、7月22日以来の15,000 USドル台を回復。

       
    (3) 亜鉛
      【需要】
     1~7月の精錬亜鉛需要は4.2%増の5,915千tであった。需要を地域別に見ると、最ものびたのは南北アメリカの10.4%増であった。2002年から2003年にかけて2ケタ前後の伸びを示したアジアは世界全体を下回る3.5%増に留まった。2002~2003年に16%増の中国が4.2%増に留まったこと、7~8%増のインドが4.7%増に留まったことが響いた。その一方で国際鉛亜鉛研究会は2004年通年の中国の需要増を10.4%と予測、インフラ建設向けメッキ鋼板需要の急増をその理由としている。

    【供給】
     1~7月の鉱山生産は、最大生産国の中国が前年同期比で13.1%増であった他、アイルランド14.2%増、スウェーデン8.5%増、メキシコ4.3%増、カザフスタン4.0%増であったが、第2位の豪州が15.4%減、3位のペルーが8.6%減、5位の米国が8.8%減と、中国を除く上位生産国がふるわず、世界合計で0.2%増の5,532千tに留まった。国際鉛亜鉛研究会は2004年の鉱山生産を2.1%増と予測しているが、2005年は5.1%増となって生産量が初めて1,000万tを超えると予測している。
     1~7月の精錬生産は、第2位生産国の豪州が19.7%減であったものの、第1位の中国が14.3%増であった他、カザフスタン18.6%増、米国16.8%増、韓国7.0%増、メキシコ3.7%増、スペイン3.0%増となり、全体で3.8%増の5,900千tとなった。国際鉛亜鉛研究会は2004年は3.1%増、2005年は4.9%増と予測している。

    【需給バランス】
     1~7月の需給バランスは少量(15千t)の供給不足となった。LMEの在庫量は736千tで依然として高水準にある。国際鉛亜鉛研究会は2005年まで供給不足は続くとし、不足量は2004年は157千t、2005年は101千tと予測。

    【価格】
     9月前半のLME亜鉛価格は900 USドル/t台前半を推移していたが、中旬頃から少しずつ値を上げ、9月24日以降は1,000 USドル台を維持し、9月30日には1,079 USドルとなって今年最高値の1,155.50 USドル(3月1日)に迫った。

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