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報告書&レポート

2004年11月11日 金属資源開発調査企画グループ 西川信康 e-mail: nishikawa-nobuyasu@jogmec.go.jp
2004年48号

中国の最近のベースメタル及びレアアース需給動向-第16回日中レアアース交流会議より-

 中国では、2004年前半の金融引き締め政策によりマクロ経済コントロールを強化した結果、経済成長率とそのスピードは適切な範囲に留まったという見方があるものの、経済指標を見る限り、中国経済の成長は依然高水準で推移している。2004年1~9月期の国内総生産は前年同期比9.4%の増加、貿易額は36.7%の増加、外国投資は21%の増加であった。このような好調な経済情勢を背景に、2003年の中国の非鉄金属生産量(銅、アルミ、鉛、亜鉛、ニッケル、錫、アンチモン、マグネシウム、チタン、水銀の非鉄金属10種類の全生産量)は前年同期比で21%増の1,228万トンに達し、引き続き大きく増加した。また、2004年1~8月の非鉄金属10種類の累計生産量はすでに900万トン(前年同期比約20%増)に達しており、昨年と同様のペースで拡大している。
 一方、レアアースについては、中国の国家戦略物資に位置づけられており、鉱石生産では世界の9割以上のシェアを占めているが、最近、レアアース磁性体等の新材料分野の生産が急増している。
 ここでは、10月26日に中国広東省東莞市で開催された第16回日中レアアース交流会議で、中国側より公表されたベースメタル及びレアアースに関する最新の需給データの一部を紹介する。

  1. ベースメタル需給動向

  2. (1) 2003年の需給及び貿易状況

     中国における2003年の主要非鉄金属消費量は、銅307万トン(前年比12%増)、アルミ519万トン(前年比26%増)、鉛117万トン(前年比22%増)、亜鉛198万トン(前年比18%増)といずれも大幅に増加した。銅及び亜鉛は世界第1位、アルミ及び鉛は米国に次いで世界第2位の消費国になっている。
     一方、2003年の主要非鉄金属地金生産量は、これら需要の拡大に牽引されて、いずれも大幅に増加し、銅184万トン(前年比12.4%増)、アルミ596万トン(同32%増)、鉛156万トン(同18%増)、亜鉛232万トン(同7.7%増)で、アルミ、鉛、亜鉛は世界第1位、銅はチリに次いで世界第2位の生産国になっている。アルミが大きく伸びているのは、中国国内の建設ラッシュ、電力整備、自動車生産の拡大に伴うものである。
     また、2003年の中国の非鉄金属輸出入額は233.3億ドルに達し、前年比39%増となった。輸入金額は152.6億ドルで同39%増、輸出額80.7億ドルで同38.5%増加した。
     銅の貿易量を見ると、中国は世界最大の銅の輸入国であり、内訳は、銅地金やアノードの製錬製品の輸入量が156.2万トン(前年比17.4%増)、銅加工材の輸入量が105.6万トン(前年比15%増)、銅精鉱の輸入量(グロス量)が267万トン(前年比29.2%増)となっており、銅精鉱の輸入量の伸びが大幅に拡大しているのが注目される。

    (2) 2004年の需給及び貿易状況

     2004年に入ってからも、非鉄金属の堅調な消費の伸びを背景に、非鉄金属生産は着実に拡大している。2004年1~8月の主要非鉄金属の地金生産量は、銅134万トン(前年同期比17.2%増)、アルミ439万トン(同24%増)、鉛115万トン(同14%増)、亜鉛163万トン(同13%増)と依然高い成長を続けている。
     一方、中国の非鉄金属輸出入については、マクロ経済コントロールにより一時的に銅精鉱の輸入量の減少が見られたものの、2003年後半以降の金属価格高騰を背景に増加傾向を続けている。2004年1~8月期の非鉄金属貿易額は220.5億米ドルで、前年同期比で57.5%の増加であった。その内訳は、輸入額が143.1億ドルで前年同期比54.5%増、輸出額が77.4億ドルで同61.6%増となっている。

    (3) 中国の銅資源確保構造

     中国では、このように非鉄金属生産、消費規模とも急拡大しているが、原料調達面では、海外からの輸入に依存しなければならない構造になっている。例えば、銅について見ると、銅地金調達のおよそ半分が輸入銅地金、残りの約半分が国内地金生産となっている(図1)。国内地金生産の原料のうち国内鉱石生産は、この数年、年間50万トン~60万トン程度と頭打ちの状況にあり、国内地金生産拡大に伴い海外鉱石、スクラップ等の依存率が年々高くなっている。つまり、中国の銅地金調達構造は、輸入地金、輸入鉱石、国内鉱石、スクラップからなり、これらの資源をいかにバランス良く安定的に確保していくかが重要であり、昨今の五鉱集団公司によるノランダ買収の動きや、CODELCOとの提携の進展も海外での原料鉱石及び地金確保を巡る資源確保戦略の一環と見ることができる。

    図1 中国の銅地金調達の内訳 (出典:国際銅研究会)

  3. レアアースの需給動向

  4. (1) 2003年の需給

     2003年のレアアース鉱石と精製分離製品の生産量は、いづれも引き続き堅調であった(図2)。レアアース鉱石生産量は前年比4%の増の9.2万トン(REOで集計、以下同じ)であり、その内訳は、包頭鉱山が5.4万トン、四川鉱山が1.5万トン、イオン吸着型鉱山が2.3万トンであった。また、レアアース精製分離製品生産量は7.8万トンで前年比4%の増加であった。さらに、新素材分野は急成長を見せ、新規参入企業が加わり、全体として生産能力が大幅に向上した。特に、2003年の焼結ネオジウム鉄ボロン磁性体の生産量は1.5万トンで、対前年比50%の増加であった。
     一方、2003年の中国国内のレアアース市場は大きく拡大し、レアアース消費量は、前年を25%上回る2.95万トンに増加した。特に、永久磁石材料、発光材料、水素吸蔵合金、自動車用触媒など新材料分野での需要が1万トンを突破し、これら新材料分野でのレアアースの消費量は全体の34%を占めるに至った。

    図2 中国のレアアースの需給推移 (出典:中国国家発展改革委員会資料)

    (2) レアアースの輸出状況

     2000年から2003年までの3年間、レアアース精製分離製品の輸出規模はレアアース価格の低迷により縮小傾向が続いていたが、2003年後半以降、価格が上昇傾向を示したことから大幅に改善された。2003年のレアアース精製分離製品の輸出量は5.21万トンで前年比33.2%の増加、輸出金額は2.41億米ドルで同54.5%の大幅増加となった。レアアース精製分離製品輸出先は、日本が全体の約3分の1を占め、次いで、米国、フランスの順で、この3カ国に集中している。また、付加価値製品であるレアアース磁性体の輸出も前年比75%増加しているが、輸出先は全世界に分散している(日本は8位)。

    表1 レアアース精製分離製品の輸出先
    国別 グロス量(トン) 比率(%)
    日本 23,311 33.7
    アメリカ 16,325 23.6
    フランス 9,185 13.3
    オランダ 4,414 6.4
    イタリア 4,224 6.1
    韓国 2,296 3.3
    ドイツ 1,635 2.4
    その他 7,823 11.2
    合計 69,213 100.0
     
    表2 レアアース磁性体の輸出先
    国別 グロス量(トン) 比率(%)
    香港 1,208 21.5
    イタリア 787 14.0
    アメリカ 596 10.6
    韓国 552 9.8
    シンガポール 279 5.0
    タイ 263 4.7
    ドイツ 222 3.9
    日本 213 3.8
    その他 1,499 27.0
    合計 5,619 100.0

    (3) 中国のレアアース産業の問題点

     中国のレアアース産業は着実な成長を遂げてきたが、いくつかの問題点や課題が顕在化している。中国政府及び産業界は、現在、レアアース産業の正常化・立て直しに取り込んでおり、日本のレアアース関連業界にも少なからず影響を及ぼしている。具体的な問題点や取り組みは以下のとおりである。

    • ここ数年、レアアース鉱石の乱掘、乱売及び精製分離企業の拡張が急速に進んだため、過剰生産となり、2000年~2003年にかけてレアアース価格が低下・低迷し、中国のレアアース企業の経営を圧迫した。
    • 中国政府は南北希土2大集団化等マクロコントロール化を進めているが、中小企業が乱立(特に南部の江西省、広東省、福建省等)しており実現に至っていない。
    • 中国政府はレアアース総生産量をコントロールするためにレアアース輸出にE/L(Export License)を発給しているが、運用面の問題から輸出の時期等が遅れ、日中間のレアアース貿易の阻害要因となっている。日本側は中国側に対し、E/L制度の運用改善、廃止を求めているが、中国側はWTOに加入した現在でもE/L制度は不変であると言明している。
    • レアアース分野での外国企業の投資については、中国国内での外国企業のレアアース鉱山開発企業設立の禁止、外国企業のみの投資によるレアアース精製分離プロジェクトの禁止(合弁に限る)措置を図る一方で、外国企業のレアアース高度加工、レアアース新素材と応用製品への投資を奨励しており、日本等の加工技術、応用技術、リサイクル技術等の先進技術導入を期待している。
    • 中国のレアアース企業の環境対応については、大企業は環境対策のための設備投資を行っているが、中小零細企業での対応は未だ不十分である。そのため、大企業はコスト競争力で劣っており、こうした事情を日本側も勘案し、中小企業からの過剰な安値購入を自粛するよう求めている。

     以上のように、中国政府のレアアースに関する戦略は、国内のレアアース鉱石、中間製品の生産量をコントロールするとともに、中国国内のレアアース産業界に対し外資を積極的に受け入れつつ付加価値製品分野へシフトしていくという意図が明確であり、今後、日本のレアアース業界との競争激化が一層進んでいくものと見られる。

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